韓国第20代大統領であるユン・ソギョル氏が、前任のムン・ジェイン氏が就任してすぐに設置し、様々な話題を呼んだ『青瓦台(チョンワデ)国民請願』を廃止。この請願制度は、匿名での申請が認められていたため、韓国ドラマ制作陣や芸能人が、理不尽な主張に何度となく泣かされている。しかしユン大統領は、これを実名制に切り替える方針だという。

韓国ドラマ制作スタッフや芸能人が、理不尽な主張で何度も泣かされて来た『青瓦台(チョンワデ)国民請願』の匿名制度が廃止された。

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2022年5月、韓国では第20代大統領選が行われ、ユン・ソギョル氏が就任。彼は任期が開始される5月10日より、1948年から青瓦台に置かれていた大統領府を龍山(ヨンサン)区に移転し、青瓦台を国民に開放すると発表。現在は市民公園となっており、足を運ぶことが可能だ。

さらに、ムン・ジェイン前大統領が設置した『青瓦台国民請願』の廃止も明言。新たに、『国民提案』と名付けられたホームページを開設した。『国民提案』は『国民請願』とは異なり、100%実名とし、その内容は非公開だという。

韓国エンターテインメントやカルチャーが好きな日本人は、“国民請願”という言葉を耳にしたことがあるだろう。

“国民が聞けば政府が答える”という哲学を目指して作られ、設置後わずか30日間で20万以上の申請が届き、政府及び青瓦台の責任者が返答していたとされている。

匿名での申告が許可されていたため、内容は多岐にわたったといい、その中にはドラマの放送中止を求めるものや、マイナスイメージを持つ芸能人の、地上波出演禁止を依頼するものなどが含まれていた。

『朝鮮駆魔師』は第2話で放送終了となった

ドラマ『朝鮮駆魔師』は、第2話を持って放送終了となってしまった。(画像出典:SBS)

特に印象に残っているのは、2021年に放送されたSBSドラマ『朝鮮駆魔師(2021)』や、同年12月に放送されていたJTBC(Disney+)ドラマ『スノードロップ(原題:雪降花)』、そして2018年に放送された、tvN(Netflix)『ミスターサンシャイン(2018)』だ。

この3作品に共通するのは、“歴史歪曲議論”。

まず『朝鮮駆魔師』は、フュージョン時代劇と銘打ち、注目の若手俳優であるチャン・ドンユンが再び時代劇に出演するとあって、放送前から話題に。しかしいざ放送がスタートすると、第1話から歴史歪曲論議が勃発。『国民請願』に放送中止の抗議が殺到した。

(関連記事) ソン・ジュンギ、チャン・ドンユンが何故?ドラマ批判に俳優が謝罪の違和感

何とかこの議論を鎮静化しようと、放送局は釈明を重ねたが、結局事態を収めることができず、たったの2話で放送が終了した。

『スノードロップ』は歴史歪曲とジスの演技論まで

『スノードロップ』は歴史歪曲だけでなく、ジスの演技論まで発生した。(画像出典:JTBC)

そしてチョン・ヘインと、BLACKPINK(ブラックピンク)ジスが主演を務めた『スノードロップ』は、ジスの女優デビュー作とあって注目度が高かった。しかしあらすじが公開されると「民主化運動を卑下している」と言われ、『国民請願』へ放送中止を求める署名が相次いでしまう。

『ミスターサンシャイン』も同じ理由で、『国民請願』に放送中止依頼が続々と寄せられた。

その作品を観るかどうかは、視聴者が自由に選択できるはずであるにもかかわらずだ。

時間とお金をかけて、チーム一丸となって作り上げたはずの自信作が、小さな火種一つで本来日の当たるべき場所(物語)にスポットが当てられることなく、ひっそりと闇に葬られる悔しさは想像を絶する。

イ・ビョンホンとキム・テリ主演『ミスターサンシャイン』

イ・ビョンホンとキム・テリが主演を務めた『ミスターサンシャイン』。(画像出典:TVING)

こうして、ドラマ制作チームには多大なるプレッシャーがかかり、ストーリー考察に恐れを持つようになった可能性が大いにある。いつしか韓国ドラマ界に未来が見いだせなくなるという、負のループが生じる恐れがあったのだ。

もちろん“歴史”を扱うからには、時代考証について慎重になるのは当然としても、ドラマはあくまでドラマであり、エンターテインメント。観る側にも、ある程度その寛容さがなければ、楽しめるものも楽しめなくなってしまう。

そして2022年、ユン大統領が新たに設置した『国民提案』は完全実名制となるため、申告する側にもある種の責任がかかる。

少なくとも、個人的感情による“難癖”は、減少することが期待できそうだが果たして‥。




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