現在、アメリカのラスベガスでコンサートを開催しているBTSだが、そのニュースよりも”入隊”というワードが、韓国ネットの話題をさらっている。ある韓国メデイアは、”兵役問題”によりBTSが多くのものを失うかもしれないと危惧しているが‥。

BTS(防弾少年団)の入隊イシューが、連日韓国で話題だ。

ここ数日、韓国ネットがBTSの入隊問題で騒いでいる

ここ数日、韓国ネットがBTSの入隊問題で騒いでいる(写真提供:©TOPSTAR NEWS)

現在BTSは、アメリカのラスベガスで4月15日、16日(現地時間)とコンサート(PERMISSION TO DANCE ON STAGE – LAS VEGAS)を控えているが、そのニュースよりも”入隊”というワードが、韓国ネットの話題をさらっている。

ここでは「彼らが韓国の国威を高めた功績は大きく、兵役優遇を受けるのが妥当だ」という賛成派と、「グローバルで人気を博し、とてつもない富を築き上げたBTSに”兵役優遇”というボーナスは不要」という反対派の意見対立が、次第に深まっている模様。

この問題は、BTSファンの多くを占めており、且つ兵役義務を負わない女性ユーザーと、兵役義務のある男性ユーザーによる”男女差”にまで発展しそうな動きを見せている。

一部の男性ユーザーは、BTSの兵役優遇を韓国国会に持ちかけた国会議員に抗議の電話をしており、それを”武勇伝”のようにオンライン上で自慢した。

彼らは、過去にメンバーのSUGAが発表した『What do you think?(2020)』に登場するラップの歌詞を取り上げ、最近の”スタンスチェンジ”を猛批判中である。

その歌詞とは「軍隊は時が来たら行くから/僕たちの名前を売って便乗するヤツら/全員黙ってほしい(直訳)」というもの。

要するに、BTS関連法案で注目を浴びていた政治家たちを批判する内容である。

しかし最近、BTS側は「入隊問題は会社に一任した(ジン)」「国会はアーティストへの兵役優遇について、早期に決着をつけてほしい(HYBEイ・ジニョンCOO)」と言及。これを受け、反対派から「2年前は入隊すると言ってたのに、急にスタンスが変わった」「兵役を忌避しているかのようだ」との苦言が寄せられている。

このネット上の動きに、韓国メディアのソウル新聞(seoul.co.kr)は『”軍隊に行くから黙れ”BTS発言、ユ・スンジュンのように自分の足を引っ張るのか』という記事(4月12日掲載)で、男性スターにとって”兵役問題”がどれだけ難題なのかを解説。

ソウル新聞は、前出のラップの歌詞とともに、過去にジンの「兵役は当然な義務であるだけに、国家の呼び出しがあればいつでも応じる」という発言を紹介しながら、「わずか2年で”会社に一任”という苦しい言い訳をした」と指摘した上で、「ユ・スンジュンの二の舞になる」と警告する。

このユ・スンジュンという人物を、読者はご存じだろうか。2000年代前半に”韓国のマイケル・ジャクソン”と呼ばれていた、知る人ぞ知る韓国系アメリカ人の大スターだ。

ユ・スンジュン

ユ・スンジュン(写真提供:©TOPSTAR NEWS 出典:ユ・スンジュン インスタグラム)

彼は、兵役免除を受けるためにアメリカ国籍を取得。これには韓国中が「韓国で活動をして名誉と富を手に入れた男が、大事な国民の義務を忌避した」と憤慨する事態に。

結局、韓国政府は兵役法と国籍法を改正し、ユ・スンジュンの韓国入国禁止措置を取る。騒動から20年が経った今も、彼は韓国の地を踏む事ができないままだ。

BTSの場合、ユ・スンジュンの事例とはほど遠い。が、ソウル新聞が危惧するのは、”兵役優遇”及びそれを望むかのようなスターの態度がもたらす国民の反感である。

実はユ・スンジュンは、アメリカ国籍を選ぶ前に、メディアの前で入隊を公言していたと知られていた。そのため、多くの韓国国民が「裏切られた」と激怒。

ソウル新聞の憂慮も、まさにこの点だ。

SUGAが発表した楽曲の歌詞と、ジンの”兵役は義務”という発言を、”入隊への意志”と捉えた韓国国民が、現在のBTS側のスタンスに「裏切られた」と、勝手な反感を抱くかもしれないという論調である。

“世界的なスター”というステータスを手に入れたBTSだが、残念ながら、こればかりは韓国国民の顔色を伺わざるを得ない状況にある。

韓国における”兵役”というのは、履行しても、しなくても、置かれた立場によっては失うものが非常に多い制度なのだ。






BTS

BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。

HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。

デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。

ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。

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