- 韓国時代劇の主人公は、王の息子で次期王の座を約束された世子である場合が多い。
- 実在した歴史上の人物をモチーフにヒロインとのロマンスを描いた作品が定番の中、時折悲運の人生を歩んだ王子が取り上げられることも。
- 時代劇ファンなら知っておくとさらに物語を楽しむことのできること間違いなしの彼らの悲しいエピソードと、登場する作品を紹介する。
韓国時代劇の主人公といえば王だが、それと同等の頻度で登場するのが王の息子である世子だ。
大抵の場合実在した人物をモチーフにイケメン俳優が演じ、フィクションを交えてヒロインと切なく甘い恋物語を繰り広げるのがお決まりのパターンだが、中には悲運の人生を歩んだ世子も。
ドラマや映画の題材やワンシーンでそのエピソードが取り上げられ、悲しい物語が観る者の心を締めつける。
そこで本記事では、朝鮮王朝で悲運な人生を歩んだと言われている王子3名と、彼らが登場する作品を一部紹介する。
韓ドラ時代劇好きなら、知っておくとさらに物語を楽しめること間違いなし。
思悼(サド)世子
英祖(ヨンジョ)が42歳の時に生まれた思悼(サド)世子。
年をとってからの子どもであったためたいそう息子の誕生を喜んだそうだが、それだけに期待が大きく、強い国王にするために厳しく育てたのだとか。
しかしそれが本人には重荷となったのだろうか、思悼世子は奇行を繰り返すようになり遂には精神に異常をきたして宮中の人々を殺害してしまう。
そこで息子を米びつに閉じ込めることにした英祖。皮肉にも、大切にしてきた我が子を8日後に死亡させてしまった。
このエピソードは、2015年公開の映画『王の運命-歴史を変えた八日間』で描かれており、実力派俳優ソン・ガンホとユ・アインがそれぞれ英祖と思悼世子を熱演。小さな衝突がやがて大きな確執となり悲惨な事件へと発展する過程が描かれた。
また『秘密の扉 (SBS/2014)』では、ハン・ソッキュとイ・ジェフンが親子役で登場、“米びつ事件”を異なる視点でとらえ、フィクションを織り交ぜながら悲しい歴史を取り上げた。
その他、思悼世子は『イ・サン』(MBC/2007)や『夜を歩く士<ソンビ>』(MBC/2015)『赤い袖先』(MBC/2021)などにも登場している。
昭顕(ソヒョン)世子
世子であれば国王になるのが通例だった時代、悲しくもその夢を叶えずしてこの世を去ったのが、朝鮮第16代国王・仁祖(インジョ)の息子である昭顕(ソヒョン)世子だ。
朝鮮の降伏により終結を迎えた*丙子の乱の後、約定に従い清の人質となり1637年~1645年まで清に連行されていた彼。
*丙子の乱:1636年に起きた清の第2回朝鮮侵略(出典:コトバンク)
8年後にやっと解放され母国に戻ったのだが、清の侵略により屈辱を味わった仁祖は、清で様々な文物に触れ朝鮮を極大化させる計画をもった息子が気に食わない。また、清を敵国であると認識している臣下とも摩擦が生じることに。
丙子の乱によって国を戦争に巻き込み民に大きな被害を与えたとして印象のよくなかった仁祖は、自らが抱える問題を息子になすりつけ、臣下の反発までも責任転嫁して昭顕世子を毒殺してしまったとの説もある。なんと、彼が帰国してまもなくのことだったのだとか。
ドラマでは日本でも大ヒットした『チュノ~推奴~』(KBS/2010)で、カン・ソンミンが昭顕世子を演じたことが。人質として清に連れていかれる姿から、喀血して謎の死を遂げるまでが描かれている。
また『華政』(MBC/2015)では、ペク・ソンヒョンが昭顕世子を熱演。人質だった時代の話はそこまで詳しく描かれていないものの、物語において彼の死は大きな出来事として取り上げられている。
その他、『馬医』(MBC/2012)や、『花たちの戦い ~宮廷残酷史~』(JTBC/2013)でもこの事件は取り上げられており、『三銃士』(tvN/2014)や『イルジメ~一枝梅~』(SBS/2008)などにも登場している。
孝明(ヒョミョン)世子
孝明(ヒョミョン)世子は頭脳明晰で政治力があり、「朝鮮第23代国王・純祖(スンジョ)の跡を継いで国王になっていたら、朝鮮の運命は変わっていたかもしれない」とまで言われているが、わずか22歳という若さでこの世を去った人物だ。
息子の才能を買った純祖は早い段階から孝明世子に政治を代行させ、世子は能力を発揮していった。
しかし突然この世を去ることに。死因が明かされていないため、なぜ亡くなったのかはいまだ謎に包まれたまま。朝鮮の希望であった孝明世子は短い生涯を遂げた。
彼の急死により王位継承は混乱、朝鮮王朝は衰退せざるを得ない状況に追い込まれたという。
そんな孝明世子の登場する作品が、2018年に公開された映画『風水師 王の運命を決めた男』。
『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』(tvN/2016)で死神の前世ワンヨ役を演じたキム・ミンジェが担当している。
特別出演のため登場シーンは少ないが、オープニングで吐血して亡くなるシーンに登場した。
その他、多くの女性視聴者を胸キュンの渦に巻き込んだ『雲が描いた月明かり』(KBS2/2016)で、パク・ボゴムが演じたイ・ヨンのモチーフになった人物だと言われている。
短い人生だったことから、ドラマや映画でほぼ取り上げられることがない世子だ。
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