先日、BTS(防弾少年団)の所属事務Bighitエンターテイメントが、社名を『HYBE(ハイブ)』に変更したことが報じられた。これに対し、BTSのファンであるARMYから反発の声も上がっているが、果たしてパン議長はなぜ社名変更に乗り出したのだろうか。
BTS(防弾少年団)を誕生させたBig Hitエンターテインメント(以下、Big Hit)が、社名を『HYBE(ハイブ)』に変え、プラットフォーム企業に生まれ変わろうとしている。
去る19日、従来のエンターテインメント色を捨て、創業16年目で社名変更を敢行したBig Hitエンターテインメント。音楽産業から脱皮し、コンテンツやサービス、流通産業への進出を見据えた”総合ライフスタイルプラットフォーム”を志向すると宣言した。
パン・シヒョク*議長は「事業領域が広まるにつれ、現在の事業を拡大させるという新しい使命を感じた」と、社名変更と事業拡大宣言の背景を説明。
*Big Hitの創業者、パン・シヒョクの役職は現在、理事会の議長であり、事実上経営のトップである。パン・シヒョクの下には、2人の実務担当CEO(ユン・ソクジュンGlobal CEO、パク・ジウォンHQ CEO)がいる。
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K-POPの在り方を変えたパン・シヒョク
ファンの反発は少なくない。
主にBTSファン、通称ARMYの中には「BTSが稼いだお金で、”余計なこと”をしようとする」など、露骨な表現でパン議長を批判する者も。
しかし、BTSの世界的な成功は、パン議長の戦略とビジョンの賜物であることは間違いようのない事実である。
パン議長は、音源と公演に限られていたK-POPコンテンツ産業を踏襲せず、様々なコンテンツ制作や普及に取り組み、成功させた実績は高く評価されている。
例えば、アイドルの日常や、舞台裏のリアルな風景を盛り込んだ自主制作バラエティー番組などは、BTSがその出発点だと言われている。
アイドル育成や輩出に留まらず、そのアイドルを楽しむコンテンツを企画・制作し、配信まで自ら行うというシステムを作り、K-POP産業に取り入れたのがパン議長なのだ。
パン議長が社名を変えた理由
BTSという世界的なスーパースターの誕生と、自主コンテンツの成功という二兎を手に入れたパン議長は、将来へのある不安を抱えている。
その不安とは、売り上げ80-90%をBTS関連コンテンツが占めているという現状である。
BTSの人気が減速すれば、株価の下落と共に、会社の成長動力が失われる事態を招かざるを得ない。つまり、BTSが会社の命運を握っているのだ。
パン議長がファンから批判を浴びながらも、エンターテインメント色を消し、新事業領域に足を踏み入れる理由は、BTSの人気に左右されない成長動力--K-POP産業における中心的な”コンテンツプラットフォーム”を生み出すだめである。そのため、パン議長は自社アイドルに拘らない。他社アイドルであっても、海外のアイドルであっても、アイドルの商品性を高め、ファンに様々な形で楽しんでもらえる仕組みを作ると宣言しているのだ。ミッキーマウスやドナルドダック、エルサという愛らしいキャラクターを作り、そのキャラクターたちが交わることのできるディズニーランドのように、パン議長は今、*ディズニーの背中を追っているのだ。
*正式な社名は、The Walt Disney Company(ザ・ウォルトディズニーカンパニー)
パン議長の考えるディズニーランド、Weverse
パン議長が抱くディズニーへの憧れは、過去に米TIME誌とのインタビューでよく表されている。
「世界のK-POPファンは、アイドルと交流して、親しみを感じたがる。だからディズニーの戦略を見習った」
パン議長が思い描くディズニーランドは、K-POPアイドルの総合プラットフォームを目指しているWeverseである。音楽や映像、グッズやゲームなどのコンテンツを流通するプラットフォームとして、K-POPファンのライフスタイルにまで変化をもたらしたいと、意気込んでいるようだ。ちなみに、昨年Big Hitの全売り上げの40%に相当する金額が、Weverseで決済されたという。
パン議長は、雄大なロードマップを実現させるため、アメリカのユニバーサルや、競合のYGエンターテインメントの参加も導き出し、勢力を拡大させている。
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BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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