- ヒョンビン主演新作映画『交渉』興行成績に早くも黄信号が灯っているという。
- ストーリー、壮大なスケールという三拍子の揃った『交渉』は、なぜ韓国で振るわないのだろうか。
- “実話”をベースとした韓国映画が持つある悩みを考察する。

新作映画『交渉』で主演を務めるヒョンビン(写真提供:©スポーツ韓国)
論争を招く題材を取り上げながら、論争を避けようとするのなら、なぜその題材を選んだのか。
ヒョンビン主演の新作映画『交渉』に対して、韓国の映画評論家イ・ドンジン氏はこう語った。
辛辣な評価とも取れるコメントだが「論争を恐れなければ、もっと面白い映画に仕上がったはずなのに」という、ある種の“もどかしさ”も感じられる。
そしてこのコメントに対して、韓国ネットでは同調するコメントが多く上がった。
興行成績に早くも黄信号か
ヒョンビン、ファン・ジョンミンの主演映画『交渉』は、1月18日に公開された。
旧正月の連休期間という“特需”に恵まれ、“2023年初の1000万人動員邦画”という好成績への期待が高かったものの、興行成績に早くも黄信号が灯っているという。

興行成績に黄信号が?なぜ『交渉』は振るわないのか(画像出典:Daum映画)
一時、話題作の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』や『THE FIRST SLAM DUNK』を上回る“話題性”を見せていたが、こちらも現在はやや冷め気味。
観客動員数は、約94万人(1月23日現在/公開6日目)。損益分岐点となる350万人に達する成績が上げられるか、注目を集めている。
俳優たちの渾身の演技は高評価だったが‥
本作でW主演を務める、ファン・ジョンミンとヒョンビンの演技は、韓国を代表する役者だけに申し分がない。
2カ月にも及ぶヨルダンでの撮影は、圧倒的なスケールと臨場感を醸し出す。
ストーリーにおいては、実話をベースにしており、上映時間の1時間48分が短く感じるほどの出来映えだ。
では演技とストーリー、壮大なスケールという三拍子の揃った『交渉』は、なぜ韓国で振るわないのだろうか。
それはどうやら、本作がモチーフとする“センムル教会拉致事件”にあるようだ。
さかのぼる事16年前の2007年。ソウル近郊のソンナム市にあるセンムル教会の信徒たちが、宣教活動のために紛争地域であるアフガニスタンへ渡航する。
韓国政府は当時、数々のテロにかかわっていたイスラム主義組織の“タリバン”による拉致を恐れ、渡航自制を求めていたのだが、20人を超える信徒たちはアフガニスタンへ向かってしまう。
その一部の信徒は、出国前に空港に設置されていた、“アフガニスタン渡航自制要望”というパネルの前で記念撮影をするなど、あたかも政府の警告を嘲笑うかのような行動を取っていたほど。
そして案の定、信徒たちは現地到着後にタリバンに拉致され(7月19日)、2人の命が奪われるという惨劇の中、8月30日に生存者が救助されるのだった。
教会への“断罪”を求めている韓国の人々
韓国のみならず世界に衝撃を走らせた“センムル教会拉致事件”。
この事件の衝撃が大きかった分、映画『交渉』に対する韓国人の注目度は高かったと見られる。
しかし、作品でフォーカスが当てられていたのは、“事件発生の背景と原因”ではなく主演2人の葛藤と奮闘だったため、失望した観客が多かったようだ。
これが、本作が“振るわない理由”なのである。
いまだに多くの韓国人は、事件の原因究明を求め、“国に多大な迷惑をかけた愚かな者たち”を断罪してほしいと願っている。
事件から16年が経った今も、中東で拉致された“かわいそうな邦人”として扱われる信徒たちを世論の処刑台に立たせ、石を投げたいのである。
彼・彼女たちは映画『交渉』が、その役割を果たしてくれると期待していたのだ。
韓国映画口コミサイトであるDaum映画(https://movie.daum.net/moviedb/grade?movieId=130710 )には「信仰のためなら、何でも許されると思ってるのか」「巨額の税金が投じられた国の恥」「信徒たちの愚行は描かれていないヒーロー物」「(制作側は)教会から金でも受け取ったか?」など、作品のクオリティーに対する評価より、実話の扱い方に不満を抱いた批判が圧倒的に多い。

『交渉』のワンシーン(画像出典:Daum映画)
“実話”という韓国映画の悩み
この実例からもわかるように、韓国映画ファンは、実話をベースにした作品に“娯楽”という要素を不要とする傾向が強い。
日本統治時代を描いた映画『軍艦島(2017)』も、“当時の朝鮮人を搾取したのは、親日派の朝鮮人”というストーリーが反感を買い、韓国人が選ぶ“最悪な韓国映画”のリストの常連になっている。
他にも、軍事独裁時代(1961年~1988年)を時代背景とする作品や、財閥創業者が登場するストーリーに対しては、必ず“美化”や“歪曲議論”が付きまとう。
映画やドラマを創作する側は、過去の事故や事件を様々な角度から眺め、“新しい物語”を引き出そうとする。
しかし韓国では、実話(もしくは特定の時代)を取り上げる場合、まずは国民の顔色を伺わなければならないようだ。
『交渉』ティーザー映像
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