主演ドラマ『偶然出会った、あなた』が最終回を迎えた、キム・ドンウク (画像出典：keyeast Instagram)

6月20日、俳優キム・ドンウクの主演ドラマが最終回を迎えた。

放送を終え、キム・ドンウクは、作品のために力を尽くしてくれた監督やスタッフ、共演者、そしてドラマを愛してくれた視聴者に感謝を伝えている。

しかしそんな彼に対し「終わったのは、どっちのドラマ？」という不思議な反応が‥。

実は彼、不運なことに、同じ時期に2つの作品の放送が重なってしまったのだ。

しかもどちらも主演。売れっ子俳優と言えばそうなのだが、同じ俳優の主演ドラマの放送期間がカブる、なんてことは前代未聞の出来事。ドラマの放送前は、ちょっとした話題になっていた。

それぞれの放送開始日は、以下の通り。

◆5月1日　午後9時45分スタート KBS2『偶然出会った、あなた』→6月20日に放送終了
◆5月29日 午後8時50分スタート tvN『有益な詐欺』

スタートは、約1カ月ずれているものの、実は両方とも“月火ドラマ”で同じ曜日の放送、開始時間も1時間しかずれていない。

となると、月曜日と火曜日は、彼が裏番組に同時に出演している時間帯もあり、約2時間、ドラマに出ずっぱりだったことになる。

それならば、視聴者の混乱を招くのも当然。どちらか片方のドラマについて話す場合、詳しい人ならばすぐに理解できても、大半の人は「どっちがどっち？」と頭がこんがらがってしまうだろう。

このような同じ曜日の“重複出演”は、これまで脇役を務める俳優で目にすることはあった。しかし、主演という最重要キャラでは避けるのが、業界での決まり事。

作品を愛して欲しいと願う俳優にとってはもちろん、制作側にとっても、話題性や人気が二分され、視聴者の没入の妨げになる状況は望ましくないからだ。

キム・ドンウクも、KBS2『偶然出会った、あなた』の制作発表会にて「2つの作品はともに魅力的で、最善を尽くすために努力した。僕にできるのはそれだけだった。どちらの作品も愛されてほしい」と心境を伝えている。

同時期に放送された、キム・ドンウク主演ドラマ。KBS2『偶然出会った、あなた』(左)と、tvN『有益な詐欺』(画像出典：KBS2/tvN)

先日、一足早く最終回を迎えた『偶然出会った、あなた』は好評に終え、もう一つのドラマ『有益な詐欺』は第8回まで放送され、折り返しに入った。

何の罪もない主演俳優が、テレビ局の編成により、大きなリスクを背負わされたことは本当に不運だったが、無事に一つの作品が完走し、彼も少しは肩の荷が下りたのではないだろうか。

しかし、今後、“第2のキム・ドンウク”のような俳優がもっと出てくる可能性があると言われている。

韓国の放送局には、編成時期が未定のままになっているドラマが、約80本もあるというのだ。

最近は、ドラマの視聴率不振などを理由に、テレビ局がドラマの放送枠を減らしている。

キム・ドンウクの『偶然出会った、あなた』も、当初は「水木ドラマ」で編成予定だった。しかし、KBSが「水木ドラマ」枠を中断したことで、急遽「月火ドラマ」に変更された経緯がある。

テレビ局のドラマ枠自体が減少し、放送できる曜日が限られるようになってしまったがために、同じ俳優の作品が同時期、しかも同じ曜日にカブってしまったのである。

コロナ禍以降、Netflix(ネットフリックス)などVOD人気の影響を受け、世界で注目を集める韓国ドラマは、たくさん制作されている。

韓国ドラマファンには嬉しい状況だが、テレビ局の少ない放送枠の中で、出番を待っている“漂流状態”の作品が多いのも事実。

せっかく放送が決まっても、キム・ドンウクのように苦しめられる俳優が生まれてしまうことが懸念される。

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