- BTS(防弾少年団)のSUGAが、“Agust D”として初のソロアルバム『D-DAY』を発売する。
- メイントラックのタイトルは『해금(ヘグム)』。韓国の伝統楽器“ヘグム”サウンドが入った曲のようだ。
- しかし、この楽器は中国由来とも言われており、中国ネットユーザーからの議論提起を懸念する声もある。
BTS(防弾少年団)のSUGAがソロ名義の“Agust D”でリリースする、初のソロアルバム『D-DAY』のトラックリストが公開された。
収録曲は、去る7日に先行公開された楽曲『People Pt․2(Feat. IU)』を含む、計10曲。
ファンを驚かせたのは、リストに、先日亡くなった坂本龍一さんの名が書かれた曲があったこと。世界的な音楽家である彼は、SUGAに大きな影響を与えた人物。
4月21日からDisney+(ディズニープラス)で配信されるドキュメンタリー『SUGA:Road to D-DAY』のティーザーにも、憧れの人との対面が実現したシーンが盛り込まれ、注目を集めていた。
他にも、BTSメンバーのJ-HOPEがフィーチャリングに参加した曲や、BTSの曲『Life Goes On』と同タイトルの曲も収録されている。韓国メディアの情報によると『Life Goes On』は、Agust Dの感性で再解釈した曲だという。
そしてメイントラックは『해금(ヘグム)』。クレジットには、Agust Dの名前のみ。SUGAが一人で作業した楽曲のようだ。
中でも注目ポイントは、タイトル名と同じ“ヘグム(奚琴)”という韓国の伝統楽器。メディアの記事でも「タイトルと歌詞に登場する伝統楽器“ヘグム”サウンドを活用した曲」と説明されている。
SUGAが2020年5月にAgust Dとして公開した曲『Daechwita(대취타/大吹打)』も、朝鮮時代の韓国の伝統軍楽である”大吹打”をサンプリングして作った曲だった。
パンソリ(韓国の伝統的民俗芸能)から始まるこの曲のミュージックビデオは、SUGAが金髪のロングヘアーに韓服(ハンボク)という斬新なスタイリングで登場し、強烈なラップを繰り出す。
韓国のファンは、新曲『ヘグム』も、強気なラップを炸裂させた『大吹打』のような楽曲なのではないかと期待を膨らませている。
ここで、韓国の伝統楽器“ヘグム(奚琴)”について紹介したい。
ヘグムは、弓で弦をこすって音を出すバイオリンと同じ弦楽器で、多様で特徴的な音色を出す。
諸説あるが、6世紀頃に中国で生まれたヘグム類の楽器が高麗時代に朝鮮半島に渡り、韓国に伝えられて今のヘグムになったと言われている。
ヘグムは王族や貴族の文化ではなく、一般大衆である民衆の生活に広まった。「民衆の中で始まった音律」とも言われており、宮中より民間で愛用され、庶民の楽しみとして定着したと推測されている。
「キーキー」という特徴的な音は、動物の鳴き声など様々な音を表現できる。他には、食べ過ぎた人が腹痛で苦しむ声や、人が叫んだり逃げる様子を表現する音としても活用されていたという。
当時の民衆の生活に溶け込んだヘグムは、庶民の哀感を表現する際に用いられ、容易ではない暮らしぶりへの嘆きや、主従関係が重視され、個人の自由や権利が認められない封建的な社会に対する不満を風刺したり、人生への希望を芸術に昇華させる役割を担ったようだ。
これは現代のラップに通じるものがあるのではないだろうか。ラップには、政治家や権力を持つ人に対する批判や不満、アンチへの反発、不当な評価や攻撃への反骨精神などが盛り込まれる。
ファンは、SUGAが、“ヘグム”サウンドをアルバムのメイントラック『ヘグム』に取り入れることで、『大吹打』のように彼の中にある不満や怒りを強烈ラップで爆発させるつもりなのではないかと期待を寄せている。
また『ヘグム』には、楽器ヘグムと同じ発音である「解禁」の意味も含んでいるのでは? という意見も。
今回リリースするアルバム『D-DAY』は、Agust Dがこれまでに発表したミックステープ『Agust D』と『D-2』に続くトリロジー(三部作)の最後を飾ると伝えられている。
それだけに、ファンはアルバムの中に様々なヒントが隠されていると推測。アルバムタイトル名『D-DAY』から「解禁日」を連想した人もいるようだ。
しかし一方で、この“ヘグム”には、懸念の声も上がっている。
韓国の伝統楽器の“ヘグム”には、「6世紀に中国から渡った楽器が由来」という諸説があるからだ。
これまで、中国の一部のネットユーザーが、韓国伝統衣装の韓服(ハンボク)姿をSNSに投稿した韓国芸能人に対し、「韓服は中国のものだ」「韓服は中国の伝統衣装の改良品」と“中国起源”を強く主張し、非難することが度々起きている。
そのため、韓国ファンの中には「韓国の伝統楽器“ヘグム”」も、一部の中国人が議論を提起するのではないかと不安を見せているようだ。
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