BTS(防弾少年団)がアメリカのポップ音楽の授賞式であるグラミー賞、”ベスト・ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス”部門にノミネートされた。保守的と言われているグラミー賞の歴史を振り返るとともに、BTSがノミネートされたその意義を考察してみる。
BTS(防弾少年団)が、もう一つの快挙を成し遂げた。
なんと、全世界で最高の権威を誇るポップ音楽の授賞式--グラミー賞にノミネートされたのだ。
『グラミーアワード』は24日(米現地時間)、公式ホームページを通じて、第63回グラミー賞(2021年開催)の83部門のノミネーションを発表。
ノミネーションリストは、2019年9月から2020年8月に発表された楽曲を対象に、音楽産業に携わっているレコーディング・プロフェッショナルの協会である『Recording Academy』の会員が選定した。
BTSは、去る8月21日に発売したデジタルシングル『Dynamite』の好成績により、”ベスト・ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス(BEST POP DUO/GROUP PERFORMANCE)”部門にノミネートされ、これはK-POPアーティストとして、初の快挙となる。
BTSの”グラミー・チャレンジ”は、2年前からファンの間で大きな関心事になっていた。
2019年にはプレゼンターとして、2020年にはセレモニーステージのパフォーマーとして、グラミーのステージに立ったが、ようやく今年、主役の一員として参加することになったのだ。
1959年から開催され、来年2月に63回目の授賞式が行われるグラミー賞だが、実は、かなり保守的な”選定基準”が、時折議論を巻き起こす授賞式として名高い。
まず、ダンスやヒップホップジャンルの音楽に対して高く評価しないと言われており、これらの音楽は受賞の可能性が低ければ、ノミネーションされることも難しい。
アメリカポップシーンにおいて欠かせない女性シンガー、マドンナとレディーガガも、せいぜい”エレクトロニック/ダンス・アルバム”部門で賞を獲るくらいで、2010年に最も活躍した新人と評されるケシャが、1部門にもノミネートされなかったほど。
“人種差別”もよく挙がる問題であり、グラミーの膿である。
前出のダンスやヒップホップ音楽の場合、”黒人音楽”というイメージが強いという理由で*本賞受賞は厳しいと言われている。
*グラミー賞 本賞:今年のアルバム賞(Album of the Year)、今年のレコード賞(Record of the Year)、今年の楽曲賞(Song of the Year)、新人賞(Best New Artist)
90年代後半から、00年代を華やかに飾った”時代の寵児”エミネムや、2012年『good kid, m.A.A.d city』で大旋風を巻き起こしたケンドリック・ラマーも、本賞には手が届かなかった。
もちろん、例外もある。
“キング・オブ・ポップ”であるマイケルジャクソンや、ヒップホップミュージシャンのカニエ・ウェストの受賞例を見れば、グラミーは一概に”人種差別”しているとは言い難い。
しかし近年、大衆から高い評価を受けながらも、『今年のアルバム賞』受賞に至らなかったビヨンセ(2015)や、ケンドリック・ラマー(2016)の件により、”人種差別””保守的”という議論が再燃している。
また、2017年第59回の授賞式には、グラミーのスタンスに批判的だったジャスティン・ビーバーやドレイクなどの若手有名アーティストが、授賞式を欠席したことで現地紙に”ボイコットした”と報じられた。
以上のことから、保守的と言われても仕方のないグラミー賞にBTSがノミネートされたことは、実に名誉なことだと言わざるを得ない。
長年に渡り、築き上げられた”堅固な壁”を打ち破った出来事とも言えるだろう。
世界で”最も人気の高いグループ”であるBTSを排除してはいけないという”不満の声”が、ようやく『Recording Academy』に届いたという意見もあるが、そんなことで動じるグラミー賞ではない。
なぜなら、自国アーティストやファンの恨みも意に介さず、”保守的根性”を守ってきたグラミー賞なのだから! ファンの不満を聞き入れたが故のサプライズではなく、BTSの音楽が”真の評価”をされたのだ。
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