プロのピアニストも驚くほど、作品の中でピアノの演奏シーンを演じるために全身全霊を込めて役作りに励んだ俳優たちがいる。ヒョンビン、ユ・アイン、チュ・ジフン、チ・チャンウクだ。驚異的な役作りで知られる彼らのピアノの実力と出演作品を振り返ってみる。

俳優ヒョンビン、ユ・アイン、チュ・ジフン、チ・チャンウクには共通点がある。作品の中で“ピアニスト”という難役に挑んだ点だ。彼らの中には、実際ピアノの実力が優れている方もいるが、ほとんどが作品の中の役作りのためにピアノを習う情熱と努力を見せている。

彼らの共通点はピアニスト

彼らの共通点はピアニスト(画像出典:tvN、JTBC、SBS)

ヒョンビン『愛の不時着』

『愛の不時着』でピアノを披露したヒョンビン

『愛の不時着』でピアノを披露したヒョンビン(画像出典:tvN)

tvNドラマ『愛の不時着』(2019-2020)の劇中、ヒョンビンは才能のあるピアニストだったが、兄に代わって軍人にならざるを得なかったリ・ジョンヒョクを熱演。

作品の中では、スイス留学をした設定として、スイスの絶景を背景にヒョンビンがピアノを弾くシーンにも出会える。

実際のヒョンビンは、過去の放送を通じて「母親が集中できる時間をたくさん作ってくれました」と、幼いころからピアノを趣味で習ったという事実を明らかにしたことがある。これにより、MBCドラマ『私の名前はキム・サムスン』や、ファンミーティングなどでも優れたピアノの実力を披露している。


『愛の不時着』リ・ジョンヒョクを熱演したヒョンビン(動画出典:eNEWS24)

ユ・アイン『密会』

『密会』でピアノに挑戦したユアイン

『密会』でピアノに挑戦したユ・アイン(画像出典:JTBC)

“ピアニスト”と言えば、この俳優は外せない。2014年にJTBCで放映された、20歳の青年と40歳の人妻が奏でる切ない大人のラブストーリー『密会』のユ・アインだ。

劇中、バイク便のアルバイト イ・ソンジェ役として登場したユ・アインは、高いピアノの実力を誇る“天才ピアニスト”だったため、韓国屈指の芸術財団が経営するソハンアートセンターの室長オ・ヘウォン(キム・ヒエ)の視線を惹きつけることとなった。

ユ・アインは、忙しいスケジュールの中でもピアノの練習に熱中し、携帯電話で演奏曲を聴くことはもちろん、自身の演奏の姿を録画するなど、完ぺきな姿を演出しようと努力した。

当時、『密会』のクラシック・スーパーバイザー(監督者や管理者)であったプロのピアニストは「ユ・アインさんは本当に天才。ピアノを習ったことが無かったのに、一度話せばすぐに理解し、常に感嘆しています」とし「難しい曲でも翌日になると覚えてくることを見て、驚異の集中力を持ち、自身の才能に己惚れることのない物凄い努力家だということが分かりました」と、ユ・アインを称賛した。


『密会』イ・ソンジェを熱演したユ・アイン(動画出典:JTBC Drama)

チュ・ジフン、チ・チャンウク『蒼のピアニスト』

『蒼のピアニスト』でピアノの練習に邁進したチュジフンとチチャンウク

『蒼のピアニスト』でピアノの練習に邁進したチュ・ジフンとチ・チャンウク(画像出典:SBS)

2012年にSBSで放映されたドラマ『蒼のピアニスト』は、天才ピアニストのストーリーを扱っている。

裕福な楽器メーカーのオーナー家を舞台に繰り広げられる、若き天才ピアニストの“愛と夢”、その裏側にある“哀しみと憎しみ”を描いた、痛いほどに切ない究極のラブロマンスだ。天才ピアニストのジホ(チュ・ジフン)と、異母兄弟であるイナ(チ・チャンウク)として熱演を繰り広げた2人の俳優。彼らは実際、ピアノの実力はそれほど高くはなかったが、配役のために多くの努力を傾けた。

製作発表会当時、チュ・ジフンは「俳優の立場としては直接弾きたかったのですが、練習時間がそれほどなく、本格的なクラシックはやはり難しいです」とし「楽曲をたくさん聴いて、拍子、メロディーを熟知してリアクションやジェスチャーを合わせられるように準備をしました」とコメント。

チ・チャンウクは「ピアノを弾く時、ジェスチャーや表情、音楽の感情に悩み、ピアノに慣れるためにピアニストの映像を沢山見て研究しました」と伝えた。


『蒼のピアニスト』ジホ・イナを熱演したチュ・ジフンとチ・チャンウク(動画出典:SBS Drama)

役者としてのプライド

劇中でピアノを弾く演技はもちろんだが、数枚の写真だけを見ても繊細なピアニストのキャラクターを完ぺきに表現している4人の俳優。

キャスティング直後からピアノの演奏を消化するために猛練習を繰り返し、ピアノと一つになったようなビジュアルと、撮影を繰り返すごとにより一層深くキャラクターに没頭する彼らのピアニストへの変身に、ドラマの関係者たちは感心しきりだったようだ。

ピアノが全く弾けない状態から、本気で取り組む原動力になったのは、まさに役者としてのプライドだろう。彼らのストイックな役作り、そして、ピアノの基本と基礎を疎かにしない姿勢とプロ精神には脱帽する他ない。



ヒョンビン

韓国の人気俳優ヒョンビン(ハングル 현빈)。1982年9月25日生まれ。

2003年にKBSのテレビドラマ『ボディガード』(2003)でデビュー。

2005年にMBCドラマ『私の名前はキム・サムスン』(2005)で大ブレイク。韓流スターとして、韓国や日本、中国をはじめアジア全域で人気を博している。

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