韓国の議員リュ・ホジョン氏が、自身の進める“タトゥー業法制定案”の立案に関連する文書をSNSに掲載。文書とともにBTS(防弾少年団)のメンバー、ジョングクの写真を利用し、ファンから批判の声が殺到した。 (写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)

BTS(防弾少年団)ジョングクを政治利用したと、ファンが憤りを露わにした。

6月8日、“タトゥー(刺青)合法化”を推進する韓国の議員リュ・ホジョン氏が、自身の進める“タトゥー業法制定案”の立案に関連する文書を、フェイスブックやインスタグラムに投稿。「BTSの体から絆創膏を外せ!」というタイトルで、ジョングクの写真を数枚投稿し、SNSにはファンからの批判コメントが殺到した。

自身の法案を通すためジョングクの写真を無断利用したことでファン激怒!

自身の法案を通すためにジョングクの写真を無断利用した議員にARMY激怒!(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)

主な抗議内容は「BTSやジョングクの名前、写真を削除してほしい」「私の好きな歌手を、政治に利用しないで欲しい」というものだ。

K-POP界ではジョングクをはじめ、TWICE(トゥワイス)のチェヨンやMAMAMOO(ママム)のファサなど、男女問わずタトゥーを楽しんでいる人が増えている。しかし韓国では『放送審議に関する規定』に基づき、番組に出演する際はタトゥーを絆創膏で隠すのが恒例だ。リュ議員が投稿したジョングクの写真にも、彼のタトゥーを隠すために、手の甲に絆創膏を貼った写真が含まれている。

日本では、タトゥーに対するネガティブなイメージを持っている人が多いが、韓国では個人の自由を表現する方法として、メイクやファッションのようにタトゥーを楽しむ人が増加、認識が変わりつつある。法案には肯定的姿勢を見せる者もいるが、特定人物の名前、特に影響力のあるBTSメンバーの名前と写真を利用したことは、いささかやりすぎ感が否めない。

また、リュ議員が物議をかもしただけでなく、同月9日には『共に民主党』の元党代表で、次期大統領選の有力候補者と言われているイ・ナギョン氏が、tvNのバラエティー番組に出演。総理を務めた時、BTSの人気に助けられたことを理由に挙げ、BTSの『Love Myself(ラブマイセフル)』を「人生曲(一番好きな曲)」だと語った。

立て続けに、政治家の口からBTSの名が登場するのは、彼らが紛れもなくK-PoPという枠を超えた、正真正銘のグローバルスターだからだろう。ファンのみならず、彼らの名前を見たり聞いたりするだけで、注目を浴びることができる、絶対的効果があるからだと思われる。

デビュー当時15歳だったジョングクも23歳に‥。

デビュー当時15歳だったジョングクも23歳の青年に‥。(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)

ファンの間では「BTSを政治利用しないで欲しい」という気持ちが大きく働き、政治家の口からBTSの名が出るたびに、否定的な反応を見せることが多い。2020年の総選挙(国会議員選挙)前には、BTSのファンの多くが若者層であることから、18歳以上の選挙権を持つ有権者からの得票数を得るために、BTSの*兵役特例を持ち出したことがある。彼らの兵役免除の可能性を匂わせたが、*現行の兵役特例制度を維持するとの方針が固められたことから、長年築いてきたBTSのイメージが、国に振り回されることへの懸念の声が上がった程だ。

*兵役特例:現行の兵役法は、入隊延期が可能な最長年齢を28歳と定めているが、大衆文化芸能人だけ30歳に引き上げるという特例

*現行の兵役特例制度を維持:五輪やサッカーワールドカップなどの国際大会で、良い成績をおさめたスポーツ選手や、クラッシック音楽界で著しい業績を残した者が対象となる制度

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上述以外にも、一部の国会議員が、BTSの北朝鮮公演を提案したことが話題になったことも。彼らの名前を使うことで、政治家個人のメディア露出度が上がる効果があることから、何かとBTSを結びつけて、自身の認知度をあげようと必死になっている政治家たち。まるでBTSというキーワードが、”魔法の呪文”と言わんばかりに、だ。

その結果「BTSを政治利用しないで」というファン心理が動き、批判が殺到するという結果を生み出している。

これまでの多くの前例から、たびたびBTSを持ち出すことへのストレスを感じるARMY(アーミー:BTSファンの名称)。これはもはや、好きなアーティストを守るための、ファンのアレルギー反応のようなものだろう。政治的な目的のために有名人を利用するようなことを、韓国議員たちはいつまで続けるのだろうか‥。

リュ・ホジョン議員の公式Instagramを見る(外部リンク)




BTS

BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。

HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。

デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。

ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。

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