ソ・イングクに付いた最初の肩書は、”歌手”だった。そして”俳優”という肩書きが加わったのは、デビューから3年を経た2012年のこと。今や韓国俳優界になくてはならない存在へと変貌を遂げ、”アーティスト ソ・イングク”となった彼のドラマフィルモグラフィーを探ってみたい。
ソ・イングクは、スポーツ選手、SP(セキュリティー・ポリス)、国王、世間知らずのお坊ちゃま、地球外生命体‥どんな役も自分のものにして、リアルな人物を作り上げてしまう才能がある。
そんな彼は現在、オ・ヨンソと主演を務めるKBS2ドラマ『美男堂-事件手帳』の放送を控えている。
本作ではナム・ハンジュンに扮し、ルックスも完璧な男巫で、元プロファイラーの能力を活かし、顧客が望むものを正確に把握し解決する役どころだ。
2012年にKBS2ドラマ『ラブレイン』で、初めて俳優としてカメラの前に立ってから、その能力を発揮し続けているソ・イングクのドラマフィルモグラフィーを、改めて追ってみたい。
俳優デビューから見つけられた”原石”
『ラブレイン』で、ある俳優の青年時代を演じ、ソ・イングクの出番はそこで終わるはずだった。
しかし、彼の演技を見た制作陣が「ちょい役では惜しい、もっと彼の演技が見たい」と、新しい役が誕生する。
こうして”役者・ソ・イングク物語”のページが開かれたのだった。
『応答せよ 1997』
『ラブレイン』放送終了からわずか2カ月後、ドラマ2作目にして主役の座を射止めた『応答せよ 1997』。
大人になった”私”が、青春時代を懐古する超人気ドラマ『応答せよ』シリーズの第1弾で、Apink(エーピンク)のウンジと甘酸っぱい物語を展開した。
ソ・イングクは本作で、ユン・ユンジェという学校一の秀才を担い、ウンジ扮するソン・シウォンの幼なじみ。アイドルの追っかけをする彼女の姿を情けなく思いながらも、話しを聞いてあげる青年を演じている。
今となっては、名作を生み出すほどのチャンネルとなったtvNだが、当時は地上波のドラマに出演することこそがステータスであり、ケーブルチャンネルは相手にされず。そんな理由から、『応答せよ1997』は新人から出演者を見つけ出すことなり、ソ・イングクに白羽の矢が立った。
釜山(プサン)を舞台に、1997年当時のリアルに迫った学校生活を描いた本作は、制作チームの予想を裏切り大ヒットを記録。
共に主演を務めたウンジと”ライジングスター”として脚光を浴びるのだった。
(関連記事)「応答せよ1997」から10年‥ソ・イングクは30代、Apink ウンジはアラサーに
『主君の太陽』
2013年8月に放送されたSBSドラマ『主君の太陽』は、事故に遭ってから幽霊が見えるようになってしまったテ・ゴンシル(コン・ヒョジン扮)が、大手ショッピングモール社長のチュ・ジュンウォン(ソ・ジソブ扮)と出会い、彼に触れることで幽霊が消えることから、彼に付きまといながらも少しずつ互いに心を開き、恋へと発展していくホラーラブコメディー。
ソ・イングクは本当の身分を隠し、ショッピングモールの警護室長となって主役の2人に近付く、カン・ウ役を演じた。
武術に長けており、人を護ることは得意だが、幽霊が怖いというギャップ男子。怖い場所では、仕草がかわいらしくなってしまう姿に、ファンの目がハートマークになった。
『ナイショの恋していいですか!?』
2014年、イ・ハナやイ・スヒョクと共演したtvN作品。
ソ・イングクは高校生ながら、兄の身代わりとなって大企業の本部長として働くイ・ミンソク役を演じた。高校生と会社員の二重生活を送っていたが、おっちょこちょいな契約社員、チョン・スヨン(イ・ハナ扮)にそれがバレてしまい‥。
壁ドン、バックハグなど、女心を揺るがすシチュエーションが満載の王道ロマンティック・ラブコメディーとして人気を博し、『応答せよ』の時に得た称号”キス職人”としてもその力を発揮した。
(関連記事)高畑充希 韓ドラのキスシーンを熱く語る‥韓国ネット「詳しくてびっくり」
『ショッピング王ルイ』
2016年に放送されたMBC『ショッピング王ルイ』で、ソ・イングクは記憶喪失のイケメン御曹司、ルイを演じ”子犬系男子”に変身。
テンポの良いドラマ展開と、かわいらしいソ・イングクの組み合わせは見事的中し「こんなソ・イングク見たことない!」とファンから大好評を得た。そして同年末に行われた、『MBC 演技大賞』ミニシリーズ部門で優秀演技賞を受賞し、その人気を証明した。
しかし、本人は後に「かわいい役が似合ってたと言われたことがありますが、あの姿を見せるのはものすごくつらかったです(笑)」と、インタビューで語っている。
『ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた』
2021年放送のtvNドラマ『ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた』では、人気女優のパク・ボヨンと、ファンタジーラブロマンスを展開。
余命100日を宣告された女性、タク・ドンギョンをパク・ボヨンが演じ、神と人間の間の存在である”滅亡”をソ・イングクが好演した。
***
ソ・イングクの出演ドラマはほとんどが主役級であり、今回紹介できたのはほんの一部。
それは彼が、全ての作品において全身全霊を込めて役になりきり、変貌自在な姿を惜しみなく見せてくれるため、語りきれないのだ。
そして2022年は、約5年振りに”歌手”としての姿まで披露、『MY LOVE』では、彼の特徴的な高音で少しハスキーな歌声を残しつつ、地に足を付けて落ち着いた声色という印象を受けた。
まだまだ進化をやめない”アーティスト・ソ・イングク”は、私たちをどこまで連れて行ってくれるのだろうか。期待は高まるばかりだ。
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