韓国を代表する俳優、チュ・ジフンとヒョンビン。映画やドラマで活躍する彼らは、なぜか共通点を持った作品に出演している。その不思議な縁のある作品とは。
アジアを超え、世界へと名を知らしめる韓国俳優、チュ・ジフンとヒョンビン。
ともに1982年生まれである彼らは、俳優デビュー時期は異なれどドラマとスクリーンを行き来し、海外からも高い評価を受けている。
同じ年に生まれた俳優の宿命(?)なのか、偶然にも”同時期”に”同じ題材”を扱う作品に出演している彼ら。
ここまで出演作が重なってしまうと、ファンだけでなく本人たちも意識してしまうのでは‥。
不思議な縁で結ばれた(?)彼らの”ライバル”作品を見てみよう。
ゾンビ時代劇
チュ・ジフン、ヒョンビンという名を聞けば、女性が憧れるスタイリッシュなイケメン役を思い浮かべる人も多いはず。
ともに女性のみならず男性までも魅了するビジュアルを持ち、その持ち味を生かした数多くの役柄に扮している。
そんな彼らは過去、おぞましさの象徴ともいえる”ゾンビ”を扱った時代劇作品に出演し、多くの話題を集めていた。
まずは、ヒョンビンの作品を見てみよう。
2018年10月25日に韓国にて公開された『王宮の夜鬼(やき)』。

ヒョンビン主演映画『王宮の夜鬼』(写真提供:©スポーツ韓国)
朝鮮時代を舞台に、存亡の危機に陥った朝鮮に帰還した王子イ・チョンと、”夜鬼”=ゾンビの感染爆発の混乱を利用して王座を狙う、側近キム・ジャジュンとの死闘をド派手なビジュアルで披露した本作。
王子イ・チョン役にヒョンビン、対する、王座を狙う側近キム・ジャジュンに扮したのはチャン・ドンゴンという豪華キャストが主演を務め、恐怖でしかない”夜鬼”ワールドに観客を誘っている。
だが、観客動員数は約160万人に留まり、アクションを含めた俳優陣の熱演は高評価を受けたものの、ゾンビと化すまでの感染時間のあやふやさ、必要性を感じないキャラクターへの批判など、一貫性のない設定や主題性が欠けているといった手厳しい意見が集まってしまい、興行面から見ればやや惜しい作品となってしまった。
一方、『王宮の夜鬼』の公開から3ヵ月後、チュ・ジフンの出演作が世界へと配信された。
2019年1月25日にNetflixで配信された『キングダム(シーズン1)』。

‘K-ゾンビ’シンドロームを巻き起こした『キングダム』(画像出典:NETFLIX)
シーズン1では、皇太子イ・チャン(チュ・ジフン)らのキャラクター紹介や疫病の始まりとゾンビの発見などを扱い、シーズン2では前編で問題提起された話の糸口を解いて、真の君主に成長していくイ・チャンのリーダーシップと黒化するチョ氏一家、勢力を強めていくゾンビの姿などを描いた。
目の離せないストーリー展開に加え、チュ・ジフンの持つ高貴なビジュアルと迫真の演技が相乗効果をもたらし、劇中でのゾンビのおぞましさをより際立たせたことも作品の高評価へと繋がっている。
シーズン1の公開後には世界で”K-ゾンビ”シンドロームを巻き起こし、2019年韓国で最も愛されたNetflix作品1位を獲得しただけでなく、ニューヨークタイムズが選んだ2019年最高のインターナショナルTVショー10にも選ばれている。世界中にファンを持つ超大作となり、”韓国産ゾンビ時代劇”という異名を手にした成功作品と言えよう。
この結果を見ると、映画、ドラマと公開方法が異なるものの、ゾンビ時代劇においてはチュ・ジフンに軍配が上がったようだ。
中東を舞台にした救出劇
彼らの目覚ましい活躍は次回作である映画に持ち込まれた。
だが、新型コロナウイルスの影響により、撮影が中断や延期となり制作が難航している様子だ。
そんな中、撮影を再開したのが、ヒョンビン出演映画『交渉』だ。
本作は、中東地域で拉致された韓国人の救出を素材にしたストーリーで、ファン・ジョンミンとヒョンビンがそれぞれ外交官と国家情報院の要員役を演じる。

次回作にも期待されるヒョンビン(写真提供:©スポーツ韓国)
今年3月に中東・ヨルダンでクランクインする予定だったが、2月下旬、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ対応措置として、ヨルダン政府が韓国発の飛行機と韓国人の入国を禁止に。
このため海外ロケは一時中断され、4月に韓国内での撮影を行いながら状況を見守ってきた。
配給会社はヨルダン政府と持続的に議論し、去る6月19日(韓国時間)に正式に撮影許可を受理。撮影チームは7月上旬から順に出国し、ヨルダン現地での撮影を実行する計画と公式的に発表した。
一方、チュ・ジフンの次回作である『拉致』。
映画『拉致』は、1980年代、レバノンのベイルートで外交官が拉致され、これを解決しようと奮闘する人々の実話を基にした作品だ。

チュ・ジフン主演『拉致』の撮影再開はいつ?(写真提供:©スポーツ韓国)
レバノンという異国の設定上、海外ロケが欠かせない作品であるものの、同じく昨今の世界情勢により3月に予定されていたアフリカ・モロッコでの撮影は延期となった。
現時点では撮影再開の発表はされておらず、現地の状況を見守っている状態のようだ。
チュ・ジフン、ヒョンビンともに、次回作の舞台は”中東”、題材は”救出劇”、そして”海外ロケ”と、またしても(偶然にも?)同じ条件が重なった。
また、撮影時期を見れば、映画公開時期も重なるのでは‥とも囁かれている。
果たして、エキゾチックな風景を舞台に繰り広げる、手に汗握る救出劇の軍配はどちらに上がるのか。
同時に、深みのある芝居を披露する演技派俳優の、”偶然”が重なった作品への出演は今後も続くのかも気になるところだ。
ファンだけでなく、彼ら自身も気になっているかも(?)しれない。
ヒョンビン
韓国の人気俳優ヒョンビン(ハングル 현빈)。1982年9月25日生まれ。
2003年にKBSのテレビドラマ『ボディガード』(2003)でデビュー。
2005年にMBCドラマ『私の名前はキム・サムスン』(2005)で大ブレイク。韓流スターとして、韓国や日本、中国をはじめアジア全域で人気を博している。
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