去る4月、歌手を夢みていた20代の女性が自殺によって命を落としてしまった。彼女は生前、元交際相手のある”悪事”に苦しめられていたという。
歌手を志望していた女性A氏。彼女が突然の死を遂げたのは、去る4月のことだ。死因は自殺。
韓国メディアの報道によると、享年27歳という若さでの無念の死だった。
バンド活動をしながら、歌手を夢見ていたA氏は、有名バンドに所属しているシンガーソングライターB氏と交際していた。
そのB氏とは、作曲の実力が認められ、近年は有名アイドルに楽曲を提供するなど、順調にキャリアを積んでいた。
しかし残念ながら、B氏の誤った’愛’が、A氏を死に追い込んだと見られている。
A氏の遺族は、B氏がA氏に薬物を飲ませた上、性的暴行と不法撮影を行ったと主張。
A氏はB氏から転送された問題の映像を見て、苦痛の日々を送っていたことが、知人たちの証言により明らかになったのだ。
この事実に対し、B氏側は”遺族と知人たちの一方的な主張だ”と、嫌疑を否認したが、韓国警察は”性暴力の処罰に関する特例法及び強姦致傷”の嫌疑をかけ、B氏を刑事立件した。
現在韓国警察は、B氏の携帯電話とパソコンを押収し、鑑識を急いでいるという。
この事件は、韓国社会に衝撃を与えると共に、昨年、韓国芸能界を揺るがした”カカオトーク(メッセージアプリ)不法映像共有”や、リベンジポルノに苦しめられ、極端な選択をした故ク・ハラさんの事件を思い出させるような、痛ましい出来事だ。
SNSから浮上した『秋休み』
11月3日、同事件を初報道したのは、韓国テレビ局・MBCの看板報道番組『ニュースデスク』だ。
そして翌日には、複数のメディアが『ニュースデスク』の内容を引用し、A氏の自殺事件とB氏の関連性を報じて、同事件に関する関心が一気に高まることとなった。
韓国のSNSやコミュニティーサイトでは、B氏の正体を推測する書き込みが相次ぎ、中でも一番有力とされたのが、2人組バンド『秋休み』のメンバー、ボビー・チョン(41)*である。
*韓国活動名は、정바비(チョン・バービー)である。
ボビー・チョン側は、同事件に関して”ノーコメント”を貫いており、ファンと意見交換をしていたSNSのアカウントも非公開に転換。それに加え、今月14日から2日間予定されていた公演が、突然キャンセルとなり、ネットユーザーたちは、ボビー・チョンが深くかかわっていると確信している様子だ。
真実によって転落する”肩書き”
『秋休み』とボビー・チョンが、世間の関心を集めるようになったのは、2012年頃に遡る。
韓国メディアが「かすかな初恋の思い出が浮かぶ」と『秋休み』を絶賛。以降、多くのラジオ番組で生ライブを披露すると、高い音楽性が認められ、韓国国内でファンが急増した。
『秋休み』の歌詞や曲、コンセプトなどは「ボビー・チョンのインスピレーションから始まる」と言われているほど、彼は自他ともに認める音楽的才能を誇る。
そして彼の名を、K-POPシーンに刻んだ出来事がある。世界的人気のBTSと、TXTのアルバム制作に参加したのだ。BTSの『DreamGlow』『Answer : Love Myself』、TXTの『Roller Coaster』『20cm』などの楽曲制作に、その名を連ねている。
もう一つ、日本のバンド『Spitz(スピッツ)』の熱狂的なファンとしても知られている。
自身のコンサートで『Spitz』の楽曲を、韓国語に変えて歌うほどだ。2014年には、自身のエッセイで『Spitz』に触れ、以下のように綴っている。
「『Spitz』のアルバムには、細い女性モデルが登場するジャケットが多いが、むしろヒトデを重ねたような、1991年のアルバムが最も可愛いと思う‥(中略)熱狂的なファンである僕だけど、タイトルと歌詞を結び付けることが容易ではない、何だか存在感の薄い1番から10番のトラックが終わると、名曲『夏の魔物』『うめぼし』『ヒバリの心』が流れる。一般的な考え方だと、その3曲を1~3番トラックに入れたはず。それ(その考え方を)をひっくり返したのだ(中略)。まるで夏に観戦する野球試合みたいだ。9回裏2アウトの同点ホームラン‥」
ボビー・チョンは、高い音楽性とともに、高学歴芸能人としても有名だ。
彼は、韓国の名門大学・ヨセン(延世)大学で国語とロシア語を専攻するなど、言葉に対する高い感性を持っている。
果たして彼が前述の事件と、関連性があるのかどうか。これによって、彼に付いている誇り高き肩書きとヲタクと公言するバンドへの影響が、天国から地獄へと転落しかねないのだから‥。
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