先日、住民トラブルを報じられた俳優のソン・ジュンギが、今度は過去の出来事で批判を浴びている。2017年に公開された映画をきかっけにバッシングを受けてしまったソン・ジュンギ。彼を襲った”批判の内容”とは。
先日、本サイトにて「ソン・ジュンギが新居建設にあたり、住民トラブルが勃発。それを批判する報道を、ある韓国メディアがしている」という記事を掲載したが、該当メディアは、ソン・ジュンギの過去の発言を掘り返し「ソン・ジュンギは元々軽率だった」という論調で問題提起している。
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メディアが声を挙げているのは、2017年に公開された映画『軍艦島』に出演したソン・ジュンギが、撮影を終えた1カ月後に婚約者であるソン・ヘギョと日本で婚約パーティーを行ったことと、映画にまつわるインタビューでの発言についてだ。
映画『軍艦島』は、日本統治時代に軍艦島へ炭坑夫として強制労働を強いられた、400人余りの朝鮮人が決死の脱出を図るといった内容を描いている。
本作は、当初から歴史的事実を基盤にしたフィクションだと謳っていたのだが、エンターテインメント色が濃く表れている作品とあってか、公開当時、韓国では「史実と異なるストーリー展開だ」と主張する声が多く上がり、様々な波紋を呼んでしまった。史実と異なるストーリーとは、朝鮮人炭坑夫を搾取する集団が、旧日本軍や炭鉱会社ではなく、彼らに炭坑夫の管理監督を任された同じ朝鮮人という設定を指す。
この設定を巡り、韓国では絶対的な悪(日本統治時代の日本)が”悪”と描き切れていない部分があったことも議論されていたのだ。
該当メディアは、映画公開後のインタビューで、ソン・ジュンギが「映画の中には良い朝鮮人もいるが、(朝鮮人を搾取する)悪い朝鮮人もいる」と話し、戦争で苦痛を受けた人々は国籍関係なく、両者とも被害者だと述べたことを、「”歴史認識に欠けた軽率な発言”という批判を受けていた」と報じている。
さらに『軍艦島』は、韓国と日本の歴史に関わるデリケートな作品で、ストーリーも”抗日”だっただけに、そういった作品に出演していたソン・ジュンギが、よりによって”日本”でソン・ヘギョとの婚約パーティーを開催したことが矛盾している、といった論調で彼の行動を批判した。
当時、ソン・ジュンギとソン・ヘギョは、スタッフを含め30人ほどで、東京にある隠れ家レストランを訪れている。「男性が女性に花束を渡し、それを祝うかのような歓声が上がった」という有名なエピソードもある通り、2人は親しい仲間に囲まれながら、幸せな時間を過ごしていたようだ。
とはいえ、婚約パーティーは、プライベートな問題である。数多の作品に出演する俳優たちが、その度に作品に準じた生き方をすべきと意見するのは、いささか短絡的思考ではないだろうか。逆に言えば、この批判自体が公私混同しているように見えてならない。
さらに言えば、作品に出演したからといって、ソン・ジュンギのプライベート全てが作品に縛られる必要がない訳で、そこを指摘し始めてしまったら、全ての俳優がバッシングを受ける存在になってしまう。
先述のインタビューについて言えば、映画は歴史上で起きた出来事を、様々な目線を取り入れながら、フィクションに仕上げている。つまり、『軍艦島』に特化して言えば、ノンフィクション映画ではなく、あくまでも史実をベースにした、エンターテインメント作品に仕上げたものだ。
その作品に対して、ストーリーに沿った”自身の意見”を述べているだけのことであって、それが”軽率な言動”と見るのは飛躍し過ぎではないだろうか。
つまり、それらを指摘すること自体が、首をかしげずにはいられないような報道に映る。
住民トラブルの報道も、今回の批判報道も、こじつけ感が否めない。このような”火種”報道があるからこそ、真相が明かされないまま大火事になってしまうのではないだろうか。
メディアの使命とは、問題提起をしたならば、その真相も併せて報じ、さらに後日談までをも届けるべきである。
すべてが尻切れトンボであり、ボールを投げっぱなしの報道であれば、そこに残るのは”不本意な誤解”しかない。真実は消え、誤解が真実にすり替わってしまうということは避けるべきではないか。
ソン・ジュンギ
HISTORY D&C所属の俳優ソン・ジュンギ(ハングル 송중기)。1985年9月19日生まれ。
2008年ドラマ『霜花店 運命、その愛』でデビュー。
2010年に出演したドラマ『トキメキ 成均館スキャンダル』で一躍名を広め大ブレイクしたソン・ジュンギは以降、映画『私のオオカミ少年』、ドラマ『太陽の末裔』などに出演し人気を博した。
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