- 日本でも支持されているイ・ジェフン主演の『シグナル』(tvN/2016)が再注目されている。
- 劇中で取り上げられた実話に基づく性暴力事件が理由だ。
- 『シグナル』でモチーフとなった悲惨な事件と世間の反応を紹介する。

イ・ジェフン主演『シグナル』(画像出典:tvN)
イ・ジェフンが主演を務めた大ヒットドラマ『シグナル』(tvN/2016)が再注目されている。
2018年に日本でリメイクされるなど、多くの人から支持された韓ドラ史に残る名作の1つだ。
約8年前の作品がここにきて再び熱い視線を浴びているのは、劇中取り上げられた実話に基づく性暴力事件が理由。
韓国では最近、加害者の近況が伝えられこれにネットユーザーが反応。『シグナル』を観て同事件を振り返る人が増えている。
ネットユーザーの反応
多くの人が再視聴しているのは、『シグナル』で登場する“仁州(インジュ)市女子高生性暴力事件”を視聴するため。
韓国で実際に起こった“密陽(ミリャン)女子中学生性暴行事件”がモチーフになった事件だ。
加害者たちのその後がこれまで数年おきに世間をザワつかせており、今回はあるユーチューバーによって公開されたそのうちの1人の近況が話題に。
有名な飲食店のオーナーとして成功し、娘をもうけて一家で何不自由なく暮らしているとの情報は、ネットユーザーの間で瞬く間に広がり厳しいコメントが多数寄せられている。
なかには、「加害者たちは二度と顔を上げて生きられないようになってしまえ」という辛辣な意見や、「よその家の娘を死ぬほどいじめた人間が、今は女の子を育ててるんだ」と皮肉るような声も。
密陽女子中学生性暴行事件
世間がここまで加害者側に容赦ないのは、“密陽女子中学生性暴行事件”があまりにも痛ましいものだったから。
本事件は今から約21年前の2003年に韓国の密陽市で起こった。被害者となったのは当時中学生だった女子生徒Aさん。これに対し加害者は44人で、約1年もの間Aさんに対して集団で性的暴行を続けたという。
簡易宿泊施設やバスの中、畜舎、ビニールハウスの中などで犯行を繰り返し、その様子を撮影した。また、金品を脅し取るなどの行為もあったのだとか。他言すればネット上で映像を流すという方法で脅迫し、徹底的な口封じによってAさんは誰にも相談することができなかったそうだ。

“密陽女子中学生性暴行事件”をモチーフに描かれた事件が登場した『シグナル』(画像出典:tvN)
事件が発覚したのは犯行が始まってから約1年が経過した2004年。Aさんの叔母が彼女の異変に気付いて警察に申告したのがきかっけ。
最終的に、加害者44人のうち20人が少年院送致、10人は起訴されたものの未成年であるなどの理由から彼らも少年院へ送られ、残り13人が公訴権なしの決定を受けることに。
この13人はアルコール中毒の父親が対価としてお金を受け取って被害者側と合意している。その他、撮影をしたり映像を見たりするなどの共犯者が70人いたそうだがおとがめなしで終結した。
犯行時の映像は一部加害者によってネット上に流され、本国をはじめ日本や中国にも出回ったという。このような悲惨な事件で刑事処罰を受けた者が誰一人としていなかったことに、当時韓国中に衝撃が走った。
再注目されている『シグナル』
『シグナル』では11話から“仁州市女子高生性暴力事件”という名前で、同事件をモチーフにした物語が描かれている。
被害者の名前はヘスン、アルコール中毒の父を持つ高校生だ。彼女を気の毒に思った友達のソヌが家庭教師をすることになるのだが、これがおもしろくない成績全校1位のテジンがヘソンをからかい、皮肉たっぷりに言い返されてプライドが傷つき彼女を強姦。国会議員の息子であるという立場を利用して人を集め、集団で性的暴行を繰り返していく。
加害者の親がいずれも財力や権力を持った家庭の子息であったため、彼らの過ちは仁州市の過ちだとの考えから、市民をはじめ警察までもが一致団結して加害者を擁護。結局、一切処罰を受けることなくへスンは為す術がないというストーリーだ。
“密陽女子中学生性暴行事件”はあくまでモチーフとして用いられているが、同事件を想起させる設定やシーンが多数盛り込まれ、今ネットユーザーによって見返されている。

“密陽女子中学生性暴行事件”をモチーフに描かれた事件が登場した『シグナル』(画像出典:tvN)
実際の事件では被害者側に立つ人がいる一方で、「女の子側の責任だ」などといった心ない意見もあり、被害者一家は引っ越しする状況にまで追い込まれたという。ところが転校先でも事件の事実が知られるといじめを受けるなどAさんはトラウマに。
それとは逆に、事件に関わっていないのに、定期的に個人情報や近況がネット上で取り上げられることから困っているという人も。
“密陽女子中学生性暴行事件”は、今もなお多くの人の心にわだかまりや苦痛を残し続けている。
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