韓国ドラマ、その人気は国境を越えもはや世界的コンテンツとなった。しかし本国では、描写に対して物申す、“モンスター視聴者”も少なくないようだ。特に、悪役の描写に対して敏感に反応を見せ、放送局にクレームを入れているという。これにより、制作サイドは悪役を立てることに対して、不自由さを強いられる始めているようだ。
バラエティー豊かなジャンル、先の読めないストーリー展開、リアリティー溢れる描写と、魅力的な要素がいくつも揃った韓国ドラマ。動画配信サービスの流行も手伝い、世界的コンテンツへと跳躍している。

韓ドラファンの間では、悪役俳優として知られるイ・ギョンヨン。(画像出典:tvN)
しかし、本国の韓国では、一部の描写に対して敏感に反応し、手厳しい視線を向ける視聴者もいるようだ。
悪役の描写に批判殺到?

劇中の描写に対し批判的な意見が届いてしまった、KBS2『黄金仮面』(画像出典:KBS)
最近、韓国で放送中のKBS2連続ドラマ『黄金仮面』に対して、「児童虐待の場面描写が露骨だ」との意見が寄せられたという。
問題となったのは、7月5日放送分に盛り込まれた、子どもを飢えさせる姿とクローゼットに監禁するシーン。
継母のソ・ユラ(ヨン・ミンジ扮)が、夫と夫の前妻に対して怒りを覚え、義理の息子で幼稚園児のホン・ソジュン(チョン・ミンジュン扮)を苦しめる姿が描かれた。
ソ・ユラは、病気のホン・ソジュンに「お腹が空いたの?」と尋ねた後、「あなたはちょっと飢えてみるべきね」と言い、持ってきたお粥をゴミ箱に捨ててしまう。
さらにユラはソジュンに「またクローゼットの中に入ることになるよ」と脅迫。部屋の中からは「ごめんなさい、許してください」というセリフが響き、子どもがクローゼットに閉じ込められたことを思わせるシーンがあったのだ。
放送直後、視聴者掲示板には深刻な社会問題である児童虐待を、ドラマの素材として扱ったことに対する批判が殺到。
寄せられた投稿は「多くの人が見る時間帯に、公営放送で児童虐待を見せるのは止めてほしい」「児童虐待は、単純な刺激的素材ではなく犯罪行為」「繰り返される子どもの虐待シーンは、いつまで出てくるのか。子役も心配」といった懸念の声が多くを占めている。
これに対し、KBS側は「(指摘を)謙虚に受け止める。今後はさらに留意して制作する」と謝罪。同時に、該当シーンを再放送と再放送映像から削除している。
リアリティーを高めるためには欠かせない“悪役”だが‥
ドラマの醍醐味と言えば、散々ひどい行いをしてきた悪役に天罰が下るシーンだろう。これには視聴者も、“スカッと(韓国ではサイダードラマということも)”感を味わっているはずだ。
つまり、韓国ドラマにおいて“悪役”は欠かせない存在と言えよう。
様々なジャンルがあれど、どの悪役も視聴者に不快感を与え、反感や怒りを買う役割を担っている。
彼らの悪行は、飲酒運転、暴力、未成年者による飲酒喫煙など、身近にある不法行為から、性犯罪や児童虐待、そして連続殺人と、残忍な犯罪行為にまで及ぶ。
ドラマへの没入感を高めるために、作り手はよりリアルに迫った描写を演出しているのだが、これは視聴者から寄せられる「子どもが真似する」といった懸念や、「不快感を与える」などのクレームと常に背中合わせだ。
残忍な描写には、もちろん目を覆いたくなるし、倫理的観点から見れば疑問も生じる。しかし、これはあくまでもフィクションの世界。
“ドラマ”はあくまでも想像上の出来事であり、虚構でもある。そこに目を光らせ、いちいちクレームを入れるのは、少々度が過ぎているのでは‥という印象が拭えない。
意見ではなく、クレーム? モンスター化する視聴者
これ以前に、歴史歪曲との指摘を受けたSBS時代劇『朝鮮駆魔師』をはじめ、放送前から議論に巻き込まれたJTBCドラマ『スノードロップ』など、視聴者から多くのクレームを受けたドラマは数知れず。
結局『朝鮮駆魔師』は、わずか2話をもって放送を中断するという前代未聞の事態となり、『スノードロップ』はテレビ局側がドラマの意図を粘り強く説明し続け、何とか最終回まで放映したものの、最後まで視聴者から支持を得る事はなかった。

俳優のチョン・ヘインと、BLACKPINKジスの共演で大きな関心を集めた、JTBC『スノードロップ』(画像出典:JTB)
韓国は特に、視聴者の視線が厳しいと言われている。その結果、ドラマはさらなる進化を遂げたことも確かだ。
しかし、中には“モンスター”と化す視聴者も存在する。もはや指摘ではなく、重箱の隅をつつくように細かなクレームをつけ、意のままに方向性を変えさせようとするのだ。
韓国ドラマが“世界的コンテンツ”となるまでには、幾つもの作品が誕生している。つまり、それと同じくらい“悪役”も登場していることになる。
ジャンルによっては、彼・彼女らの存在がなければ、ドラマを盛り上げることはできない(もちろん、巧みな描写を用いた作り手側の手腕もある)。
過激すぎる描写に眉をひそめるのは当然だ。だが、フィクションの世界において、リアリティーを高めるための描写への厳しい指摘は、表現に限界を与えかねない。
解決の余地がある“意見”であれば、その先に光はある。だが、それがひとたび“クレーム”となれば、そこに発展はないだろう。
この状況は、悪役もまた主役といった韓国ドラマ特有の面白さを狭めてしまうように見え、少々残念に感じてしまう。
(構成:星野沙)
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