- 2023年のヒット作『キング・ザ・ランド』と、現在人気沸騰中の新作ドラマ『力の強い女 カン・ナムスン』。
- 実は、似たような歩みを見せている2作品には、同じ放送局&同じ枠での放送の他にもいくつかの共通点がある。
- この2作品から生まれた、新しい「韓国ドラマの成功法則」をご紹介する。
現在放送中のJTBCドラマ『力の強い女 カン・ナムスン(以下、カン・ナムスン)』が、10月15日放送の第4話で視聴率9.8%を記録し、2桁視聴率の壁を破る活躍が期待されている。
10月7日から放送が始まった本ドラマは、Netflix(ネットフリックス)でも配信中。
配信開始後、アメリカのNetflix「TV番組TOP10」では“6位”にランクインする人気を集め、日本では本日(10月24日)のランキングで5位に入っている。
Kコンテンツのオンライン話題性を分析するグッドデータ・コーポレーションのFUNdex(10月24日基準)では、TV-OTT総合話題性で3位を記録。視聴者の間で口コミが増えていることを証明している。
実は、この『カン・ナムスン』と似たような歩みを見せていたのが、今年(2023年)6月から放送され話題となったドラマ『キング・ザ・ランド』だ。
この2つの作品の共通点が、新しい「韓国ドラマの成功法則」を作り出している。その“成功法則”とは?
法則①JTBCの週末ドラマ
まず注目したいのは、ドラマの放送枠。
『カン・ナムスン』と『キング・ザ・ランド』は同じ「JTBC」という放送局で、同じく「土日の夜10:30から放送」という「週末ドラマ枠」の作品だ。
今年、同枠で放送されたJTBCドラマといえば、『代理店』から始まり、『離婚弁護士シン・ソンハン』『医師チャ・ジョンスク』『ヒップタッチの女王』と話題作ばかり。
他の局でも、『模範タクシー2(SBS/金土)』『浪漫ドクター キム・サブ3(SBS/金土)』『イルタ・スキャンダル(tvN/土日)』など、ヒット作の多くが週末ドラマに集中している。
最近の韓国では、平日にドラマを見ない風潮が高まっており、ドラマは比較的時間に余裕のある“週末の楽しみ”として定着しつつあるのだ。
法則②視聴者の好みはストレスフリー
最近のドラマ視聴者は、複雑に絡まった設定や、観ていてストレスを感じさせる重い内容のドラマは敬遠しがち。では、どんなドラマを楽しんでいるのか。
ドラマ制作業界では「最も安全な選択はロマンスとコメディー、家族ドラマ」と言われており、安心して見られて気楽に楽しめるストーリーの作品が好評を得ている。
『カン・ナムスン』は、生まれつき超人的な怪力のナムスンと、その母親と祖母の親子3代が、ソウル・江南(カンナム)を中心に起きている、新しい麻薬犯罪の実態を暴くコミカル犯罪劇。
同じ力を持つ3世代の女性たちは、その力を人助けと世直しのためにだけ使う。ヒーローと悪役という図式もはっきりしており、余計なストレスを感じずに楽しめる。
今年のヒット作の共通点は、個性的なジャンルものよりも、視聴者に与える“疲労が少ない”という点が特徴。
『キング・ザ・ランド』も、先の展開がある程度予想できるわかりやすいストーリーで描かれ、最近は“ストレスフリー”の作品が、韓国ドラマの新しいトレンドとなっている。
法則③“幼稚さ”が魅力のストーリー
『キング・ザ・ランド』は、“キングホテル”の御曹司ク・ウォン(2PMのイ・ジュノ扮)と、ホテリエのチョン・サラン(少女時代のユナ扮)の2人が繰り広げる王道のラブロマンス。複雑な設定はなく、コメディー要素とトキメキ満載の展開が視聴者の心を掴んだ。
財閥と庶民の「シンデレラロマンス」は若干古い設定に感じられるものの、不思議とその「幼稚」とも思えるストーリーが高い人気につながる。
初回視聴率こそ5.1%でスタートしたが、第6話で12%と一気に2桁を達成、最終回は13.8%と有終の美を飾った。
『カン・ナムスン』のストーリーも、悪と戦うヒーローものという点で「幼稚」という印象を受ける。主人公ナムスンも、モンゴル育ちで韓国語の尊敬語が苦手で世間知らずという設定だ。
しかし、その幼稚さや子どもっぽさが、かえってドラマの魅力を増す、良いスパイスとなっている。
ナムスンの突き抜けた超人パワーには、思わず笑ってしまう面白さがあり、特にナムスン役を務める女優イ・ユミが、天真爛漫で純粋なキャラクターをよりチャーミングな女の子に見せてくれる。
***
現在放送中の人気ドラマ『力の強い女 カン・ナムスン』。目下の課題は、最高視聴率2桁台の突入だ。
果たして、共に新たな成功法則を生んだ同枠の先輩ドラマ『キング・ザ・ランド』の成績を超えることはできるのだろうか。
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