Netflix(ネットフリックス)オリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる(原題:地獄)』は、『イカゲーム』に続き世界から注目を浴びた。本作で主演を務めた俳優のユ・アインは、現在35歳(日本年齢)。ドラマ『トキメキ☆成均館スキャンダル』でコロ役を演じ、”コロ病”なる造語が誕生したのは11年前。年を経ても、彼の型にハマらないスタイルは健在だ。そんな彼が『地獄が呼んでいる』公開を控え受けたインタビューを再編して掲載する。(記事・写真提供:ⓒ 女性東亜)

ユ・アインは、独特な俳優だ。

時に子どもっぽく、時に官能的な雰囲気を漂わせる‥何とも不思議な人。これまで彼が歩んで来た道は、一貫して”定型”を拒む。

ユ・アイン

画像出典:ユ・アイン 公式Instagram

元々「俳優になりたかったわけじゃなくて、芸能人になりたかった。だから、俳優としての人生が始まった時、迷いが生じた」と振り返った彼は、今や韓国俳優界で、重要な”曲者俳優”として一端を担っている。

2003年にKBS2ドラマ『四捨五入』で、コ・アラの相手役に抜擢され、一躍人気者に。

このまま爽やか系の俳優になるかと思いきや、次に選んだ作品は独立映画『俺たちの明日(邦題/2006)』だった。

「俳優の立場からすれば、商業映画と独立映画に違いはない。どんな役を演じるかが違うだけ」

デビュー間もない当時から、すでに”ユ・アイン”という俳優が、唯一無二の存在であることを漂わせていた。

その後も彼は”主流”という枠には入らず、ありきたりな公式を拒否すればするほど、彼の価値は高くなった。ユ・アインはいつも、配役に自身を合わせることはせず、むしろ反対の可能性に賭けて、それを外さないのだ。

『地獄が呼んでいる』メインポスター

『地獄が呼んでいる』メインビジュアル。(写真提供:ⓒ 女性東亜、画像出典:Netflix)

チョン・ジンスの言ったことは、断じて大義ではない

Netflix(ネットフリックス)オリジナルシリーズ、『地獄が呼んでいる(原題:地獄)』で演じたチョン・ジンスもそうだ。

*この記事にはネタバレが含まれています、ご注意ください。

ユ・アインが演じたチョン・ジンスは、超自然的現象に神の意図という枠組みを当てはめる、新興宗教”新真理会”の議長である。自身の信念のために、全てを投げ打つ準備ができている彼は、強烈なカリスマ性とミステリアスな雰囲気に包まれており、人々を魅了させるパワーを持っていた。

ジンス議長は、ステレオタイプな教祖とは一線を画す。華やかな身なりもしなければ、大声で大衆を惑わすこともない。

そんな彼が好評を得たのは、当然の結果とも言えるのだが。

「ありがたくもあり、プレッシャーですね。演技はすればするほど、難しくなります。僕に拍手をたくさん送ってくださる方たちの、期待値の高さも感じますし。少しの隙も許されないような‥。”気を引き締めなければ危ないぞ”と言い聞かせながら、作品にはいつも臨んでいます。良い演技に対する研究をしながら、僕に対する先入観、あるいは期待を抱いてくださっている方たちとは、どのように呼吸をしてよいのか、悩んでしまうんです」

それでも、多少不慣れなテーマを扱ったにもかかわらず、『地獄~』は人気を得ることとなった。そこにどんな理由があると思うか、尋ねてみる。

「僕はこの作品を、不慣れなテーマだとは思いませんでした。もちろん、”地獄の使者”と呼ばれる怪物や、人々が宣告を受けた日に地獄へ行くことが都心のど真ん中で起こるのは非現実的だし、暴力的である可能性はあります。でも、見方を変えれば、今世界で起こっていることと、そんなに大きな違いはないと思うんですよ。集団の狂気、嫌悪、暴力‥これらは、日常的に発生してますよね。『地獄~』の物語のように、十分に検証されていない情報を妄信して、それを武器にして他人を攻撃する現状は、やっぱり僕らの生きる世界でも見られる光景だと思います。作品が公開されてから、まだ1時間も経っていないのに、全話(6話)観たフリをして書いた、誰かの悪質コメントを読みました。それ以外にも、どこかで読んだある一節や、YouTube(ユーチューブ)で5分くらい見た程度の情報で、作品を観た気になって、周囲に口コミを広げる人もいました。本人たちは、果たしてそれを本当に信じているんですかね? この一連の書き込みを読んで、まさに『地獄』で起こったことを、たくさん思い出しました」

