- K-POP界に赤信号を灯っているようだ。
- その理由は、アイドルを目指す韓国人男性志願者が激減したため。
- 韓国のエンタテインメント企業は、日本など海外に目を向けている。
K-POPの世界的な人気の中心には、男性アイドルという存在がある。
グローバルK-POPの創世記と言われる2010年前後から、東方神起、SUPER JUNIOR(スーパージュニア)、BIGBANG(ビッグバン)、2PM(トゥーピーエム)、EXO(エクソ)、BTS(防弾少年団)などが、人気をけん引してきた。
女性アイドルの活躍も目を見張るものがあるが、ファンダムをベースとするK-POP界でその人気と影響力は男性アイドルに勝らない。
安定的な収益の確保のためには、ファンダムの存在は不可欠であり、男性アイドル優位の傾向は今後も続くと見られる。
しかし、こんなK-POP界に赤信号を灯っているようだ。
その背景には、男性アイドル志願者の激減があるという。K-POP大手事務所が、続々と海外で現地アイドル育成を明らかにしている中、韓国マスコミの毎日経済(https://www.mk.co.kr/)は、現場から聞こえる嘆きの声を紹介している。
どうやら、海外での現地アイドル育成の裏には、このような“危機感”が隠れているようだ。
男性志願者が少ない、体感の性比は1:9
「公開オーディションを開いても男性志願者が少なすぎる。コロナ禍は終わり、対面でもオーディションを行っているが、男女の体感性比は1:9くらい」
こう語っているのは、K-POP大手事務所の新人開発担当者。
NewJeans(ニュージーンズ)やIVE(アイヴ)の人気により、女性アイドルを目指す志願者は増えているが、男性アイドルはむしろ減っているというのだ。
同紙はその理由を、長い練習生生活と過酷な練習にあると分析。
様々な動画配信プラットホームやSNSで「インフルエンサーになると、アイドル並みの人気が獲得できる」という認識が広まっているおり、デビューまでの激しい道のりを耐えるのは、“人生の損”という理屈なのだ。
タイ出身の練習生が1位に?
今年4月に放送されたMnetオーディション番組『BOYS PLANET』では、かつて無かったある変化が感知された。
日本や中国をはじめ、多くの外国籍練習生が参加。本国のアイドルに劣らない勢いを見せていたのだ。
また、現在放送中の『少年ファンタジーシーズン2(MBC)』では、タイ出身の練習生サンタが中間投票1位を記録(4月6日放送)するなど、波乱を巻き起こした。
同番組では、韓国の他にも11つの国と地域から、K-POPデビューを目指す練習生がしのぎを削っている。
表には「グローバルプロジェクト」という雄大なスローガンを掲げているが、その内情は、韓国人男性志願者が少ないためと推測されている。
K-POPの世界的な人気・・スターになれるチャンスは多いのになぜ?
近年K-POPは、世界の音楽シーンを席巻しており、グローバルスターという富と名誉を獲得できるチャンスが多いのにもかかわらず、なぜ男性志願者は激減しているのだろうか。
原因は、上述したような、長い練習生生活と過酷な練習にあるという。
前出の新人開発担当者は「良い人材がいても、長くてつらい練習生生活を耐えるよう説得する事は容易ではない」と説明する。
“長くてつらい”練習生生活は「女性アイドルも一緒ではないか?」と反問したいところだが、男性アイドルの場合、兵役があるため、キャリアストップが訪れる前にスターにならなければ、芸能人として道が閉ざされてしまうのだ。
女性アイドルの場合、アイドルとして脚光を浴びなくても、女優やタレントへの転身するケースが多い。一方男性アイドルは、さほど多くないのが実情である。
事務所側も、兵役や過去の疑惑(いじめ、暴力など)というリスクも背負うより、海外(現地)ファンダムの確実な支援が受けられる、海外男性アイドルを好む傾向が徐々に顕著しているという。
海外に目を向ける、その第一候補は日本になるか
今年2月、SMエンターテインメントは、今後の方向性と戦略をまとめた『SM 3.0』を発表した。
その骨子は、やはり“現地化”。そして、優先順位として挙げている国と地域の順番を見てみると「日本―米州―東南アジア」と、日本を最重要拠点として位置付けしている。
スタートを切るのは、今年下半期日本でローンチする『NCT TOKYO』。SMは日本での“現地化”を通して2025年まで約2000億ウォン(約200億円)の収益を見込んでいると伝えるが、この額は、米州で予想収益600億ウォンをはるかに超える数字である。
このように、日本で現地アイドル育成を急ぐエンターテインメント企業は、SMだけではない。多くの企業が、日本が持つ巨大な音楽市場とアイドル志願者が持つ高いポテンシャルに期待しているようだ。しかも、兵役リスクもない。
もしかすると近い将来、デビュー人数で日韓の逆転現象が起きるのかもしれない。
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