- 最近の韓国ドラマは、シーズン制で放送する作品が増え始めている。
- しかし、視聴者が「シーズン1ほどではない‥」と残念な反応を示すことも少なくない。
- ある大衆文化評論家は、韓国のシーズン制は外国とは異なるシステムであり、リスクを高める状況を生んでいると指摘している。

『D.P. −脱走兵追跡官−: シーズン2』(画像出典:Netflix Korea)
最近の韓国ドラマ界では、高い人気を獲得した作品が、シーズン2で帰って来るケースが増えている。
しかし、どうやらこの方式を取った作品の人気不振が相次いでいるようだ。
この状況について、大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏(以下、チョン氏)は『韓国式シーズン制ドラマ、視聴者はなぜそっぽを向くのか』と指摘。コラムを通じて、シーズン制韓国ドラマの人気低迷について分析している。
チョン氏によると、最近シーズン2として放送される作品が多くなったのは、成功の可能性が高いと判断したためでもあるが、リスクを減らすための選択でもあるという。
しかし、実際のところ、シーズン制を選択した効果を得られた作品は、そう多くはないよう。
チョン氏がまず例に挙げるのは、2021年のNetflixオリジナルシリーズ『D.P. -脱走兵追跡官-』。
本ドラマは当初「軍隊が素材のドラマ?」と世間から憂慮の声が上がったが、それを見事に払拭し、韓国では男性だけではなく女性視聴者からも好評を得た。
物語の主役は、脱走兵を捕まえる部隊“D.P.”で、そこに軍隊の外で起きる多様な事件が加わるが、何よりの魅力は、D.P.でバディーを組むアン・ジュノ(チョン・ヘイン扮)とハン・ホヨル(ク・ギョファン扮)の2人。彼らの演技が普遍的な面白さを作ったことで、海外からの反応も良く、シーズン2が制作された。
そして、今年(2023年)7月に『D.P. −脱走兵追跡官−: シーズン2』を公開。ところが視聴者は「シーズン1ほどではない‥」と薄い反応を示してるという。
理由は、シーズン1よりもさらに大きくなったスケール。軍内で起きている様々な事件を隠蔽しようとする軍首脳部と戦う話がメインになったことで、作品の核心的な魅力要素だったジュノとホヨルのバディー色が消えてしまったのである。
シーズン2として満を持して制作されたものの、物語の軸が変わったことで、シーズン1ほどの人気を得られずに残念な結果を生んでいる。

『悪霊狩猟団:カウンターズ2:カウンターパンチ』(画像出典:tvN)
またチョン氏は、7月29日に放送が始まった、tvN(Netflix)『悪霊狩猟団:カウンターズ2:カウンターパンチ』も同じ状況だと指摘する。
このドラマも、シーズン2でスケールがさらに大きくなった。悪鬼3人組の登場でアクションシーンもさらに強力となり、悪霊ハンターの“カウンター”たちもグレードアップ。シーズン1では、ククス店を基地にしていたが、それも立派な場所に変わり制服も変わった。
しかし、期待された盛り上がりは見られず「むしろククス店という庶民的空間を基地にしていたシーズン1の世界観が良かった」「人物の感情に触れるストーリーが、シーズン2では弱くなった」という残念な反応が上がっている。
では、なぜこのような結果になっているのか、これには何か構造的な理由があるのだろうか。
チョン氏によると、韓国ドラマのシーズン制は、海外とは全く異なるシステムだという。
韓国では、シーズン制を念頭に置いてドラマを作っておらず、成功したから次シーズンを制作しようと決まるが、米国ドラマの場合、最初にパイロット版を作り、反応が良かったら本格的な制作に入るという方式を念頭に置いている。
そのため、シーズン1の最終話であっても完結しない場合が少なくないが、だからといって問題にはならない。シーズン2で戻ってくることを示す、ただのシーズン1の締めくくりだからだ。
しかし、韓国ドラマのシーズン制は、シーズン1とシーズン2に連続性があるというよりは、各シーズンごとに新たなストーリーが求められる。そのため、シーズン2の制作にあたっては「前作よりもさらに強力な何かが無ければならない」といった強迫観念を生んでいる。

『浪漫ドクターキム・サブ3』(画像出典:SBS)
一方で、今年シーズン3まで放送され、異例の成功を収めた作品もある。SBS『浪漫ドクターキム・サブ3』である。
演出のユ・インシク監督によると、もともとシーズン制を考えていなかったため、制作過程にはそれなりに苦労があったという。
特に難しかったのは、シーズン2で主人公キム・サブ(ハン・ソッキュ扮)の長年の夢だった重傷者外傷センターが建てられ、話がすでに一段落してしまった点。
シーズン3では、その外傷センターの完成後、そこで働く人々のジレンマを扱ったが、これはストーリーを構成するのが容易ではなかったと監督は話す。
それでもドラマがシーズン3まで成功できたのには、2つの理由があると大衆文化評論家のチョン氏は言う。
まずは、“キム・サブ”という魅力的なキャラクターが継続して物語の中心を取ったこと。シーズン制の核心的な力は、まさにこの魅力的なキャラクターにあったのである。
2つ目は、外傷センターを巡る多様なエピソードが存在したこと。毎シーズン、大きな流れのストーリーを設定することは難題だが、各回のエピソードを描くための事例があるため、シーズン制を描くことが可能だったと見られている。

『ザ・グローリー』パート2 (画像出典:Netflix)
また、シーズン制を制作段階から考慮した、実験的な事例の韓ドラ作品も出てきた。
代表的な成功事例に挙げられるのは、SBS『ペントハウス』、Netflixオリジナルシリーズ『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』、tvN『還魂』など。
これらの作品はシーズン制というよりも、一度に撮影した作品を分けて放送する、“パート制”が取られている。
続編として扱わないため、ストーリーの大筋が一貫していて一つの連結性が継続されたため、視聴者に満足感を与えることができた。
「シーズン2は、シーズン1ほどではない」という評価が聞こえている、シーズン制の韓ドラ作品。
チョン氏は、リスクを減らすために続編のようにシーズン2を制作する現在、韓国ドラマのシーズン制が前シーズンとの連続性を失ったり、魅力を消してしまう結果につながり、むしろリスクを高める状況を生んでいると分析している。
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