4月10日に日本公開を迎える映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』で主演を務めるイ・レ。今回の単独インタビューでは、子役時代からキャリアを重ねてきた彼女の演技観や、俳優として大切にしている姿勢にも迫った。さらに作品のテーマである「괜찮아 (大丈夫)」に込められた意味や、日本の観客に届けたいメッセージについても明かしてくれた。

イ・レ (写真提供:Noon Company)
これまで確かな演技力で注目を集めてきたイ・レが、主演映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』を携え、日本のスクリーンに帰ってくる。
4月10日に日本公開を迎える本作は、ソウルの芸術団を舞台に、母を失った女子高生と完璧主義の先生が心を通わせていく姿を描いたハートフル・ストーリー。韓国映画で初めて第74回ベルリン国際映画祭「ジェネレーションKプラス」部門の最優秀作品賞にあたるクリスタル・ベア賞を受賞し、国際的にも高い評価を得た。
本作のヒロインを担うイ・レは『ソウォン/願い』(2013)での圧倒的な感情表現で注目を浴び、『七年の夜』(2018)、『新感染半島 ファイナル・ステージ』(2020)など話題作に出演、ドラマでも主演や重要な役どころを務めながら着実にキャリアを重ねてきた。
子役から実力派俳優へと成長を遂げた彼女はいま、本作にどのような思いで向き合ったのか・・今回Danmeeでは、インタビューを通じてその胸の内に迫る。
Q. 子役時代から第一線でご活躍されていますが、ご自身で「転機」だったと感じる作品はございますか?
昨年、成人してから出演したドラマが『シン社長プロジェクト』(tvN)という作品なのですが、大人の役を演じる初めての作品でもありましたし、久しぶりのドラマ撮影でもありました。
撮影をしながら、自分自身にもたくさんの変化があったんだなと感じましたし、いろいろなことを学んだ記憶があります。
Q. 映画『君の名は。』の韓国語吹替版で宮水四葉役を演じられ、声の演技も高く評価されました。視覚に頼らない表現は、ご自身の演技にどのような影響を与えていらっしゃいますか。
かなり幼い頃の出来事であったと記憶しています。演技をするときは表情を多く使ったり、そうした呼吸感の中で演じることが多いので、言葉にしなくても何となく分かり合える、通じ合えるような感覚に慣れていました。
ですが、声優の仕事を実際に経験してみて、声だけで感情を表現しながら演技をするというのは、思っていた以上に難しいことなんだと気づくきっかけになりました。
発音や発声など、そういった専門的な部分については当時はよく分かっていなかったですし、まだ未熟だったと思います。
ただ、そうした経験を通して、自分にとって一つのスタートになったのではないかと感じています。
Q. tvN『無人島のディーバ』では方言や歌唱も披露されました。新しい技術を習得しながら役に向き合う際、特に努力された部分や意識されたことはありますか。
たくさんあったと思います。とにかく、その人物としてそのまま自然に見えるためには、そうした準備を徹底的に行う必要があり、そういった部分に大きく助けられる職業だと思っています。
方言やダンス、歌など、これまで一度もやったことのなかったことに挑戦することに大きな楽しさを感じますし、そうした面で未熟なまま、不安な状態で臨むのはやめようという思いで、いつも最善を尽くしてきた記憶があります。

イ・レ (写真提供:Noon Company)
Q.『無人島のディーバ』で成長後の役を演じられたのが、ENA『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で大きな注目を集めたパク・ウンビンさんですが、そのパク・ウンビンさんへとつながる“若い頃”を演じるにあたり、意識されたことや感じられたことはありましたか。
私は本当にうれしかったです。実はウンビン先輩も子役の頃からずっと活動を続けてこられていて、これまで歩んできた道のりがとても輝いている方だと普段から思っていました。
幼少期という形ではありますが同じ作品に関わることができて本当にうれしかったですし、同じ人物を演じるという構図でもあったので、自分自身も頼らせてもらいながら、少しでも力になれたらいいなという気持ちも大きかったです。
Q. チョン・ジヒョンさんやアン・ハサウェイさんをロールモデルに挙げていますが、ご自身が目指す俳優像はどのようなものですか。
最近は、いわゆる“俳優らしい人”というよりも、ひとりの誠実な人間として観客や視聴者の皆さんに向き合いたいという気持ちが大きいと思います。
演技をするときも、何かを作り込んで演じるというよりは、私の中にあるその人物としての“生きた真実”を届けたいという思いが強いですし、演技をしていないとき俳優としての姿でも、そうした正直な部分を皆さんと分かち合っていけたらいいなと思っています。

