- tvN『イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで〜』の放送が終了し、最終回は平均視聴率17%を記録した。
- そんな中、劇中に登場する自閉スペクトラム症のナム・ジェウと健常者であるキム・ヨンジュの恋愛が注目を浴びている。
- 彼らの恋愛に対し応援の声がある一方、否定的な意見も寄せられているという。韓国ドラマで知的障がい者の恋は容認されないのだろうか?

3月5日に最終回を迎えたtvN『イルタ・スキャンダル〜恋は特訓コースで〜』(画像出典:tvN)
tvN『イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで〜(以下、イルタ・スキャンダル)』が最終回を迎えた。
物語はハッピーエンドで幕を閉じ、好視聴率を記録。早くも2023年の上半期を代表する話題作となったが、称賛一色ではない。
一部の視聴者からはストーリーに対する否定的な意見も寄せられ、思わぬ議論を生み出した。
その中でも特に話題の中心となったのは、ナム・ジェウとキム・ヨンジュカップルの恋愛だ。
今回はそんな『イルタ・スキャンダル』で様々な意見が寄せられたラブライン(恋愛関係)と、韓国社会が2人の恋愛の模様に対し、抵抗感を感じる理由について考察する。
イルタ・スキャンダルのカップルが話題に
3月5日、『イルタ・スキャンダル』の最終回が放送され、ハッピーエンドで幕を閉じた。

最終回で最高視聴率18%を記録した『イルタ・スキャンダル』(画像出典:tvN)
最終回では全国基準平均視聴率17%、最高視聴率18%を記録し、人気ドラマであることを改めて証明。(ニールセンコリア全国有料世帯基準)
日本でもNetflix(ネットフリックス)の”今日のTV番組TOP10”の上位にランクインするなど、放送終了後も熱い注目を集めている。
しかしその一方で、一部の視聴者からはストーリーに対し、抵抗感を感じるという意見も上がっているという。
その対象となっているのが、劇中に登場するナム・ジェウ(オ・ウィシク扮)とキム・ヨンジュ(イ・ボンリョン扮)のラブラインだ。

オ・ウィシクとイ・ボンリョンの突拍子もないラブラインが話題となった(画像出典:tvN drama 公式Twitter)
ナム・ジェウは主人公ナム・ヘンソンの弟であり、自閉スペクトラム症を持っている。彼は姉の親友であるキム・ヨンジュと交際。最終回で2人は結婚し、キム・ヨンジュの妊娠が明かされた。
幸せな結末を迎えた2人であったが、劇中で突拍子もなく展開された知的障がい者と健常者の恋愛に対し、一部の視聴者からは疑問を感じるという意見も寄せられていた。
ナム・ジェウ役を演じた俳優のオ・ウィシクはインタビューにて、視聴者の意見について言及。
「展開が急だと感じる反応も、視聴者が感じるままにおっしゃられたことだと思います」と視聴者の反応に理解を示している。
(関連記事)「イルタ・スキャンダル」放送終了・・渦中の俳優「視聴者の反応は理解できる」
ウ・ヨンウでも描かれた障がい者の恋愛
知的障がい者と健常者の恋愛に対する議論は、2022年に放送されたENA『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌(以下、ウ・ヨンウ)』でも登場した。

障がい者の恋愛が描かれたENA(Netflix)ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(画像出典:ENA)
パク・ハンビンが演じる主人公ウ・ヨンウは、自閉スペクトラム症を持つ新米弁護士だ。
IQ164と天才的な頭脳を誇り、他の弁護士とは違う観点から事件を解決していく。
ウ・ヨンウが仕事と同僚との関係を通し、成長する姿を描いたハートフルなドラマとして話題を呼び、劇中で登場するイ・ジュノ(カン・テオ扮)との恋愛模様にも、視聴者から大きな関心が寄せられた。
しかし、一部の視聴者からは「現実的ではない」「2人の恋愛に抵抗感を感じる」という意見があったのも事実だ。

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で人気を集めたウ・ヨンウとイ・ジュノのラブライン(画像出典:에이스토리 ASTORY YouTube キャプチャー)
『ウ・ヨンウ』の劇中では実際に、知的障がい者と健常者の恋愛について悩む2人の様子が描かれており、第10話では知的障がい者に対する性的暴行をテーマにした事件が登場する。
物語を通し、視聴者に様々な社会問題を投げかけた『ウ・ヨンウ』。
しかし、韓国社会では未だに知的障がい者と健常者カップルに対し、抵抗感を持つ人々が少なくない。
その背景には韓国国内で度々報じられる、障がい者への性的な虐待やハラスメントが関係していると考えられている。
韓国社会が抵抗を感じる背景
韓国では度々、健常者が障がい者に対する性的暴行や、虐待のニュースが注目を浴びている。

韓国で度々話題となる障がい者への性的暴行や虐待(画像出典:MBCNEWS YouTube キャプチャー)
障がい者を性的に利用し、弄ぶという事例が現実世界で数多く存在していることから、ドラマ内のカップルであっても、手放しに応援できないという意見もあるようだ。
『イルタ・スキャンダル』の劇中でナム・ジェウとキム・ヨンジュの恋愛がスタートした際には、あるシーンが物議を醸した。
第12話でキム・ヨンジュはナム・ジェウを屋台に誘い、2人は酒を飲むことに。
そこで彼女は「最近、心が寂しい。私はいい女じゃない?」と自身の魅力を突如アピールし、「そのイイダコを食べたら付き合って」と、ナム・ジェウに冗談混じりの告白をする。

ヨンジュの告白に対し「気持ち悪い」と正直に答えたナム・ジェウ(画像出典:韓国オンラインコミュニティー)
ナム・ジェウは告白に対し「気持ち悪い(징그러)」と素直に断るが、視聴者からは「障がいを持つ親友の弟を飲みに誘って告白する?」「こんな痛々しい誘惑をヨンジュにさせないで」と厳しい反応が寄せられた。
世間の人々の目に、ナム・ジェウに対するキム・ヨンジュの行動が、あたかも知的障がい者を弄ぶように映っていたのは、韓国社会が抱える障がい者の人権問題が大きくかかわっているためだろう。
今後、韓国ドラマで知的障がい者の恋は容認されていくのだろうか。
いくらドラマのストーリーであっても、つい熱くなってしまう韓国視聴者なだけに、慎重に扱わざるを得ないイシューであることは間違いなさそうだ。
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