【韓流20周年企画-ユ・ヨジョン編】2022年は、日韓同時開催が話題となったFIFAサッカーワールドカップから20年を迎える年となる。振り返ると日本の韓流ブームの歩みも、同じようなタイミングだったのではないだろうか‥今回は、Apple TV+『パチンコ』で再び渾身の演技を披露するユン・ヨジョンのフィルモグラフィーに迫る。
世界の韓国ドラマファンから注目を浴びていた、Apple TV+(アップルティービープラス)オリジナルシリーズ『パチンコ』がいよいよ公開となる。
3月25日に全世界で配信される『パチンコ』は、禁じられた愛から始まる物語で、韓国と日本、そしてアメリカを行き来しながら、戦争と平和、愛と別れ、勝利と審判に対する忘れられない年代記を描く。
韓国俳優イ・ミンホを主演に迎え、アカデミー賞を受賞した韓国のベテラン女優ユン・ヨジョンも出演するとあって、ドラマファンから話題を集めていた作品だ。
本作に出演するにあたり、ユン・ヨジョンはオーディションがあることを聞かされたという。この話を聞いた彼女は、その台本を捨てたそうだ。
彼女は「50年も演技をし続けてきた私に、オーディションを受けろというのが理解できなかった」とし、「むろん、オーディションを受けるというアメリカ文化は知っているが、韓国人には慣れていない文化だ」と説明。
続いて「もしオーディションを受けて”この役には合わない”と言われたら、この業界で”ユン・ヨジョンがオーディションに落ちた”という声が出るだろう」と語り、「芸歴50年というキャリアを、この1つのキャラクターの為に失うことは出来ず、台本を玄関前に捨てた」と事の顛末を明かしている。
これとともに、ユン・ヨジョンは「そうしたら’違う’と言われたので、最終的には引き受けることにした」と付け加えた。
ユン・ヨジョンは1966年に芸能界デビューし、今年で役者歴56年を誇る実力派俳優だ。
デビューした時から「俳優として大成する」と言われており、結婚によって俳優活動をしばらく休むまで、役者としてのキャリアに大きなスランプが1度もなかったほど着実な俳優だった。
彼女のキャリアが途絶えたのは、チョ・ヨンナムとの結婚生活を送っていた約13年間のみ。
チョ・ヨンナムと離婚後、ユン・ヨジョンは演技活動を再開し、2人の息子と自分を守ろうとあらゆる作品に飛び込んでいく。
「生計を立てる為に女優をしている」
そう語った彼女をカリスマ溢れる女優へと導いたのは、2003年に公開された映画『浮気な家族(監督 イム・サンス)』だった。
彼女が本格的に復帰し、映画スターとなったのは2000年代以降のこと。
イム・サンス監督がメガホンを取った『浮気な家族』で自分の性欲を隠さない中年の母親役で出演し、官能シーンにも果敢に挑戦した。
当時、このキャラクターがあまりにも強烈だったため、シナリオを見たすべての女優が、オファーを断ったという。
だが、ユン・ヨジョンの場合は「家のインテリアを変える時になったので(お金が必要だから、やります)」と話したそうだ。”生計型俳優”であったユン・ヨジョンらしいエピソードである。
『浮気な家族』には助演として出演した作品であるが、観客に相当なインパクトと印象を残し、映画は大成功を収めた。
この時の縁でユン・ヨジョンは以後、イム・サンス監督の全フィルモグラフィーに参加するようになり、『ハウスメイド(2010)』、『蜜の味 ~テイスト オブ マネー~(2012)』などの作品で抜群の存在感を披露した。
『浮気な家族』を筆頭に、あらゆる作品で多大な評価を得たユン・ヨジョンは、韓国映画界に欠かせない存在となった。
デビュー56年目を迎えたベテラン俳優で、現在までも主演・助演、商業映画、独立映画を問わず、現役で旺盛に活動しているユン・ヨジョン。
演技力が優れていると認められている女優たちの中でも、フィルモグラフィーの多様性が抜群に目立つ方だ。さらに、並外れた独特なキャラクターをいくつも演じ、それを完璧に演じ切る姿を見せてきた。
元々、ドラマを中心に役者としてキャリアを積んでいたが、離婚により”生計型俳優”へとなった彼女は、子どもを育て上げるためにあらゆる映画作品に飛び込んだ。その結果、韓国俳優としては初のアカデミー賞を受賞するという”オスカー女優”へと輝いている。
いま世界から最も注目を集めている韓国女優は、ユン・ヨジョンであることに間違いないだろう。
『パチンコ』のティーザー予告(動画出典:Youtube Apple TV+)
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