韓国映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』(ⓒ 2023 TWOMEN FILM ALL RIGHTS RESERVED.)
Q. 映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』で演じた“ポジティブ少女”イニョンは、これまでの役柄と比べてどのような挑戦がありましたか。ご自身との共通点や違いも教えてください。
イニョンという人物の一番大きな特徴を挙げると、まずとても前向きなところだと思います。
実は必ずしも前向きでいられるような背景を持ったキャラクターではないのですが、それでも明るくポジティブな態度で周りの人たちに良い影響を与えていく人物なのです。その点がとても大きな魅力だと思いました。
そしてもう一つは、韓国舞踊という伝統舞踊を踊る人物であること。この2つが、私にとってこの役を準備するうえで最も重要なポイントだったと思います。
実は映画を撮影する前まで、私は韓国舞踊を習ったことが一度もなく、そもそも専門的にダンスを学んだ経験もありませんでした。なので、その部分についてはできるだけ徹底して、できる限りプロフェッショナルに近い準備を整えたうえで撮影に臨みたいという気持ちで取り組んでいたと思います。
イニョンと私の似ているところを挙げると、私自身も時々楽観的なところがありますし、特に仕事をしているときにはできるだけ前向きな姿で周りの人と一緒に取り組みたいと思うタイプです。
なので、好きな方々と向き合うときや、一緒に呼吸を合わせて演技をするときなどは、イニョンのようなハッピーなオーラを少しでも生み出せるように心がけています。
Q. 本作は「ひとりでは不器用でも、一緒にいると大丈夫」というメッセージが印象的です。撮影を通して、ご自身が受け取った“괜찮아 (大丈夫)”の意味とは何でしょうか。
「大丈夫」という言葉って、実はとても慰めに近い表現ですよね。でも、言葉にしなくても伝わってくるような慰めもあるのではないかと思います。
たとえば劇中で、ソラとナリの関係がそうだと思います。直接「大丈夫?」「大丈夫だよ」と言葉にするわけではないけれど、会話をしたり日常を共有したりする中で、お互いがお互いにとっての慰めになっている存在ですよね。
そうやって、言葉にしなくても自然と「大丈夫」と思えるようにしてくれる人たちだと思います。
そういう関係性の中で、言葉にしなくても伝わる慰めがどれだけ大切なのかを、この作品は描いているのではないかと感じました。

韓国映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』(ⓒ 2023 TWOMEN FILM ALL RIGHTS RESERVED.)
Q. 4月10日に日本公開を迎えます。日本の観客の皆さんに特に届けたいポイントや、イニョンを通して伝えたいメッセージがあれば教えてください。
実はこの映画は、韓国で公開される前からとても期待していた作品で、それだけ私にとって愛着のある映画です。そのような作品が、私自身もとても好きな国である日本でも公開されると聞いて、私にとってはとても特別で印象深い出来事でした。
この映画は韓国の未来を描いている作品でもありますが、日本の映画やドラマが持っているような情緒にもどこか通じる部分があると思っています。なので、日本の観客の皆さんにはその違いと共通点の両方を見つけながら楽しんでいただきたいです。
そしてキャラクターの面では、イニョンが持っているポジティブなエネルギーが、果たして海外の方々にも届くのだろうかという不安と期待の両方があります。
韓国の観客の皆さんや、そして私自身にとってもイニョンは力を与えてくれる存在だったので、日本の観客の皆さんにも良いエネルギーを届けられたらうれしいなと思っています。
また以前、日本の観客の皆さんにお会いしたとき、とても温かく迎えてくださったことが強く印象に残っています。
いつも私たちの作品に耳を傾けてくださり、韓国から来た俳優たちを大きな拍手で迎えてくださったことが、とても心に残る場面でした。
今回この映画を通してご挨拶できることを本当にうれしく思っていますし、また良い機会があれば、直接お会いしてご挨拶できたらうれしいです。
(写真 = Noon Company, ⓒ 2023 TWOMEN FILM ALL RIGHTS RESERVED. / インタビュー = Danmee )
韓国映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』4月10日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開

韓国映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』(ⓒ 2023 TWOMEN FILM ALL RIGHTS RESERVED.)
【ストーリー】
母親を失った高校生イニョン(イ・レ)は、家賃が支払えず家から追い出されてしまい、所属しているソウル国際芸術団の練習室で隠れて寝泊まりしていた。
芸術団の60周年公演に向けて猛特訓が続く中、ある日、“魔女”と呼ばれ、完璧主義で生徒達に容赦なく厳しい態度をとる芸術監督ソラ(チン・ソヨン)に練習室での生活がバレてしまい、その日からソラの家で一緒に暮らすことに。
年齢も性格も生活習慣も違う二人は、お互いに戸惑いを見せながらも、同じ時間を過ごすことで徐々に心を通わせていく。
そんな中、イニョンを敵対視している芸術団のエース、ナリ(チョン・スビン)の不調をきっかけにチーム内で問題が勃発。
イニョンをはじめとする団員たち、そしてソラの気持ちはバラバラになってしまう。公演開催の危機に迫られた芸術団のため、ソラはある覚悟を決めるが・・
監督:キム・へヨン
出演:イ・レ、チン・ソヨン、チョン・スビン、イ・ジョンハ、ソン・ソック
提供:KDDI 配給:日活/KDDI
公式X、公式Instagram:@daijoubu_eiga #大丈夫大丈夫大丈夫
ⓒ 2023 TWOMEN FILM ALL RIGHTS RESERVED.
2023年/韓国/カラー/スコープ/5.1ch/原題:괜찮아 괜찮아 괜찮아!/英題:IT’S OKAY!/102分/字幕翻訳:根本理恵
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