【韓流20周年企画-『製パン王 キム・タック(KBS2/2010)』編】2022年は、日韓同時開催が話題となったFIFAサッカーワールドカップから20年を迎える年となる。振り返ると日本の韓流ブームの歩みも、同じようなタイミングだったのではないだろうか。今回は、そんな時代に絶大な支持を得たドラマ『製パン王 キム・タック』を紹介する。
2003年前後に訪れた韓流ブームをきっかけに、現在まで多くの韓国芸能人が来日したが、日本のスターも韓国で熱い支持を得てきた。
そんなスターの1人が木村拓哉だ。
彼は2007年に、映画『HERO(2007)』の宣伝活動と、『釜山国際映画祭』への出席のため渡韓、その際にファンミーティングを開催したことがある。
韓国人ファンから“キムタック”という愛称で親しまれている彼は、同イベントでニックネームに関し質問されると、「韓国に来るとキムさんという名字の人が多いので、聞き慣れない感じもなく自然な感じがします」と語るなど、ファンとの交流を楽しんだ。
ところでこの“キムタック”という呼び名だが、韓ドラファンなら何か思い出さないだろうか。
そう、KBS2ドラマ『製パン王 キム・タック(2010)』だ。
本作は、韓国の高度経済成長期を背景に、コソン食品の後継者を巡り異母兄弟であるキム・タック(ユン・シユン扮)とク・マジュン(チュウォン扮)が、ライバルとして恋やパン作りの技術などを争い成長していく物語。
放送当時本国では、主人公の“キム・タック”が木村拓哉の愛称と同じことから、彼が連想され、由来になっているのではないかとの誤解が生まれたことで知られる。
しかしキム・タックという名は、新聞で世界卓球選手権の記事を呼んでいた父親イルジュン(チョン・グァンリョル扮)が、母親ミスン(故チョン・ミソンさん扮)から妊娠の知らせを聞いた際に何気なく口にした“タック(韓国語で卓球の意)”に、ミスンの名字“キム”を用いたもの。木村拓哉とは全く関係がない。
ところが、イルジュンが会長を務めるコソン食品の日本取引先の代表として、木村拓哉が出演するのではないかとの噂が広がるなど、韓国のファンをザワつかせたこともある。
そういった背景もあってか、『製パン王 キム・タック』は放送がスタートすると、回を重ねるごとに視聴率が上昇していき最高視聴率は50%に達した。
さらには、2010年代視聴率1位、歴代KBSミニシリーズドラマ視聴率1位、KBSHDドラマ視聴率1位という驚異的な記録を打ち出すことに。
日本ではいまだに高い支持を得ており、これまで各テレビ局で複数回に渡り取り上げられてきたため、『製パン王 キム・タック』を知っている人は多いだろう。
事実、ドラマなどのレビューサービス『Filmarks』には、いまだなお多くの感想が寄せられており、その大多数が比較的良い評価を残している。
また中国では衛星放送を介して楽しまれ、他作品を押し退けてなんと視聴ランキング2位の座を獲得、フィリピンでは当初吹き替え版が登場したが、その後フォーマット権を得てリメイクまでされた。
こうして、韓国のみならず海外でも人気を得た本作は、韓国のドラマ史に残る名作の1つに。
日本では現在、動画配信サービスのAmazon PrimeやFODから視聴可能だ。
まだ見ていない人は一度ご覧になってはいかがだろうか。
(構成:西谷瀬里)
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