『Dynamite』『Butter』『Permission to Dance』など、世界的なヒット曲を量産し、グローバルに活躍するBTS(防弾少年団)。そんな彼らの兵役優遇に否定的なネットユーザーが、BTSの過去の発言まで掘り起こし、”難癖”をつけているという。その内容とは‥?
BTS(防弾少年団)に対する、兵役優遇に否定的な韓国ネットユーザーらが、BTSの過去発言まで掘り起こしてまで難癖を付けている。
![BTSの兵役優遇に冷ややかな韓国ネットの声が](https://danmee.jp/wp-content/uploads/2022/04/bts-ptdonstage-1024x682.jpg)
BTSの兵役優遇に冷ややかな韓国ネットの声が‥。(画像出典:BTS公式Twitter)
韓国の国威を高め、K-POPというコンテンツを世界中に広めた彼らの功績について「国中が称えるべき」という賛成派がも多い中、「兵役免除は贅沢なボーナスだ」と反対する国民も少なくない。
問題は、反対派の言動が次第に激化しているという事だ。彼・彼女たちは、SUGAが発表した楽曲の歌詞や、ジンの過去発言を”入隊遂行を公言した”と捉え、入隊を強く求めている。
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それだけではない。入隊イシューとは関係のない、過去のコメントまで探し出しては「BTSは考えをよく変える」「口が軽い」と批判を繰り返しているのである。
その一例が、「英語で歌うようになったら、もはやBTSではない」というRMの過去発言だ。
3年前の発言がなぜ今‥
2019年3月、アメリカの芸能週刊誌『エンターテインメント・ウィークリー(EW)』とのインタビューで登場したこの発言は、BTSのアイデンティティーに対するRM個人の所信であった。
![BTS RM](https://danmee.jp/wp-content/uploads/2022/01/tp-bts-rm-ramen1-640x1024.jpg)
BTS RM(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
以下、その原文(英語)
We don’t want to change our identity or our genuineness to get the number one
(訳:NO.1になるために、僕たちのアイデンティティーや純粋さを変えたくはない)
Like if we sing suddenly in full English, and change all these other things, then that’s not BTS. We’ll do everything, we’ll try. But if we couldn’t get number one or number five, that’s okay
(訳:いきなり英語の歌詞で歌い出したり、他の全てを変えたりすると、それはBTSではない。何にでもチャレンジしたい。それで1位、もしくは5位にならなくても大丈夫)
近年BTSが発表し、世界的なヒットを記録した楽曲は、『Dynamite』『Butter』『Permission to Dance』といった英語曲である。
この点に目を付けた前出の反対派は喜々として、「英語で歌わないと言ってたくせに」「入隊問題もそうだし、考えをコロコロ変えるね」と皮肉っている。これにまさかの韓国メディアが加勢して、「軽率な発言」と手の平を返すような発言をしている状況だ。
2020年以降、BTSの楽曲は英語メインなため「たった1年で、守っていたアイデンティティーを捨てた」と感じる人もいるだろう、それは仕方がない。
![『Dynamite』『Butter』『Permission to Dance』など世界的なヒットを記録している](https://danmee.jp/wp-content/uploads/2021/06/tp-bts-butter-billboard.jpg)
『Dynamite』『Butter』『Permission to Dance』など世界的なヒットを記録している(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
しかし、彼らが英語曲を発表したからこそ”K-POPの限界”を突破して、世界の音楽市場を震撼させるまでのジャンルへと成長したという側面もまた事実だ。
もし仮に、BTSが韓国語曲に執着していたら、韓国の大衆文化にここまでスポットライトが当たる事もなかっただろう。
“軌道修正”すら許されないBTS
アメリカのポップ市場に詳しい専門家、クリス・モランフィ(Chris Molanphy)氏はこう語る。
「アメリカのラジオ番組関係者は、リスナーの参加を促進するために、アメリカ人が歌える楽曲を選曲する」
すなわち世界に飛び出すためには、英語曲でなければアメリカでマスコミや大衆の注目を浴びる機会すら手に入れられないということである。
かつて世界的な人気を誇っていたスウェーデンのポップ・グループ、ABBA(アバ)のベニー・アンデションは「英語で歌うことができるのなら、必ずやるべき」とし、「アメリカの音楽産業は、依然として世界のポップ市場をけん引しているし、資金力を持っているエンターテインメント企業が、世界のヒット曲を決めるからだ」と述べ、アメリカ市場の重要性を強調。
言い換えれば、アメリカ市場での成功が、世界的アーティストになる最も手っ取り早い方法であるということだ。
RMの発言から3年もの時間が経っている今、世界を驚かせ、快進撃を続けているBTSに向かって「約束を守らない」「口が軽い」などと批判する行為に、強い抵抗感を抱かざるを得ない。
現在の韓国では残念ながら、夢と目標を達成するための”軌道修正”すら許されていないようだ。
***
韓国のことわざで”兎死狗烹(としくほう)”という言葉がある。
“ウサギの狩りが終わったら、猟犬を殺す”という意味で、”必要な時は大事にするが、要らなくなったら捨てる”という、不人情な事柄を風刺する時に使われる。
韓国中を歓喜させた、BTSの華やかな業績が色あせはじめ(当たり前のようになり)、兵役優遇に難色を示す人が増えつつある。
さらに、兵役と何ら関係のない過去の発言まで取り上げられては、叩かれている。
BTSの運命は、まさにウサギ狩りが終わった”猟犬”のようだ。
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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