日本の某メディアが報じたNiziUの韓国デビューに関する記事が、韓国のネットユーザーの間でも話題となり、様々な意見が飛び交っているようだ。韓国のオンラインコミュニティーで見られたリアルな反応を紹介する。

日本の某メディアの報道に、韓国ネットが”即反応”するなど関心を示している。

12月3日、NiziU(ニジュー)の韓国デビューが未定のまま遅れている理由を巡り、韓国国内の”反日感情”と”バッシング”が原因であるという記事が、各ポータルサイトを通じて打電された。

NiziUはオーディション番組『Nizi Project』を通じて結成された

オーディション番組『Nizi Project』を通じて結成された9人組ガールズグループNiziU(画像出典:NiziU公式Twitter)

同記事には、全員日本人で構成されたアイドルグループだけに、韓国国内で支持基盤が弱いという趣旨が盛り込まれており、その原因が”反日感情”にあると、レコード会社関係者のコメントを伝えている。その裏付けとして、IZ*ONE(アイズワン)とNiziUのファンコミュニティー人数(17万人 対 300人)も紹介している。

この記事は、瞬く間に韓国ネットでも紹介されたが、肯定でも否定でもなく「呆れた」という反応が大半を示しているのだ。

IZ*ONEと比較? 知名度がイマイチ

実際にGoogleで『NiziU 반일감정(NiziU 反日感情)』というキーワードで検索すると、同記事を紹介する20件ほどのメディアやコミュニティーサイトのスレッドがヒットし、韓国反応を確認することはさほど難しいことではない。以下は、韓国の若者の間で人気のコミュニティーサイト--theqoo(https://theqoo.net/)、fmkorea(https://www.fmkorea.com/)、PPOMPPU(http://ppomppu.co.kr/)、instiz(https://www.instiz.net/)などの反応である。

多くの人は、アイドルグループとして、NiziUの収益性を指摘している。

「日本の方がはるかに”期待収益”が高いのに、韓国でデビューを急ぐ理由がないのでは?」

「もともと、日本のマーケットを狙って作られたアイドルグループではないか」

「日本でオーディションをして日本で放送され、日本語の曲を歌った日本人アイドルグループが、韓国デビューができない理由が”反日感情”のため‥小説を書いてるね」

日本で期待を上回る爆発的な反響があったため、韓国でまともなプロモーションすら行われていないことを指摘する声も‥。

「デビューもしてないグループなんだから、関心や知名度が低いのは当然」

「(私は)NiziUが嫌いでも、反日でもない。むしろ関心を持って見守ってるんだけど、テレビでもネットでも見られないのに、それが反日感情に起因すると言っているのは言語道断としか言いようがない」

「(韓国で)NiziUに関心があるのは、現時点では、JYPエンターテインメントの株主しかいない‥デビューもショーケースもやってないし」

「(日本人は)NiziUのオーディション番組が、韓国で放送されたと思い込んでいるのでは‥?」

「(韓国では)NiziUを知らない人が大半だよー。(デビューが未定なのは)JYPが乗り気じゃないだけ」

「NiziU? 知らないのに、どうやってファンカフェに加入するの?」

韓国オンラインコミュニティーの反応

NiziUについて知らないユーザーも多いよう。(画像出典:韓国コミュニティーサイト instiz)

中には、韓国で正式デビューをしたNiziUが、バッシングを受けていると誤解している人も‥。

「あれ? NiziUってデビューしたっけ? デビューしたのにバッシングを受けてるということ?」

「誰かこの状況を説明して! 何でバッシングを受けているの?」

韓国オンラインコミュニティー反応

NiziUの名前は聞いたことがあるが、デビューしたのかしていないのか知らないネットユーザーも。(画像出典:韓国コミュニティー the qoo)

IZ*ONEと比較する行動への違和感を訴える声も上がっている。

「華やかにデビューして2年が経っているグループと比較するなんて‥」

300人しかいないと紹介された”DAUM”のファンコミュニティーについて疑問を呈する声も‥。

「そもそもJYPは公式ファンカフェ(コミュニティー)ないよね? 何を見たんだろう?」

新人アイドルの厳しい現状

Cignature、Episode、DAYDREAM、CRAXY、ICU、Woo! Ah!、SECRET NUMBER、RED SQUARE、WEEKLY、CHIC & IDLE、Maka Maka、FLORIA、AREAL、BOTOPPASS、BLASTAR、LUNARSOLAR、XUM、Byulzzi、Precious、Q6IX‥コロナ渦にある今年10月まで、公式的にデビューをしたガールズグループだけで、その数は25組を超えるK-POP界。先述したガールズグループの中で、コンスタントにメディアに露出しているグループは、残念ながら、1チームもない。

SECRET NUMBER

Maka Maka

LUNARSOLAR

Cignature

今年10月まで、公式的にデビューしたガールズグループ一部。上からSECRET NUMBER、Maka Maka、LUNARSOLAR、Cignature(画像出典:各公式SNS)

練習生からデビューまでの熾烈な競争を勝ち抜けたアイドルには、デビュー後も生き残りをかけた険しい道が待っている。

このような厳しい状況で生き残るためには、アイドルの3大基本条件--ビジュアル、歌唱力(もしくはラップ)、パフォーマンスだけでは物足りないのが現実。新人アイドルたちは、デビューまでの道のりや、デビュー後の奮闘記を自ら紹介し、大衆の目を集めることに必死だ。

前出のコミュニティーサイトでも、「日本語曲に、*ストーリーテリングもない海外のグループに魅力を感じるはずがない」という声も見かける。

*ストーリーテリング:伝えたい思いやコンセプト、それを想起させる印象的な体験談や、エピソードなどの“物語”を引用することによって、聞き手に強く印象付ける手法のこと。(出典:コトバンク)

多くのアイドルは、SNSのライブ機能を駆使して、ストーリーテリングを行うが、テレビほどの波及力はないとされる。テレビ出演に至っても、そう簡単にチャンスは回って来ず、無名のアイドルとして芸能界を去っていく人は大勢いるようだ。

“反日”と”嫌韓”という色眼鏡

あるネットユーザーは、「韓国のメディアにも、日本のメディアにも、嫌韓と反日は好都合のネタだよね」と訴える人もいる。

韓国でも、日本の一挙一動に対し”嫌韓”を付けるいわゆる”煽り記事”は少なくない。特に、昨年から続いている両国間の関係悪化により、近年は増加傾向にある。

せっかくのエンターテインメントなのに、条件反射的に”韓国だから””日本だから”という概念で純粋に彼女たちの歌を、パフォーマンスを見聞きできないのは、残念だ。

特に今年は、新型コロナウイルスの影響により、多くのアーティストが国を跨いでの活動が制限されているが、そのような諸事情より国家間の”感情”に目を向けてしまう現状を嘆く人も増えているようだ。



NiziU

JYPエンターテインメントとソニーミュージックによる共同グローバル・オーディション『Nizi Project(虹プロ)』から誕生した9人組ガールズグループ。

メンバーは、マコ、リオ、マヤ、リク、アヤカ、マユカ、リマ、ミイヒ、ニナ。

6月30日に、プレデビュー曲『Make you happy』を発表、12月2日に『Step and a step』で正式デビューした。

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