- 数々の泥沼劇の脚本を手掛けてきたキム・スンオク作家の新作『7人の脱出』が放送中だ。
- 刺激的な内容が描かれる韓国の泥沼劇には、議論が巻き起こっても高視聴率を叩き出すという“成功法則”があった。
- しかし今回はその法則が通用せず、視聴率が低迷しているという。その理由とは?

9月15日に放送が始まった、SBSの新作ドラマ『7人の脱出』(画像出典:SBS)
9月15日から韓国で放送がスタートした、SBS新作ドラマ『7人の脱出』が視聴率を下げている。
本ドラマは、多くの人の嘘と欲望によって失踪した少女に関係する悪人7人の生存闘争と、彼らへの血の制裁を描いたピカレスク復讐劇(悪者たちが主人公の物語)。
劇中では、残酷な生存ゲームに参加した7人の張り詰めた心理戦や、事件の真実を解き明かすサスペンスが展開される。
メインキャストは、オム・ギジュン、ファン・ジョンウム、イ・ジュン、イ・ユビ、シン・ウンギョンなど、他にも錚々たる俳優陣が出演している。
脚本は、社会現象を巻き起こしたSBSの大ヒットシリーズ『ペントハウス(2020、2021)』を手掛けた、キム・スンオク作家が担当。“막장(マクチャン)”と呼ばれる、日本の昼ドラのように非現実的で無理が多い“泥沼劇”を通じて、数々のヒット作を連発してきた作家だ。
そんな彼女の新作ドラマは放送前から高い話題性を集め、今年下半期の期待作として大きな注目がされていたのだが、いざ放送が始まると、過激すぎる内容だと評価が荒れ、早々と物議を醸してしまっている。
しかしその状況こそ、韓ドラ界における“成功法則”の一つ。「悪口を言いながらも、なんだかんだ観ちゃうんだよね」というのが、韓国マクチャンのお決まりだからである。ところが、今回は少し様子が違うようだ。

キム・スンオク作家が脚本を手掛けた大ヒット作『ペントハウス』シリーズ (画像出典:SBS)
初回視聴率6.0%で始まった『7人の脱出』は、じわじわと数字を伸ばし、第4話で最高視聴率7.7%を記録。しかし、そこをピークに10月14日に放送された最新話(第8話)は6.5%と下がってしまった。
キム・スンオク作家といえば、SBS『妻の誘惑(2008)』では最高視聴率37.5%、MBC『私はチャン・ボリ!(2014)』では37.3%を叩き出した実力者。
前作の『ペントハウス』シリーズでは、貧富の格差や校内暴力、受験戦争、家庭内暴力など社会問題をふんだんに盛り込み、2021年に放送されたシーズン2では、最高視聴率29.2%を記録した。
放送中は、刺激的なストーリー展開に批判が集まり物議を醸したが、視聴率の面では大成功を収め「さすがキム・スンオク作家」と評価を受けている。
『ペントハウス』は様々な議論が起きても、それが高い話題性につながるという良い効果をもたらし、マクチャンドラマとして視聴者にうまく受け入れてもらうことに成功した。
しかし新作『7人の脱出』は、初回から想像をはるかに超える刺激的な展開だった。その「あり得なさ」レベルは、視聴者の許容範囲を超えてしまっていたよう。
そのため「苦情を言いながらも観ちゃう」といったマクチャンならでの“成功法則”も通用せず、視聴率が低迷している。
(関連記事)「いくらキム・スンオクとはいえ」刺激的な内容により放送中止を求められる韓国ドラマ

『7人の脱出』に出演している俳優陣 (画像出典:SBS)
また『7人の脱出』では、キム・スンオク作家特有の「コグマ・サイダー展開」のバランスが良くないという指摘も上がっている。
韓国では、さつまいもが喉につっかえたように息が詰まる展開を「コグマ(고구마/さつまいも)」、その反対にスカッと爽快な気分になる展開を清涼感のある「サイダー」と表現する。
この両方を楽しめるのが泥沼復讐劇の魅力でもあるのだが、『7人の脱出』はピカレスクを追求しながらも、視聴者が望むだけの十分なサイダーを提供できなかったようだ。
また最近は、ドラマは気楽に観たいと“ストレスフリー”の作品を求める視聴者が増えている。
その良い例が、今年6月から放送されたJTBC『キング・ザ・ランド』である。

2023年のヒット作『キング・ザ・ランド』(画像出典:JTBC)
2PM(ツーピーエム)イ・ジュノと少女時代(SNSD)ユナが演じたラブコメ作品は、身分違いの恋というシンデレラストーリーの要素を含んではいるものの、そこまで重い内容ではなく「コグマ」展開も少ない。
安心して視聴できるストーリーで、気軽に楽しめると好評を得た。
また現在は、10月8日から放送が始まったJTBCの新作『力の強い女 カン・ナムスン』が人気を見せている。
本ドラマは、生まれつき超人的な怪力を持つ主人公ナムスンが活躍する作品。彼女が披露する突き抜けた超人パワーは、あり得ないと理解しつつも思わず笑ってしまう面白味があり、ノーストレスで楽しめる内容となっている。
視聴率は回を追うごとに伸びており、もうすぐ2桁台に突入というところまで来ている。
最近の視聴者は、奇をてらい過ぎたものやどんでん返しが繰り広げるなど、複雑に絡まった内容が続く「コグマ展開」を観ることにエネルギーを注ぎたがらない。観ていてストレスを感じさせるようなドラマは、敬遠されがちなのである。
もはや、議論があっても高視聴率を叩き出していた韓国ドラマの“成功法則”は、通用しないのだろうか。
『7人の脱出』の不振から、韓国ドラマのトレンドの変化がうかがえる。
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