ユ・アイン

(写真提供:ⓒ 女性東亜、画像出典:Netflix)

ならば、劇中自身が演じたチョン・ジンスが提示した大義について、現実と照らし合わせて見て、ユ・アイン自身はどう感じたのだろうか。

「彼の考えは、断じて大義なんかではありません。せいぜい自身の所信に過ぎないと思います。世界と人々に向けて、信念を暴力的に強要した瞬間、それはもう信念ではないんです。だからこそ、チョン・ジンスは彼なりの理論を持っているように見えますが、実際は意気地がなくてみすぼらしい人物だと思います。彼の言うことは、結局は詭弁なんです。正義を叫んでますけど、肝心な自分を救済することはできないでしょうね」

何とも客観的に、自身の演じたジンスを軽やかに論破してしまうところに、少しおかしみを感じてしまった。

稚気な自分をあざ笑い、落ち込んだりもする

人はある視点に焦点を絞られると、大げさに言えば地の果てまで追いかけられる。学校生活、社会生活、どの世界にもその”視点”はあり、見つかれば最後、重箱の隅をつつくように難癖を付けられる。これが、メディアとなると、さらにスケールがアップする。

ユ・アインは残念ながら、”定型”を拒否したがゆえに、その毒牙にかかることが多い。

「僕が世界とどれだけぶつかりながら生きているか、見たことがあるでしょう(笑)。善悪はさておき、疑問に感じたことをそのままにしておけないんです。それに、疑問を抱くことすらタブーになる世の中なんて、嫌いですしね。僕たちは常に、目や耳から入って来た情報が信頼できるかどうか、検証しないと。そのプロセスがあってこそ、自分というものをしっかり持って生きられるんだと、僕は思ってるんです」

六龍が飛ぶ

『六龍が飛ぶ』(画像出典:SBS)

もし、チョン・ジンスのように死の宣告を受けたら、どう思うかを聞いてみると、思いもよらない返答が来た。

「宣告というか‥。どちらかというと、(地獄行きの)告知をされていたような20代を過ごしていました。ものすごく格好つけて、虚勢ばかり意識して生きてたんです。自分の身を投げ打って、挑戦して、実験しながら。もう後がない、いつもそんな気持ちでした。だって“30歳くらいに死ぬだろうな”と思ってたし(笑)」

チョン・ジンスを演じながら、在りし日の自身を思い返すことがたくさんあったという。

「思い出すたびに、その時の稚気な自分をあざ笑ったりしましたね。そのくせ、最近は”次”のことを考えて、体を大事にしている自分が気に入らない(笑)。“いつ死んでも構わない”と思って生きて来たからこそ、できることもあったから(笑)」

思考が変わるきっかけは、とてもシンプルだった。

「結局、死なずに生きているから、仕方なく自分自身を真剣に受け止めただけです(笑)。でもこの結論に至るまで、”僕の中に情熱や正直さがなくなったのではないか”、”心が汚れすぎて、用心深く生きてるんじゃないか”と思うことがたくさんあって、きっとこれが僕の成長痛なんだなと思います」

ではそんな彼が、理想とする30代はどんな姿なのか。

「そうですね‥10代や20代の時は、”僕がこのまま生きてたら、結局旧世代になるんだな”と思ってました。なので、そんなふうに思われる否定的な旧世代という慣性から、抜け出した存在として生きたいですね」

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ユ・アイン

韓国の人気俳優ユ・アイン。本名はオム・ホンシク。1986年10月6日生まれ。

2003年、ドラマ『四捨五入』でAra(コ・アラ)の恋人アインを演じ一躍注目を浴びる。
2006年『俺たちに明日はない』でスクリーンデビュー。

映画『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』(2008)では、チュ・ジフンやキム・ジェウクとともに主役に抜擢され、元ボクシング選手でパティシエ見習いという役柄を演じた。

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