• 韓国時代劇にはいくつかの種類がある。
  • 韓国では、史実に基づいた『大河ドラマ』だけではなく、フィクションを混ぜた『ファクション時代劇』も人気がある。
  • 本記事では『大河ドラマ』と『ファクション時代劇』の特徴を天秤にかけて、それぞれどんな人にお勧めできるかをご紹介。

近年、世界的に人気を博している韓国時代劇ですが、その中にはいくつかの種類があります。

日本の時代劇と言えば、史実を基にしたストーリーの『大河ドラマ』が有名ですが、韓国ではフィクションを混ぜた時代劇作品も一般的。

そういった時代劇が、韓国では『ファクト(事実)』+『フィクション』という意味で『ファクション時代劇』とされています。

では韓国時代劇の『大河ドラマ』と『ファクション時代劇』には、どういった違いがあるのでしょうか。

本記事では、韓国時代劇を見てみたいと考えている方向けに、『大河ドラマ』と『ファクション時代劇』の魅力の違いを比べて天秤にかけてみたいと思います。

 

ストーリーの違い

冒頭で日本の『大河ドラマ』の名前を出しましたが、韓国でも同じ名前で呼ばれるジャンルが。それが本記事で取り上げる『大河ドラマ』で、歴史的資料を基にした正統派時代劇のことを言います。

現代的な感覚やフィクション要素を可能な限り抑えるため、雰囲気は一般的な韓国ドラマに比べて堅めです。

また、歴史上の大きな出来事や人物をモチーフにすることが多いため、長編が多いことも特徴。

一方、『ファクション時代劇』は史実を基にする点では同じですが、そこにフィクションを織り交ぜてエンタメ性を高めています。

恋愛要素を強めて描いたファクション時代劇の人気作品『赤い袖先』(画像出典:MBC)

多くは恋愛やコメディの要素を追加して視聴者が感情移入しやすくなっていたり、サクセスストーリー仕立てで展開にメリハリを持たせている作品もあり、現代劇に近い雰囲気になっています。

以前は『ファクション時代劇』も長編が多かったようですが、近年では16話構成が基本のミニシリーズの作品も増えています。

代表作

では、それぞれどんな代表作があるのか見ていきましょう。

『大河ドラマ』としてよく知られているのは韓国時代劇の元祖とも言われる『龍の涙』(1996~1998)。全159話の長編で、李氏朝鮮時代初期から第4代国王世宗(セジョン)時代までの朝鮮王朝創世記を描いた作品です。

他には『王と妃』(1998~2000)、『大祚榮』(2006~2007)、『太祖王建』(2000~2002)、『不滅の李舜臣〈イ・スンシン〉』(2004~2005)といった代表作があり、どの作品も最高視聴率30%を越えた人気作。

2021年にKBSが約5年ぶりに大河ドラマとして放送した『太宗イ・バンウォン』は、朝鮮王朝第3代王・太宗(テジョン)の生涯を、近年のトレンドでもあるピカレスク(善人と悪人を物語上で区別しない)を取り入れて描き好評を獲得しました。

また、今年11月からは『高麗契丹戦争』が新作大河ドラマとして放送予定。第8代高麗王・顕宗(ヒョンジョン)と、契丹の高麗侵攻で国を守った英雄とされているカン・ガムチャン将軍を主人公とした物語を壮大なスケールで描くとされ期待を集めています。

大河ドラマとして伝説的な人気を誇る『龍の涙』(画像引用:CNTV Twitter)

対して『ファクション時代劇』をヒットさせた立役者として知られているのがイ・ビョンフン監督。代表作は『宮廷女官チャングムの誓い』(2003)、『イ・サン』(2007)、『トンイ』(2010)など。

特に『宮廷女官チャングムの誓い』は、たった数か所の歴史書の記載から医女チャングムの人生を壮大なサクセスストーリーとして作り上げ、ファクション時代劇を一大ジャンルまで押し上げたと言われています。

歴史から外れない程度に創作を含むため、多くの作品が主人公の幼少期からスタートし、初恋をしたり子供時代の苦労を描写することも特徴。

また、日本でも絶大な人気を誇る作品として知られる『奇皇后』(2013)や『赤い袖先』(2021)もファクション時代劇に分類されます。

どんな人におすすめ?

韓国の『大河ドラマ』は、史実を基にしているという部分で日本の『大河ドラマ』と通じる部分も多いため、日本の時代劇をよく観るという方にも馴染みやすいかもしれません。

また、少し昔の作品では韓国から見た日本人が一癖ある姿で描かれているというのも特徴のひとつ。何となく衣装や髪形が時代と合っていなかったり、不思議な言葉を話していたり、悪役であることが多かったり‥。突っ込み所として捉えられる方にはユニークな点として楽しまれる要素のよう。しかしここに引っかかる方には注意が必要です。

壮大な史実にロマンを感じるという方や、昔ながらの本格的な雰囲気の時代劇が好きな方、韓国の歴史を学びながらドラマも楽しみたいという方に向いています。

左:大河ドラマ『太宗イ・バンウォン』(画像出典:KBSdrama公式Instagram)、右:ファクション時代劇『宮廷女官チャングムの誓い』(画像出典:MBC)

一方、『ファクション時代劇』は創作も多く含まれますが、フィクションと気付かずに観てしまうという場合も多いため、韓国の歴史を学びたい方が視聴する場合は注意。

日本でも人気が高く、動画配信サービス(VOD)などでも多く配信されていて視聴できる機会が多いということも特徴です。

現代劇に近い感覚で楽しめるため、時代劇初心者の方や歴史ものは難しいというイメージを持っている方に向いています。

また、もっとライトな雰囲気の時代劇を求める方には『フュージョン時代劇』というさらに進化した韓国時代劇もお勧め。史実に基づいているかどうかを重視せず、魔法や転生などファンタジー要素も何でもありのエンタメに特化した時代劇です。

ウェブトゥーン等が好きな方、衣装や建築といった時代劇の視覚的な部分に魅力を感じる方に向いています。

あなたが韓国時代劇を見るとしたら『大河ドラマ』と『ファクション時代劇』どちら?

小原 エリ

Kカルチャーの新鮮な情報を、身近な言葉でシンプルにお伝えできるように頑張っています。主にまとめ記事を担当。新しいK-POPや韓国ドラマとの出会いのきっかけを作れると嬉しいです

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