ツイッターで取り上げられた話題のチャ・ジョンスク(上)とシン・ソンハン(画像出典：JTBC)

「チャ・ジョンスクにシン・ソンハンを紹介したい」

一瞬「誰？」と思った人もいるかもしれないが、韓ドラファンなら思わず“ベストアンサー”だと深く頷いてしまったはず。もしくは、ウィットに富んだ提案にクスッとした人もいるかもしれない。

あるドラマファンが、ツイッターで呟いた一言だ。

チャ・ジョンスクとシン・ソンハンは、Netflix(ネットフリックス)で配信中の作品にそれぞれ登場する主人公の名前。

前者は、オム・ジョンファが『医師チャ・ジョンスク』(JTBC)で熱演中の、自分を犠牲にして家族のために尽くしてきた専業主婦。

最近、夫が不倫していることが分かっただけでなく、なんと高校生の我が子と同級生の隠し子までいたことが判明し、残酷な現実を目の当たりにしているキャラクターだ。“離婚”という文字が頭をよぎる状況で、弁護士に相談するシーンもあった。

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一方後者は、『離婚弁護士シン・ソンハン』(JTBC/2023)で、チョ・スンウが演じた離婚問題を専門に扱う弁護士。様々な理由により配偶者と別れたい依頼人に寄り添い、型破りな方法で離婚訴訟に立ち向かう人物だ。

冒頭で紹介したツイッターの投稿文の真意は不明だが、チャ・ジョンスクの境遇を嘆いた韓ドラファンが「仕事のできるシン・ソンハンなら彼女を救えるかもしれない」と考えたようにとれる。

韓国の視聴者も似たような反応を見せており、あくまでドラマの中の出来事でフィクションなのだが、あまりにも可哀想なサレ妻を前に、自分の知人に訪れた不幸かのように共に悲しみ、怒りを露わにしている主婦が多い。

夫に不倫されただけでなく婚外子までいるという状況は、国境を越えて多くの人を憤慨させるテーマのようだ。

チャ・ジョンスクが夫に隠し子までいることが分かり泣き崩れたシーン(画像出典：JTBC)

では、見る者の心までかき乱したチャ・ジョンスクのケースを、実際に離婚専門弁護士に相談したらどのような回答が返ってくるのだろうか。韓国メディアの取材でイ・インチョル弁護士が解説した、夫への“復讐方法”を紹介する。

彼は2つの案を掲示した。わざと離婚せずに一生不倫関係を続けさせるか、もしくは離婚訴訟を起こし損害賠償を請求するかだ。

まず前者は、離婚すれば夫と不倫相手の関係をお膳立てすることになるという観点からあえて別れを選択せず、2人がこの先も永遠に幸せにはなれず、罪悪感を抱かざるを得ない状況を継続させる案。

「チャ・ジョンスクの精神的負担が大きいという短所がある」と説明している。

後者は、回答の通り別れを前提に裁判を起こす方法。チャ・ジョンスクは2人に慰謝料を請求できるという。しかし判例から、さほど大きな額ではないそうだ。

ただし、「不倫相手の職場に訴状を送ることで(本人を)辱めることができる」というメリットを挙げた。また、給料の仮押さえも可能なのだとか。

公開処刑し“不倫女”の烙印を押すことで制裁を加え、慰謝料も確実に受け取ろうとする考え方だ。

夫には、慰謝料に加え財産分与を請求することができるという。内助の功によって夫が医者として成功、自身の夢を諦めてまで子どもと彼を支え、姑の世話までしてきたチャ・ジョンスクだけに、通常よりも多く要求できるそうだ。

しかしこれは証拠が揃っている場合。同弁護士は、「法廷では証拠が最も重要だ」としている。

また婚外子に関しては慰謝料に含まれるそうで、「婚外子の問題を理由に慰謝料を多く受け取ることはできるが、慰謝料自体が少なく策定される場合が多い」と語った。

そして最後に、いかなる状況においても暴行やオンライン上での暴露といった武力行使はすべきではないことを強調している。

「社会的復讐は名誉毀損にあたる可能性があるため行ってはいけない」、「最大限行動に節度を持ち、公式的なルートや専門家を通じて対処するのが最も賢明だ」と助言した。

不倫もののドラマを見ていると、妻が浮気した夫やその相手に次々と社会的制裁を加えていく姿に爽快感を得たことがあるが、現実では怒りにまかせて動いてはいけないようだ。

本記事で紹介したのはあくまで韓国における離婚に関する内容だが、日本でも似たようなもの。

自分にはチャ・ジョンスクのような不幸がないことを願いたいが、もし最悪の事態が訪れた場合には、まず冷静になることを忘れないでおきたい。

全16話中10話まで公開されている『医師チャ・ジョンスク』。悲劇のヒロインはどのような選択をするのだろうか、彼女の今後から目が離せない。

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