本日(9月14日)、韓国の大統領府に当たる青瓦台では、特別な”授与式”が行われた。それは韓国大統領(文在寅氏)による、大統領特使任命状の授与式で、任命状を受け取ったのは、世界のポップスターとなったBTS(防弾少年団)だ。
現在世界のポップ市場で、最もセンセーショナルな存在と言えば、断然BTS(防弾少年団)だろう。
長年、絶対的な優位を見せつけていた欧米アーティストに、見事な不意打ちを食らわせたアジアのアイドルについて、音楽ファンは「逆襲が始まった」と評価している。
彼らの快挙について、母国・韓国で感じられる興奮は、やはり別次元のレベルだ。BTSファンでなくとも、韓国を国威宣揚した功績を褒め称えながら、さらなる活躍へ期待を寄せている様子。
しかしここに潜んでいる問題は、彼らが”音楽ファン”ではないという事だ。
彼らはBTSの音楽や世界観、メンバーの人間性に魅了されているわけではなく、アメリカのビルボードチャートを震わせたという”実績”のみに感心している。
彼らにとってBTSとは、アメリカのメジャーリーグでMVPに選ばれた野球選手や、イングランドのプレミアリーグで得点王になったサッカー選手と”認識の差”はあまりない。”韓国”という国名が世界中に知れ渡るきっかけを作ってくれた存在に過ぎないのである。
その”良いとこ取り”的思想は、韓国の政治家にもよく見られる。特に、政権を担っている大統領や与党の国会議員なら、なおさらだ。
本日(9月14日)、韓国の大統領府に当たる青瓦台では、特別な”授与式”が行われた。
それは韓国大統領(文在寅/ムン・ジェイン氏)による、大統領特使任命状の授与式であり、任命状を受け取ったのは、前出のBTSである。
BTSメンバーが、大統領特使に任命されると報じられたのは、去る7月の事。当時文大統領は「国際的な協力を主導し、日々高まる国威に相応しい”外交力”を拡大するため」と、任命理由を述べている。
本日、正式に大統領特使となったBTSは、来週アメリカのニューヨークで行われる国連総会に”政府の要職”として、文大統領と出席する予定だ。
BTSが受け取ったのは、任命状だけではない。他にも、大統領特使が海外渡航に使用する外交官専用のパスポートや、国際会議などで署名用に使用されるペンなども一緒に授与された。
青瓦台が特別に用意したものだけであって、ケースにも韓国大統領を象徴する鳳凰が『国民中心 国益中心の外交』という文言と共に、プリントされている。
国益中心の外交‥もちろんの事だが、韓国国益を優先するという意味だ。
まるで、アメリカの元大統領であるトランプ氏が、在任期間中常に「アメリカファースト(America First)」を訴えていたことを思い出させる。
世界の若者たちに夢と希望を与えたワールドスターが、韓国政府の”御用達タレント”だなんて、彼らの”利用法”に違和感を覚えてしまうのは当然のことである。
実際、韓国ではBTSメンバーの兵役を巡り「独島(日本名 竹島)守備隊として勤務させるべきだ」とか、近年ヒートアップする、中国との歴史認識問題を巡って「BTSが世界のファンに”*高句麗は朝鮮半島の高代国家であり、キムチの起源は韓国だ”と発言すべき」というリクエストが聞こえている。
*高句麗:紀元前1世紀頃~7世紀、朝鮮半島から中国東北部の南部にかけての地域に存在した高代国家。日本では、高句麗の建国ストーリーを描いた韓国の人気ドラマ『朱蒙(チュモン)』で有名。
仮に”韓国国益を優先”する大統領特使のBTSが、国際連合の総会で”世界の平和”を訴えた時、世界のファンは今までのように彼らの言葉に耳を傾け、そのメッセージと向き合うことができるのだろうか。
この韓国政府による大統領特使任命が、来年3月に迫っている次期大統領選挙において、与党候補に弾みをつけるための”パフォーマンス”と見られても無理はない。
BTSは”世界のポップスター”であり、ある特定の国の利益を優先するために利用されていい存在ではないはずだ。
大統領特別使節 任命状 授与式(動画出典:YouTube 大韓民国青瓦台)
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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