日本でも根強い人気を誇る韓国ドラマ。ラブコメやサスペンス、アクションや時代劇などジャンルも豊富。ドラマが楽しい内容なのか否かは、出演俳優たちの力量は勿論だが、ドラマ作家たちの執筆力が大きなカギを握っている。高視聴率の裏には作家たちの想像を超えるストレスも‥。今回は、人気作家たちのストレスにスポットを当ててみる。

最近、日本をはじめ全世界で韓国ドラマが人気を呼んでいる。想像力を刺激するファンタジードラマから、人々が共感できる日常のストーリーなど‥

韓国ドラマ市場の成長のもととなっているのは、出演俳優の演技力も勿論だが、何といっても作家の功労が大きい。ドラマが放送される前に作家の名前だけを見て大衆は視聴するか否かを決めるし、先に韓国でヒットすれば海外に輸出されたり、海外の視聴者たちを流入させることが出来るためだ。

ドラマ作家と聞けば、表向きは華やかで高所得な職業を想像するだろう。だが、ドラマ作家として成功しても、彼らが受けるストレスは想像以上だ。今回は、人気ドラマの裏に隠された作家たちの異常なストレス症状についてまとめてみた。

視聴率という”地獄”

『太陽の末裔』などを手掛けたキム・ウンスク作家(画像出典:太陽の末裔公式HP、百想芸術大賞 Youtube)

ドラマ『太陽の末裔 Love Under The Sun』(2016)『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』(2016)『ザ・キング:永遠の君主』(2020)などの名作を手掛けたキム・ウンスク作家。

『太陽の末裔』が放送されていた当時、視聴率のストレスに対してキム作家は率直にこう打ち明けた。

「俳優のおかげで視聴率が順調ですが、ストーリーに対する評価は3話からだと思っています。第3話の放送後、夜23時から視聴率が出る次の日の午前7時までお酒を飲み続け、地獄のような時間を送りました。視聴率のせいで毎回不安が大きいです」

キム作家のドラマは、どうしても”キム・ウンスク”という名前がつくため、視聴率が落ちればすべての悪口を自身が受ける。幸い第3話で20%を越える視聴率を記録したと聞いて、ようやく眠ることが出来たのだそう。

暴飲暴食・過度な喫煙

『オールイン』などを手掛けたチェ・ワンギュ作家(画像出典:オールイン公式HP、オンラインコミュニティー)

ドラマ『ホジュン 宮廷医官への道』(1999)『オールイン 運命の愛』(2003)『朱蒙』(2006)『IRIS -アイリス-』(2009)などで”スター作家”としての地位を築き上げたチェ・ワンギュ作家。

だが、人気作家でもストレスは侮れなかった。彼は「毎日が時間との戦いです。何日も寝られず、食事を抜いたり暴食をしたりする生活を繰り返すこともあります。タバコは1日に3箱以上吸います。お酒は飲まずに10年になりますが、わざわざ禁酒したのではなく、力尽きてヘトヘトだったので、飲みたい気持ちが無くなったのです」と語った。

視聴率にうなされる夢

『太陽を抱く月』などを手掛けたジン・スワン作家(画像出典:太陽を抱く月公式HP、オンラインコミュニティー)

ドラマ『太陽を抱く月』(2012)『キルミーヒールミー』(2015)などを手掛けたジン・スワン作家。

『太陽を抱く月』の放送終了後、ある媒体と進めたインタビューで、ジン作家は「私が『太陽を抱く月』を手掛けた事実を、視聴者の皆さんは忘れてくれたら嬉しいです。視聴率が高く出るよう、うなされる夢を見るなどストレスをたくさん受けました。放送が終了し、このような責任感から解放されて嬉しいです」とし「ジン・スワンという名前を忘れてください。作家は作品で語るもの。名前で語ってはいけないのです」と語った。

癌よりも苦しい視聴者の反応

『初恋』などを手掛けたチョ・ソへ作家(写真提供:©スポーツ韓国 画像出典:オンラインコミュニティー)

ペ・ヨンジュンが出演していたドラマ『初恋』(1996)は、65.8%という高視聴率で韓国ドラマの視聴率歴代1位を記録している。

同作を手掛けたチョ・ソへ作家は、2005年に癌の闘病中に亡くなったと知られているが、癌による苦痛より、視聴率と視聴者の反応などの圧迫に苦しめられていたというエピソードは有名な話。

視聴率が低ければ、制作陣・作家・俳優との関係が悪化することはもちろん、非難の矢の大部分が作家に向けられるためだ。

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この他にも、MBCドラマ『エデンの東』(2008)のナ・ヨンスク作家も台本を執筆している間に健康状態が悪化して降板を決めたり、『彼らが生きる世界』(2008)のノ・ヒギョン作家は「作品が始まれば、毎日点滴を打って仕事をしている」というエピソードも。

1日10時間以上、時には20時間もの時間を執筆に費やすドラマ作家。彼らはずっと座りっぱなしで机に向かっているため、「青空が見たい」と呟く作家もいるのだとか。

作品の放送がスタートすると、締め切りに伴うプレッシャーや殺人的なスケジュール、また視聴率に対するストレスを受けて私生活がボロボロに崩れてしまう。この世にストレスの無い仕事は無いと言うが、作家たちは、我々の想像をはるかに超えるストレスを抱えているのだろう。

今後、韓国ドラマを視聴する時には、この作品を通じて作家はどのような想いを伝えたいのか‥など、奥深い視点で紐解いていくことも新しい楽しみ方かもしれない。