ソ・イングクに付いた最初の肩書は、”歌手”だった。そして”俳優”という肩書きが加わったのは、デビューから3年を経た2012年のこと。今や韓国俳優界になくてはならない存在へと変貌を遂げ、”アーティスト ソ・イングク”となった彼のドラマフィルモグラフィーを探ってみたい。

ソ・イングクは、スポーツ選手、SP(セキュリティー・ポリス)、国王、世間知らずのお坊ちゃま、地球外生命体‥どんな役も自分のものにして、リアルな人物を作り上げてしまう才能がある。

巫女界の異端児ナム・ハンジュン役のソ・イングク。

“巫女界の異端児”ナム・ハンジュンを演じるソ・イングク。今度はどんな面貌を見せてくれる?(画像出典:KBS 公式Facebook)

そんな彼は現在、オ・ヨンソと主演を務めるKBS2ドラマ『美男堂-事件手帳』の放送を控えている。

本作ではナム・ハンジュンに扮し、ルックスも完璧な男巫で、元プロファイラーの能力を活かし、顧客が望むものを正確に把握し解決する役どころだ。

2012年にKBS2ドラマ『ラブレイン』で、初めて俳優としてカメラの前に立ってから、その能力を発揮し続けているソ・イングクのドラマフィルモグラフィーを、改めて追ってみたい。

俳優デビューから見つけられた”原石”

『ラブレイン』で、ある俳優の青年時代を演じ、ソ・イングクの出番はそこで終わるはずだった。

『ラブレイン』キム・チョンソル

『ラブレイン』でソ・イングクのために誕生させたキャラクター、キム・チョンソル。

しかし、彼の演技を見た制作陣が「ちょい役では惜しい、もっと彼の演技が見たい」と、新しい役が誕生する。

こうして”役者・ソ・イングク物語”のページが開かれたのだった。

『応答せよ 1997』

『ラブレイン』放送終了からわずか2カ月後、ドラマ2作目にして主役の座を射止めた『応答せよ 1997』。

慣れ親しんだ方言で自然に役を演じたこともドラマ評価につながった

慣れ親しんだ方言でナチュラルに演じたことも、作品の評価につながった『応答せよ 1997』。(画像出典:tvN)

大人になった”私”が、青春時代を懐古する超人気ドラマ『応答せよ』シリーズの第1弾で、Apink(エーピンク)のウンジと甘酸っぱい物語を展開した。

ソ・イングクは本作で、ユン・ユンジェという学校一の秀才を担い、ウンジ扮するソン・シウォンの幼なじみ。アイドルの追っかけをする彼女の姿を情けなく思いながらも、話しを聞いてあげる青年を演じている。

今となっては、名作を生み出すほどのチャンネルとなったtvNだが、当時は地上波のドラマに出演することこそがステータスであり、ケーブルチャンネルは相手にされず。そんな理由から、『応答せよ1997』は新人から出演者を見つけ出すことなり、ソ・イングクに白羽の矢が立った。

釜山(プサン)を舞台に、1997年当時のリアルに迫った学校生活を描いた本作は、制作チームの予想を裏切り大ヒットを記録。

共に主演を務めたウンジと”ライジングスター”として脚光を浴びるのだった。

(関連記事)「応答せよ1997」から10年‥ソ・イングクは30代、Apink ウンジはアラサーに

『主君の太陽』

2013年8月に放送されたSBSドラマ『主君の太陽』は、事故に遭ってから幽霊が見えるようになってしまったテ・ゴンシル(コン・ヒョジン扮)が、大手ショッピングモール社長のチュ・ジュンウォン(ソ・ジソブ扮)と出会い、彼に触れることで幽霊が消えることから、彼に付きまといながらも少しずつ互いに心を開き、恋へと発展していくホラーラブコメディー。

警護チームの室長として頼りにされているが、実は幽霊が大の苦手という役を演じた

警護チームの室長として頼りにされているが、実は幽霊が大の苦手という役を好演。(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)

ソ・イングクは本当の身分を隠し、ショッピングモールの警護室長となって主役の2人に近付く、カン・ウ役を演じた。

武術に長けており、人を護ることは得意だが、幽霊が怖いというギャップ男子。怖い場所では、仕草がかわいらしくなってしまう姿に、ファンの目がハートマークになった。

『ナイショの恋していいですか!?』

2014年、イ・ハナやイ・スヒョクと共演したtvN作品。

"年下男子"として視聴者の心をわしづかみに

“超年下男子”として、視聴者の心をわしづかみにした『ナイショの恋していいですか!?』(画像出典:TVING)

ソ・イングクは高校生ながら、兄の身代わりとなって大企業の本部長として働くイ・ミンソク役を演じた。高校生と会社員の二重生活を送っていたが、おっちょこちょいな契約社員、チョン・スヨン(イ・ハナ扮)にそれがバレてしまい‥。

壁ドン、バックハグなど、女心を揺るがすシチュエーションが満載の王道ロマンティック・ラブコメディーとして人気を博し、『応答せよ』の時に得た称号”キス職人”としてもその力を発揮した。

(関連記事)高畑充希 韓ドラのキスシーンを熱く語る‥韓国ネット「詳しくてびっくり」

『ショッピング王ルイ』

2016年に放送されたMBC『ショッピング王ルイ』で、ソ・イングクは記憶喪失のイケメン御曹司、ルイを演じ”子犬系男子”に変身。

記憶をなくす前と後の表情の違いにソ・イングクの真髄を見た

記憶をなくす前と後の表情の違いに、役者ソ・イングクの真髄を見た。(画像出典:MBC)

テンポの良いドラマ展開と、かわいらしいソ・イングクの組み合わせは見事的中し「こんなソ・イングク見たことない!」とファンから大好評を得た。そして同年末に行われた、『MBC 演技大賞』ミニシリーズ部門で優秀演技賞を受賞し、その人気を証明した。

しかし、本人は後に「かわいい役が似合ってたと言われたことがありますが、あの姿を見せるのはものすごくつらかったです(笑)」と、インタビューで語っている。

『ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた』

2021年放送のtvNドラマ『ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた』では、人気女優のパク・ボヨンと、ファンタジーラブロマンスを展開。

"人間"パク・ボヨンと"滅亡"ソ・イングクの甘く切ないラブストーリー

“人間”パク・ボヨンと”滅亡”ソ・イングクが繰り広げた甘く切ないラブストーリー。(画像出典:tvN)

余命100日を宣告された女性、タク・ドンギョンをパク・ボヨンが演じ、神と人間の間の存在である”滅亡”をソ・イングクが好演した。

***
ソ・イングクの出演ドラマはほとんどが主役級であり、今回紹介できたのはほんの一部。

それは彼が、全ての作品において全身全霊を込めて役になりきり、変貌自在な姿を惜しみなく見せてくれるため、語りきれないのだ。

そして2022年は、約5年振りに”歌手”としての姿まで披露、『MY LOVE』では、彼の特徴的な高音で少しハスキーな歌声を残しつつ、地に足を付けて落ち着いた声色という印象を受けた。

まだまだ進化をやめない”アーティスト・ソ・イングク”は、私たちをどこまで連れて行ってくれるのだろうか。期待は高まるばかりだ。






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