- 朝鮮末期と“K-POP帝国”と称されるSMエンターテインメントが、似ている軌跡を辿っている。
- 130年前、政治権力を握っていた興宣大院君は王権強化のため、敵勢力の排除や外勢との結託に注力。
- そして今、“K-POP帝国”では、創業者と共同代表の権力争いが勃発中。両者の気になる共通点とは?
韓国ドラマの時代劇でお馴染みの“朝鮮”という国は、1897年に歴史の幕を閉じた。
その後誕生した国は、“大韓帝国”。初代の皇帝は、朝鮮王朝の最後の国王の高宗である。
近代化の風が巻き起こった130年前の朝鮮末期と大韓帝国時代。そして、グローバルで活躍するアーティストを輩出して“K-POP帝国”と称されるSMエンターテインメント(以下、SM)。
この両者が、微妙に似ている軌跡を辿っている。
朝鮮末期、2人のライバルが繰り広げた政争
12歳で即位(1864)した高宗は、政治権力を上王(父)の興宣大院君に譲渡する。
興宣大院君は、絶大の権力の下、国王の権力を強化するなど、様々な改革を行う。
そんな彼は1873年、閔妃(明成皇后)を王妃(高宗の妻)として選んだが、その理由は、彼女が強い勢力を持つ貴族出身ではなかったからだという。
興宣大院君の王権強化のため、中央政治を脅かす貴族勢力の排除に力を注いでいたのだ。
しかしこの閔妃、後に興宣大院君の最大の政敵となり、2人は“亡国のライバル”としてし烈に争うことになる。
権力争いが招いた亡国
王妃となった閔妃は、高宗の妻でありながら、政治的な同伴者として外交問題にも関与するなど、頭角を現し始めた。
これは、鎖国政策を行った興宣大院君の反感を買ってしまう。
また、閔妃の親族による汚職も著しくなったため、1882年、興宣大院君は国民の前で「閔妃が亡くなった」と宣言。
身を潜めていた閔妃は、清(現在の中国)の力を借り、権力を取り戻す事に成功する。
一方興宣大院君は、清の政治家である袁世凱(えんせいがい)や、日本との連携で閔妃にプレッシャーをかける。
あの鎖国政策の代名詞と覚えられる興宣大院君が、閔妃との戦いを制するため、外勢と結託したのである。
結局、政治主導権を巡る、外勢を巻き込んだ壮大な争いは、急激に国力を落とし、日本に国家の主権を奪われる悲劇を招いてしまった。
SMの運命はどうなるのか
SMの内紛が続いている。
その主体は、創業者であり、“K-POP帝国”を築き上げたと評されるイ・スマン氏と、現代表のイ・ソンス氏とタク・ヨンジュン氏(共同代表)である。
そして彼らの背後には、HYBEやカカオ(Kakao)といった外勢がついている。
イ・スマン氏から約14%のSM株を買収したHYBEは、追加買付をし、SMへの支配権をより固めようとしている。
が、2月16日、ある投資家がSMの株を大量購入し、株価が急騰。カカオと密接な関係を持つ第3勢力が、HYBEの買付を妨害に乗り出したという分析も。
また、前出のイ・ソンス氏は、イ・スマン氏の脱税疑惑などを暴露。HYBEの黙認と同調を疑うかのような発言もしている。
もしHYBEが、SM株の買付に懐疑的な立場になって且つイ・スマン氏のモラル問題にかかわるとの疑いが強まると、SMを手放す可能性もゼロではない。
一方カカオも、イ・スマン氏の反撃次第では、どのような立場を取るか、現時点では分からないのだ。
HYBEとカカオがSM買収計画を撤回すると、SMは株価下落を招いてしまい、安値で売られてしまう羽目になるだろう。イ・スマン氏の脱税(まだ疑惑だが・・)など、経営のモラル問題から自由である、中国などの外資による買収もあり得るのだ。
イ・スマン氏と共同代表の権力争い・・自力ではなく、外勢に依存して権力に執着した“亡国のライバル”を思い出すのは、私一人だけではないだろう。
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