BTS(防弾少年団)が6月10日に発売したニューアルバム『Proof』が、米ビルボードで再び話題を集めている。”Hot 100″、”Hot 200″と連日好成績を記録しファンを喜ばせたが、この結果に首をかしげる人々がいるという。

BTS(防弾少年団)の新曲が、アメリカのビルボードチャートで再び旋風を巻き起こしている。

BTSの新曲『Yet to come』と『Run BTS』が"Hot 100"でチャートイン

BTSの新曲『Yet to come』と『Run BTS』が”Hot 100″でそれぞれ13位と73位にチャートインした。(画像出典:BTS 公式Facebook)

6月20日、ビルボードによると新作アルバム『Proof』(6月10日発売)に収録されている新曲『Yet to come』と『Run BTS』が、25日付の”Hot 100″でそれぞれ13位と73位にチャートイン。

その前日に発表された”Hot 200″では、アルバムが自身6度目となる1位を獲得し、2日連続の快挙を世界のファンに知らせた。

“Hot 100″で1位を逃したBTS

しかし、この結果に首をかしげる人もいる。

まず、”Hot 100″と”Hot 200″の違いについて押さえておこう。

“Hot 100″は、分かりやすく言うとシングルチャート、”Hot 200″はアルバムチャートだ。共にビルボードのメインチャートではあるが、大衆的な人気のバロメーターとしては、”Hot 100″の順位が評価される傾向が強い。

BTSは"アメリカ人気No.1"の座を手にしている

BTSは”アメリカ人気No.1″の座を6度手にしている。(画像出典:BTS 公式Facebook)

“Hot 100″で1位を達成した楽曲とアーティストは、自他共に認める”アメリカ人気No.1″になるのだ。

この”Hot 100″でBTSは、過去6度も1位に輝いている。

しかし、先日発表した2つの新曲は、残念ながらいずれも”不発”で終わってしまった。

一部では「BTS人気が以前ほどではない」と、人気低迷をささやく声も浮上。また、「ビルボードの集計方式が変更されて、1位獲得が難しくなったのでは」という分析も登場した。

“アメリカで絶大な人気を誇る”と称されていたBTS人気は、果たして本当に低迷期を迎えているのだろうか。

韓国語の楽曲が持つ限界

まず、今回の新曲が”韓国語”であることに注目する必要がある。

BTSはこれまでも、”韓国語”の楽曲ではビルボードチャートで苦戦を強いられてきた。

『Life Goes On』MVフォトスケッチ

『Life Goes On』MVフォトスケッチより。(画像出典:BTS 公式Facebook)

彼らが”Hot 100″で1位を獲得した曲は、『Dynamite(3週間)』『Butter(10週間)』と、いずれも英語曲だ。

英語曲であれば、アメリカのラジオでのオンエアが急増し、チャート順位に良い影響を及ぼす一方で、韓国語楽曲は一般的に敬遠されてしまうという。

アメリカのリスナーのほとんどが、言葉の分からない楽曲は聴く気にならないのだろう。それ故、ラジオ局が配慮するのも当然である。

また、K-POPやBTSファンではない音楽ファンが、韓国語曲を快く素直に評価しようとしないため、どうしても”話題性”が作れないという側面も。

とは言え、BTSは過去に韓国語曲で、1位を記録した事がある。

2020年に公開された『Life Goes On』がそれだ。

『Proof』は”アンソロジー”アルバム

ではなぜ、同じ韓国語曲であるのに『Life Goes On』は1位を獲得し、『Yet to come』や『Run BTS』は”Hot 100″のトップテンにすらチャートインできなかったのか。

それには、今回発売したアルバムの持つ”特性”に理由がある。

ニューアルバム『Proof』は、BTSのこれまでの”集大成となる作品”と銘打たれ、*アンソロジーアルバムという肩書きが付いている。

*アンソロジー:異なる作者による作品を集めたもの、または同一作家による作品集や選集

“ベストアルバム”とは意味が少し違い、これまでの軌跡を振り返り、その想いや思い出をファンと共有するために制作されたアルバムなのだ。

言ってしまえば、ビルボードを狙うために気合いを入れて(?)作ったアルバムではなく、9年間の”美しい活動記録”をさせてくれたファンへ情熱を傾け、感謝するための作品と言える。

また『Proof』発売後、欧米へのプロモーション活動は全く行っておらず、韓国の音楽番組出演のみ。これも本作が、”ファンへ捧げるためのアルバムであることを裏付ける”と、評価されている。

ビルボード集計方式の変更はBTSに不利?

では、ビルボードが変更した集計方式は、BTSに不利なのだろうか。

結論から言えば、”多少不利となる”。

それは、BTSだけでなくアメリカで活躍する、K-POPアイドルも同様だ。

『Proof』

『Proof』コンセプトフォト。(画像出典:BTS 公式Instagram)

理由としては、K-POPアイドルの楽曲において”音源ダウンロード件数”が、他アーティストに比べて圧倒的に多いこと。

熱狂的ファンは、応援するアーティストがビルボードチャートで高い順位に付けるよう、同じ音源を複数回ダウンロードする。これが頻発し、ビルボード側はこれを防ぐために、集計方式を変更するに踏み切ったと見られる。

“K-POPアイドルの躍進をけん制するための策”と報じられる中、所属レーベル(BIGHITミュージック)のシン・ヨンジェ代表は「ダウンロード件数だけで、アメリカ市場を席巻することはできない」と語る。

また、韓国メディアの東亜日報は「(“Hot 100″で順位が高くない理由は)そもそもが、ビルボードの順位を意識して作ったアルバムではない。チーム活動の新たな幕開けの前に、9周年を記念してファンに贈るアルバムなだけに、BTS側もファンも、今回の順位は気にしていない」と伝えている。






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