Netflixで配信がスタートしたドラマ『二十五、二十一』。1998年、アジア通貨危機から間もない韓国を舞台に、厳しい社会情勢の中で将来の希望の道が閉ざされかけた男女が出会い成長していく青春ドラマだ。そこで今回は、『二十五、二十一』をより深く理解する上でもおすすめしたい韓国映画、『国家が破産する日』を紹介する。

Netflixで配信がスタートしたドラマ『二十五、二十一』。1998年、アジア通貨危機から間もない韓国を舞台に、厳しい社会情勢の中で将来の希望の道が閉ざされかけた男女が出会い成長していく青春ドラマだ。

成功を夢見る者の奮闘を描いたドラマ『二十五、二十一』

苦境にさらされながらも、成功を夢見る者の奮闘を描いたドラマ『二十五、二十一』。(画像出典:tvN)

本作がこれまでの韓流ドラマと一味違うのは、アジア通貨危機(別称:IMF危機 1997年末~1998年頃)という比較的記憶に新しい時期の苦境にスポットを当てた点にある。

1996年にOECD(経済協力開発機構)に加盟し、先進国の仲間入りを果たしたと、誰もが思っていた直後に起きたアジア通貨危機。これにより、韓国の銀行や大手企業が次々と経営破綻し、多くの失業者が生まれた。

自国のみの力では経済回復の道は険しく、IMF(国際通貨基金)の援助とアメリカの指導を受けて再生の道を歩むこととなるが、これにより経済システムの転換を余儀なくされ、社会に大きな混乱が生じる。

これを機に、韓国では地位の高い者が成功を勝ち取り、地位の低い者が厳しい状況を強いられる‥そんな競争社会・格差社会が始まったとも言われている。

そこで今回は『二十五、二十一』を、より深く理解する上でもおすすめしたい韓国映画『国家が破産する日(原題:国家不渡りの日/2018)』を紹介。

キム・ヘスらが出演、映画『国家が破産する日』

キム・ヘス、ユ・アインらが出演、映画『国家が破産する日』。(画像出典:movie.naver)

本作はキム・ヘス、ユ・アイン、ホ・ジュノといった大物俳優が共演した、上質な金融ヒューマンサスペンスだ。

舞台は1997年のソウル。大企業が不渡りを出し続けたことにより、経済破綻する日が迫っていることを予期した韓国銀行通貨政策チーム長のシヒョン(キム・ヘス扮)が主人公だ。

国家経済が危機に直面していることを国民に伝え、注意喚起を促すよう政府に掛け合うシヒョンだが、その想いは虚しく混乱を招くだけだと一蹴されてしまう。さらに彼女の兄であり、町工場を営むガプス(ホ・ジュノ扮)が、大手百貨店からの大量受注に歓喜していた矢先、百貨店の経営状況が瞬く間に悪化し、自身の工場経営の見通しが立たなくなってしまう。

韓国政府に一人立ち向かうシヒョンだったが

『国家が破産する日』で韓国政府に一人立ち向かうシヒョンだったが‥。(画像出典:movie.naver)

一方、同じく経済破綻を早い段階から予期した個人投資家のジュンハク(ユ・アイン扮)は、元顧客たちに声をかけて資金を集め、一儲けを目論み投資の大勝負に出る。

それぞれの思惑と不安の中、無情にも韓国経済崩壊の時は訪れ、それぞれの立場でこの国家破産を受け入れることとなる。自国の力で、危機を乗り切るべきだと主張するシヒョン。

だが彼女の思いとは裏腹に、政府はIMF支援の段取りを進めていく。しかしその支援の条件は、韓国にとってシビアなものばかりだった‥。

果たしてこの選択は正しいものなのか、韓国社会の未来はどうなるのか。当時、多くの者が予測し得なかった経済危機の裏側を、緻密なデータと史実を基に描いた、極上の金融サスペンスに仕上がった作品だ。

それぞれの思惑と不安の中で彼らが取った行動とは

それぞれの思惑と不安の中で彼らが取った行動は‥。(画像出典:movie.naver)

ラストでは、数年後の3人が登場し、韓国社会で生き抜くことの厳しさを伝えるかのような表情を見せている。

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1997年の年末から、2001年の初頭まで続いたIMFの韓国救済は、韓国社会に大きな変化をもたらした。

財閥の解体や産業構造の変革など、立場の弱い者が経済市場で行き場を失い、多くの失業者を生んでいる。これにより、韓国ではより競争社会が加速し、誰しもがレベルの高い大学や企業、パートナーを手に入れることを目指した。

本作は、経済危機から25年を経た現在、その教訓を生かした豊かな暮らしができているのか、韓国社会は本質的に救済されたのかといったメッセージ性を含んだ一作となっている。今日の韓国人のライフスタイルや、価値観の背景が理解できる内容だ。

経済や金融知識がなくても、社会派ヒューマンドラマとして充分に楽しめる作品。

現在の韓国社会構造の深淵となる、IMF危機について知るきっかけとしてもぜひ押さえておきたい一作だ。

キャスト陣の迫真の演技が、胸に迫ること間違いなし。


『国家が破産する日』(動画出典:Youtube シネマトゥデイ)





ユ・アイン

韓国の人気俳優ユ・アイン。本名はオム・ホンシク。1986年10月6日生まれ。

2003年、ドラマ『四捨五入』でAra(コ・アラ)の恋人アインを演じ一躍注目を浴びる。
2006年『俺たちに明日はない』でスクリーンデビュー。

映画『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』(2008)では、チュ・ジフンやキム・ジェウクとともに主役に抜擢され、元ボクシング選手でパティシエ見習いという役柄を演じた。

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