“歴史歪曲”議論に巻き込まれた、JTBCドラマ『雪降花:snowdrop』。2021年下半期の放送を前に、いまだ批判が続いている状況だ。しかし、このタイミングでインターネット上では”JTBC会議録”なる文章が広まっている。そこには「ドラマの内容は、批判されているものとは正反対」と記されており、これを見た一部のネットユーザーからは「制作側がきちんと反論すべきだ」との声が届けられている。
2021年下半期(9月編成予定)に放送を控えているJTBCドラマ『雪降花:snowdrop』(仮題/以下、雪降花)。

議論前に公開された、JTBC『雪降花:snowdrop』ポスター(写真提供:©スポーツ韓国)
俳優のチョン・ヘインとBLACKPINK(ブラックピンク)のジスが共演することで話題を集めたが、ドラマのあらすじが公開されると「北朝鮮のスパイを美化している」と疑問提起されてしまう。放送前にもかかわらず、”歴史歪曲”の恐れがあるという指摘までが飛び出し、議論にまで発展してしまった。
あらすじが公開されただけでこのような状況になったのは、歴史歪曲論争で激しい批判を受けた末、第2話にして幕を降ろしたSBS『朝鮮駆魔師』による影響が大きい。
この余波により『雪降花』は、韓国大統領府の国民請願掲示板に制作や放映の中止を訴える請願までが掲載されてしまうことに。
このような中、『雪降花』の放送開始が近づいている韓国では、オンラインコミュニティーを中心に”JTBC会議録で言及したドラマ『雪降花』内容”という文書が広まっている。

BLACKPINK(ブラックピンク)のジスは本作で本格演技デビューする(画像出典:ジスInstagram)
そこに書かれているのは、SBS『朝鮮駆魔師』の放送終了について衝撃を受けていることや、この件により『雪降花』も議論に巻き込まれてしまったといった内容だ。
『雪降花』が議論に発展したことについては、「問題となったキーワードを見ると、”背景が80年代”、”軍事政権、学生運動、スパイが主人公だ”、”ロマンスがある”、”ヨンチョ”という実在人物が登場するというものが見られ、ネットユーザーからは民主化運動を雑に扱う、*安全企画部やスパイを美化するドラマではないかと誤解されています」と記されている。
*安全企画部:元韓国中央情報局 軍事独裁政権下で公安警察の業務を担当。民主化運動をした大学生や労働者を北朝鮮のスパイに仕立て処刑するなどの悪事を働いたことで知られている。
これに続いて、「実際は誤解している部分と正反対の内容であるドラマ」とし、「その当時、軍事政権と結託した安全企画部、その次に北朝鮮を活用した軍事政権の政権延長の時代像を批判するドラマだ」と説明。その中で繰り広げられる主人公たちの叙事を描いていることを強調していた。
これを読む限り、どうやらネットユーザーらは、あらすじに含まれているいくつかのキーワードだけで勝手な解釈をし、怒りや批判を浴びせていたようだ。

ジスと共に主演を務める、俳優 チョン・ヘイン(写真提供:©スポーツ韓国)
このような勝手な解釈にもかかわらず、ほかのネットユーザーからも共感を呼んでしまい、大きな批判へと発展してしまった。これに対して制作サイドが説明するも、彼らは聞く耳を持たずさらにヒートアップしている。
制作サイドからドラマの内容を聞けば、それが誤解だと理解できるはずなのだが、彼らはそれすらもせずにバッシングし続けている。これがモンスター級に大きくなってしまい、JTBC側は反論を前に追い込まれてしまった。その結果、放送前にも関わらず中止に追い込まれてしまう懸念が生じている。
日本のドラマファンからも『朝鮮駆魔師』の二の舞になるのではと心配する声も聞かれており、韓国同様にその行方が見守られている状況だ。
まだ放送がスタートされていないため、実際の内容がどう描かれるのか、どの部分が修正されたかも分かっていない。議論をするのは放送後からでも遅くはないのでは‥?
これに対しJTBC側は、”勝手な解釈”に対してしっかりと反論し、ドラマ内容を誤解なく伝えていく動きが見られているなど、焦りを募らせている。
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