韓国にて10月に公開を予定している、映画『悪に捧げ(原題)』。ここで主演を務めるのが、マルチな活躍を見せているパク・ユチョンだ。久々のスクリーン復帰作となったものの、仮処分によって舞台挨拶やインタビューなどプロモーションをするのが厳しい状況のようだ。ここでは『悪に捧げ』の予告編から、作品の魅力を探ってみようと思う。
歌手や演技活動と、多岐に渡り活躍を見せているパク・ユチョン。ファンにとっては待ち遠しかった、新作映画の便りが届いた。
しかし先日、芸能活動を禁止する裁判所の臨時命令(仮処分)取消し申請に対し、ソウル中央地方法院の民事合意部が棄却。
(関連記事)パク・ユチョン 仮処分取り消しならず‥芸能人に対する’活動禁止命令’は容認されるべきか
これにより、舞台挨拶やインタビューなど、新作映画に関するプロモーション活動は出来ないであろうと予想され、残念に思っているファンは多いだろう。
パク・ユチョンと言えば、日本でも絶大な人気を誇るK-POPアイドルとして知られているが、実は、俳優としても優れた才能を持つエンターテイナー。彼が主演を務める映画とは、一体どのような作品なのか。ここでは、短い予告編映像から見えた、映画のストーリーとメッセージをまとめてみる。
『悪に捧げ』その悲惨なストーリーとは
パク・ユチョンのスクリーン復帰作、映画『悪に捧げ(原題)』は、韓国にて10月公開を予定している話題作だ。
この作品は、一瞬にして全てを失った男、テホン(パク・ユチョン扮)と、最初から失うものがなかった女、ホンダン(イ・ジンリ扮)が、奈落の果てで互いの人生に向き合った話を描くハードボイルドラブストーリー。
“ハードボイルド”と謳っている通り、予告編の冒頭からバイオレンス性の高い映像が盛り込まれている。そこに流れるナレーションはこうだ。
予想できぬ状況に、自分が持つすべてを懸ける時がある。勝敗に見当が付かない場合も多い・・ある人は命を懸けて嘘を言う。僕は大丈夫・・嘘だ
字幕には”一瞬にして奈落に落ちた男”とでる。
この直前に流れたのは、薄暗い一室で暴行を受けるシーン。背景にある洒落たインテリアが無残にも壊された様子や字幕をヒントに、一時は売れっ子医師だったが、ある事件を機に全てを失ったテホンの姿だと見て取れる。
つまり、ナレーションと映像から、”大きな賭け”に出た男性がすべてを失いかけている現状だということがうかがえる。
その後、恐怖に怯えるテホンの姿、そして謎の女性が登場する。その時に出てきたフレーズが、”奈落の果てに”だ。
さらに、女性とのシーンで登場した「夢は何だったの?」という問いかけに対し、「金持ちより金持ちになること」と答えるテホン。そこに続くのが「一体、いくらで世の中をすべて持つことができるの?」という言葉だ。どうやら、すべての始まりが”金への欲求”からだったのでは‥と匂わせているよう。
続いて、”棺の上に立った人”という字幕が流れ、テホンが橋の上で飛び降り自殺を図ろうとするシーンが。ここでは、常に危機に直面している男の悲惨な人生が描かれている。
そして、現れたのが「気を付けろ。恐れる事が最も安全だ」という文句。
これはシェイクスピアの戯曲の1つである『ハムレット』に登場する台詞だ。奈落に落ち、数多くの懐柔と脅迫に苦しめられるテホンの状況を見せているかのようだ。無謀だった自分の境遇を嘆くような姿が描かれ、その描写には思わず息を呑んでしまう。
色あせない演技力と発声
奈落の果てで会った2人の男女の姿をありのまま描き出し、緊迫した空気が感じられた『悪に捧げ』の予告映像。まさに”ハードボイルド”という表現がぴったりな作品だと分かる。
予告編は1分10秒ほどの短い映像。ハイライトシーンを散りばめているとはいえ、パク・ユチョンの迫真の演技に、思わず感嘆の声があがってしまう。
怯える表情、うなされる様子、そして失意に落ちていく”無”の姿。パク・ユチョンは、俳優としての空白を感じさせないほど、安定した演技を披露している。
また、落ち着きを見せようとするも、切迫した雰囲気を感じさせるナレーション。この発声からも色あせない”役者の発声”が感じられる。
俳優の発声が操るそれは、セリフの内容を正しく伝えるだけではない。セリフの持つ感情を視聴者に忠実に伝え、共感してもらうという大切な役割を持っている。
パク・ユチョンのファンだけでなく、映画ファンの興味をもそそるであろう『悪に捧げ』。1人の実力派俳優として、彼の緻密な演技が存分に味わえそうな作品だけに、世界中の観客に観てもらいたい韓国映画だ。
韓国では10月の公開を予定しているが、海外での配給予定は未定。
『悪に捧げ』予告映像(動画出典:Youtube)
(構成:星野沙)
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