- 9月20日、Disney+(ディズニープラス)オリジナルシリーズの韓国ドラマ『ムービング』の最終話が配信された。
- この夏の大ヒットとなった本作は「Netflixの配信なら『イカゲーム』を超えたかも」と高い評価を受けている。
- その理由は、拡張性のある世界観の描写と、それを作り上げる重要な基盤があるからのよう。
今夏の大ヒット作となった、Disney+(ディズニープラス)オリジナルシリーズの韓国ドラマ『ムービング』。
8月9日に、全20話中の第7話までが一挙配信されるとすぐに話題を独占。その人気ぶりは、韓国だけでなく世界へと広がった。
Disney+は、OTT市場でNetflix(ネットフリックス)の対抗馬に挙げられるも、興行と話題性の部分で「大成功」と言えるヒット作にはなかなか恵まれずにいた。
しかし、『ムービング』で高い話題性と人気を獲得し、一部の韓ドラファンからは「Netflixでの配信だったら『イカゲーム』を超えていたのでは?」とまで言わしめた。
これまでNetflixの陰に隠れてしまっていたDisney+が、一気に快進撃を見せたのである。
『ムービング』は、超能力を隠して暮らしている子どもたちと、過去の辛い秘密を胸に秘めて生きてきた親たちが、時代と世代を越えて押し寄せる巨大な危機に共に立ち向かっていく、本格アクションヒーロー作品。
これまで韓国型のヒーローものは良い成績を得られなかったため、放送界からは期待とともに憂慮の声が上がったが、いざ配信が始まると大好評。超能力の描写やアクションシーンの完成度が高く「見応え抜群!」と人気を維持して突っ走り、9月20日に最終話が配信された。
9月25日現在、映画やドラマなどのレビューサービス・Filmarks(フィルマークス)での日本人視聴者の評価は、星5つ中4.5と高い値。レビューコメントを見ても称賛の声で溢れている。
『ムービング』は、一部のドラマファンから「Netflixだったら、もっと世界的なヒット作になっていた」と評価されている。
では、比較対象の2021年の世界的な大ヒット作『イカゲーム(Netflix)』よりも、『ムービング』が“上手(うわて)”と言われる理由は、どこにあるのだろうか?
それは、作品自体に重要な基盤があるかないかという点が挙げられる。
まず『イカゲーム』は原作がなく、Netflixオリジナルの作品だが、『ムービング』の原作は、韓国で大人気の同名ウェブトゥーン。
実写化にあたり、登場人物の子どもや親それぞれを主人公にしたエピソードや、各キャラクターの細かな描写が盛り込まれ、作品のクオリティーの高さと俳優陣の好演が評価されているが、それは、原作漫画を手掛けたKang Full作家が、ドラマの脚本を務めているということが大きい。
Kang Full作家は、『ムービング』の前に、時間を制御する超能力者たちの物語『タイミング』や、両作品の世界観が繋がる『ブリッジ』を手掛け、ウェブトゥーンファンの人気を得た経緯がある。
『ブリッジ』では、『ムービング』の主人公たちが『タイミング』の主人公たちと共にヒーローとして活躍する姿が描かれている。
すなわち『ムービング』の世界観は、同じ作家作品を通じて連結しており拡張性がある点で、原作ファンにも高く評価されているのだ。
Netflixオリジナルの『イカゲーム』は、シーズン2の制作が決定し、現在は2024年の公開を目指して撮影中。
『ムービング』のシーズン2の可能性については、まだ何も確定したことは発表されていないが、ストーリーに重要な基盤があるだけに、さらなる世界観の拡張は可能だと予想されている。
実際に最終話には、Kang Full作家の他の作品に登場する超能力者が手だけ登場したり、続編を暗示させるような“ネタ”が隅々に盛り込まれ、視聴者の期待感を刺激している。
(関連記事)「ムービング」シーズン2への期待感!ユ・スンホのキャスティングが浮上する理由
韓国メディアの報道によると、Disney+内部でも新シーズン制作に対する肯定的な反応が出ているという。
これまで「マーベル」シリーズを通じてグローバル視聴者を獲得してきたDisney+にとって、『ムービング』の大成功は、新しい韓国のヒーローシリーズになる可能性をも生んでいる。
原作の世界観を見事に実写化し、さらなるストーリーの拡張が見込める『ムービング』と、メイン原作はないものの、シーズン1で大成功を収め、シーズン2の公開が待ち遠しい『イカゲーム』。
『ムービング』の方が“一枚上手”と評価される中、果たして、NetflixとDisney+のOTT市場対決、そして2つの大ヒット作の続編対決が見られる日は来るのだろうか。
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