- HYBE所属アーティストが、約4年ぶりにMBCの音楽番組に出演することが決定した。
- これは不仲が囁かれていたHYBEとMBCの和解が契機となり、両社の確執は、MBC側の謝罪で収束を迎えた。
- HYBEはMBCと了解覚書(MOU)まで交わし、韓国ネットでは「MBCが降参」とHYBEに軍配を上げている。
11月17日にカムバックするENHYPEN(エンハイプン)が、翌18日放送のMBC『ショー!K-POPの中心』に出演することがわかった。
HYBE所属のアーティストが、MBCの同番組に出演するのは、実に4年ぶりとのこと。
2019年の年末以降、HYBEとMBCには不仲説が囁かれ、BTS(防弾少年団)をはじめ所属アーティストがMBCの番組にだけ出演しないという状況が続いていた。
しかしこの度、HYBE傘下レーベル所属のENHYPENの番組出演が決定、ついにMBCへの出演が解禁される。
きっかけは、一週間前に大きな話題となった、両社の“和解”。
10月30日、HYBEのパン・シヒョク議長とMBCのアン・ヒョンジュン社長が握手を交わし、4年ぶりの関係回復が実現したのである。
そして11月6日、HYBEとMBCは、健全な放送制作環境造成及びアーティスト権益向上のための了解覚書(MOU)を締結した。
HYBEの社屋で開かれた締結式には、HYBEのパク・ジウォンCEOとMBCのアン・ヒョンジュン社長らが参加した。
MBC関係者は「ENHYPENが、MBCの舞台に立つことになったことを心より歓迎する」とし「今後、公演舞台だけでなく、バラエティーや時事教養など多様な分野でHYBEと協力する」と話す。
両社は、MOU締結を機に、韓国国内の音楽産業と番組コンテンツ市場の同伴成長のために相互協力することで意見を一致させた。
そしてMBC側は、持続可能な番組コンテンツの制作環境構築に最善を尽くす予定だとし、これまで誤った放送コンテンツの制作慣行だと指摘されてきた「放送局の地位を利用した番組・授賞式などの出演強要」「一方的な制作日程変更要求」「相互協議のない出演制限措置」などを根絶すると説明した。
このニュースが伝えられると、韓国のオンラインコミュニティーでは、
「MBC側がどんなパワハラをしてきたのか細かく書き出した感じだね」
「当然と思われる常識的なことなのに、敢えてMOUで締結することに驚きww」
「わぁ! 当然してはいけない行動なのに、それを文書化するほどパワハラは本当だったんだ」
「HYBEがこんなに大きな事務所になるとは思わなかったんだろうね」
「数多いHYBEアイドルを番組出演させるためには仲直りしなきゃ。BTSだけじゃなく、NewJeans、LE SSERAFIM、SEVENTEENなど損が大きいと思う」
など様々な反応があり、単純な和解で終わりにするのではなく、両社の目線を揃えるためにMOUを作成したことに驚きの声も上がっている。
また「꼬리를 내리다(直訳:しっぽを下ろす)」という表現も目立つ。意味は「降参する」「白旗を上げる」。
ネットユーザーらは「MBCが降参」「HYBEなしでは大変だから降参した」「時代が変わって、テレビ局が芸能事務所に白旗を上げている」とテレビ局の力が弱っていることを指摘。どうやら軍配はHYBEに上がったようだ。
もともとHYBEとMBCの確執は、BTSが、2019年の大晦日に開催される『MBC歌謡大祭典』に出演できなかったことから始まった。
BTSは、大晦日に米ニューヨークのタイムズスクエアで行われるカウントダウンコンサートに出演することが決まっていた。
しかし、『MBC歌謡大祭典』のラインナップに、なぜか後輩グループのTXT(トゥモローバイトゥギャザー)や、当時は傘下レーベルに所属していたGFRIEND(ジーフレンド)が入らず、世間では「BTS不参加に対するMBCの報復か?」と囁かれ、MBCのパワハラ疑惑も浮上。
最近まで、TXTやENHYPEN(エンハイプン)、LE SSERAFIM(ルセラフィム)、NewJeans(ニュージーンズ)といったHYBEファミリーのアーティストらがカムバックをしても、MBCにだけは参加しないというあからさまな状況が続いていた。
特に、両社の不仲説を強めたのが、2020年5月、HYBE(当時はBig Hit エンターテインメント)がSEVENTEEN(セブンティーン)の所属事務所PLEDIS(プレディス)エンターテインメントを買収した時のこと。
SEVENTEENは、これまでカムバック時にはMBCの番組に出演していたが、買収直後から出演しなくなったのである。
かつて多くの人気番組を放送するテレビ局は絶大な権力を持ち、テレビが世間に与える影響力は他のメディアを圧倒していた。アイドルが知名度を上げるためには、テレビでの露出が最善策だった。
しかし、インターネット技術の発展によって、テレビを見る時間は減り、スマホで動画やSNSを見る時間が増えた。特に若者のテレビ離れは顕著で、その影響はK-POP界にも広まっていく。
SNSを活用した情報発信が増え、最近は人気アイドルがいる大手芸能事務所は、潤った資金力で独自のコンテンツを制作し配信する時代になっている。
では、事務所側は、所属アイドルのテレビ出演を諦めらめたのかというとそれはまた別の話。
今でもSNSで量産される話題の大半はテレビ発のネタであり、話題性やその影響力はまだまだ強いからである。
HYBEとMBCの確執は、MBC側が過去のHYBEレーベルのアーティストに対する不公正行為について謝罪したことで収束した。
数多くの人気グループを抱えるHYBEにとって、MBCとの和解を通じて、今後のテレビ出演の機会が増えることは嬉しいに違いない。
MBCからしても、Kコンテンツに必要不可欠なHYBEアーティストが出演すれば、高い視聴率が見込める。つまり、今のHYBEを敵に回していて得をすることは何も無いのである。
今回、MBC側がこれまでの誤った対応を認め、HYBEと和解し、さらにMOUまで締結した。これは、テレビ局と芸能事務所の力関係が逆転したことを象徴していると言える。
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