最近、”世界的なポップアーティスト”として、また”希望のメッセンジャー”として、BTSを応援しはじめたファンが、日々目に見えて増えている。そんなBTS入門者にぜひ見てほしい、絶望に満ちたBTSを楽曲を紹介したい。
新型コロナウイルスの流行により、世界規模で再び医療機関が危機的状況となっている。
2020年から約2年もの間、世界中の人々はいつ終わるかわからない絶望的状況に苦しんでおり、今もなお進行中だ。
いつの間にか”希望”という単語が、人々の心から離れ始めた頃、”希望”を歌い、人々を元気にさせたBTS(防弾少年団)。
ここ日本でも、BTSに抱いていたかつての”韓国アイドル”という印象ではなく、”世界的なポップアーティスト”として、また”希望のメッセンジャー”として、彼らを応援しはじめたファンが、日々目に見えて増えている。
彼・彼女たちが持つBTSのイメージは、”明るい”、”元気”、”希望”、”米ビルボードチャートの常連アーティスト”といったものが強い。
しかし彼らが、初めて”1位”になった曲の雰囲気とコンセプトは、決して今のような明るいものではなかった。むしろ”懐疑”と”絶望”に満ちていた。
BTS入門者の皆さん!『I Need U』をご存じですか?
2013年、韓国でデビューしたBTS。
彼らにももちろん”無名時代”があり、それは2年ほど続いた。そして2015年に、今回紹介する『I Need U』という楽曲で、人気アイドルの座を勝ち取ったのだ。
その成果は、毎週テレビ局が放送する音楽番組での快挙(1位)として表れた。
現在において音楽番組の権威は、過去に比べて大分落ちてはいるが、音楽番組の1位は、新人アイドルの夢であり、大きな目標である。
BTSは、”BTS神話”の序幕とも称されるアルバム『花様年華 pt.1』のタイトル曲『I Need U』の人気で、2015年5月5日に放送されたSBS音楽番組『THE SHOW』で1位を勝ち取る。
今となっては、楽曲を発表すれば、米ビルボードシングルチャート(Hot 100)で1位を獲るほどの実力者だが、そんな彼らにとって、アーティスト人生初の1位が『THE SHOW』だった。
『花様年華 pt.1』と『I Need U』は、2013年のデビューと同時に始まった”学校3部作”を終え、”青春3部作”のスタートを切った、BTSにとってはとても意味深い作品であり、また本作を機に、彼らの人気はうなぎのぼりとなる。
『Dynamite』『Butter』のMVにはない、暗鬱な雰囲気
多くのBTS入門者を虜にしたのは、近年のヒット作『Dynamite』『Butter』『Permission to Dance』のミュージックビデオ(以下、MV)だろう。
陽気な7人の愛くるしい笑顔や、爽やかな雰囲気溢れるMVに癒され、BTSを追う(?)と決心した人が続出しているが、6年前の『I Need U』には、前出の楽曲で感じられる明朗さはない。
むしろ、懐疑と絶望、ぶつけようのない憤りを抱えた人間の心境を象徴するかのような、暗くて陰鬱とした空気が漂っている。
メンバーはそれぞれ、辛い現実を”やっとの思い”で生き続ける”青春”を表現。暴力、貧困、自我喪失、薬物、不満‥生きる気力を失いつつある彼らにとって、互いが人生の辛さを一瞬でも忘れさせてくれる、唯一無二の存在とても言うように。
そしてMVは、矛盾している1つのメッセージを投げる。
「辛い青春だから、人生は美しい」と。
“花様年華”は、”人生で最も輝いていた瞬間”という意味を持つ。すなわち、危うい状況に直面し苦しめられることは、より輝く人生に向かう途中で遭遇する”成長痛”であると、逆説的に語っているのだ。
BTSのメッセージに、世界の”青春”が共鳴した
このような、一見すると難解なメッセージは、多くの若者に自問自答する考察の時間をもたらせた。そしてこれがトリガーとなり、韓国はもちろん、世界の”青春”たちがBTSに熱狂し始めたのである。
当時からBTSを応援するファンは、BTSのメッセージ--”青春の渦中だからこそ、避けて通れない絶望と懐疑”のおかげで、生きる価値と希望が見出せたと口を揃えて言う。
誰もが一度は経験する”青春の痛み”を赤裸々にし、彼らが代弁する事で、考察と共感という治癒の方法を提示したのだ。
それらはコロナ禍に発表した”わかりやすい希望”より、むしろ重きをなす”希望論”である。
BTS入門者なら、ぜひそのメッセージを、自身の目と耳で確かめてほしい。
最近、我々が見ているBTSとは違う暗鬱な表情に驚くかもしれないが、彼らが伝えようとしたメッセージを、じっくり探してみるのもいいものである。
BTS『I NEED U』MV(Original ver.)(動画出典:YouTube HYBE LABELS)
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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