BTSメンバーの誕生日を祝福するファンのイベントを阻止するという動きが見えている。パキスタンでは、ジョングクの誕生日をお祝いする屋外広告が撤去され、中国では、最大のジミンファンコミュニティーが活動停止処分を受けた。
パキスタンの地方都市に設置されていた、ある屋外広告が撤去されたニュースに世界が注目している。
その屋外広告とは、BTS(防弾少年団)のメンバージョングクの誕生日を祝福するものなのだが、撤去理由は「同性愛をそそのかしているため」だという。
去る9月1日、アメリカの芸能メディアは「若者たちに悪影響を及ぼすことを懸念し、屋外広告が撤去された」と、パキスタンの政治家の話を引用し、撤去までの経緯を一斉に報道。
地方自治体の議員と紹介された同政治家は「イスラム教の都市である我が町が、同性愛の温床になることを座視しない。自称”ARMY(アーミー:BTSのファン)”という連中に告げる。ここには、パキスタン軍隊(ARMY)しか存在しない」と付け加えたという。
これを受け、パキスタンの若者たちからは「怒りを覚える」「失望した」という反応が相次いでおり、「(同性愛をそそのかすような)下品な表現ではない! BTSは”自身を愛そう、幸せになろう”というメッセージを伝えている」「逆にパキスタンのイメージを壊している」と反論する声が上がっているようだ。
パキスタンの政治家が、BTSに対して反感を持ってしまった背景に「派手なファッションとメイクアップ」という予測が出ており、若者を中心に、パキスタン国内で横行しているイスラム原理主義や、強権的な権威主義への反発がより一層強まると見られる。
一方、中国では、ジミンの誕生日を祝うために募金活動を行ったという理由で、中国最大のファンコミュニティーが閉鎖危機に直面している。
9月5日、観察者網などの中国メディアは、中国当局のアイドルファンに対する”浄化作業”が進む中、116万人もの会員を有する『JIMIN Bar』が、60日間の活動停止処分を受けたと報道。
活動停止処分が明ける60日後には、既にジミンの誕生日(10月13日)は過ぎているため、中国ファンの間では「事実上の閉鎖」と嘆く者が続出している。
この報道に、韓国ファンの間では「黄色い傘やレインコートを政治的なメッセージと見なして、BTSを抑圧しているのでは?」との声も。
2020年11月、BTSが公開した写真に、”黄色い傘”を持っているメンバーが写っていたが、これを巡り「BTSは香港の民主化運動を、間接的に支持している」との憶測が広まった。
また、時を同じくしてHYBE側が公開した『HIT IT 8, HIP HOP Competition l Rap 大会案内』という動画に、黄色いレインコートが登場したのだが、これも”香港支持”の一環であると囁かれていた。
(関連記事) BTSの黄色い傘は、香港支持を呼び掛けるメッセージ?それとも偶然?
一部の韓国メディアは「BTSのメッセージにより、ARMYは”抵抗軍”になった」と、BTSが世界各地で、民主化や権威主義打破を訴える若者のアイコンになったと伝えている。
上述したパキスタンや中国は、宗教やイデオロギーにより”全体主義”を統治の根幹とする国である。そういった国にとって、国の未来を担う若者たちの管理・監督は非常に重要な課題なのだ。
もし若者たちの間で、国として”望ましくない価値観”やイデオロギー――例えば、民主化や宗教自由化への要求が高まってしまうと、国としては”統治の根幹”を失ってしまうという”大惨事”に陥る可能性がある。
2020年2月、東南アジアの国、タイで勃発した君主制改革(王室改革)デモでは、K-POPファンを中心に約1000万円の募金が集まり、デモ隊をサポートしたと知られている。
BTSをはじめ、多くのK-POPアイドルは、自らそれを意図せずとも、世界の若者たちにとって”自由と抵抗”のアイコンになりつつある。パキスタンや中国としては、それこそが”真の恐怖”なのだ。
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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