- SМエンターテインメント(以下、SM)の経営権を巡り、経営陣、HYBE、Kakaoの関係が悪化している。
- 韓国メディアの中央日報は、公式発表されていない、所属アーティストらの契約時期に注目。
- 最悪の場合、再契約せずにSMを去るアーティストが続出する状況が起こり得ると指摘している。

SМエンターテインメント所属のEXO (写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
韓国の大手芸能事務所、SМエンターテインメント(以下、SM)の経営権を巡る争いが激化している。
SMの筆頭株主となったHYBEは2月24日、SМとKakaoが結んだ事業協力契約について法的措置を予告。
一方、Kakaoエンターテインメントのキム・ソンス代表は、同月27日、SMとのパートナーシップのため、Kakaoと緊密に協議することを明らかにした。
Kakaoと手を組んだSMの経営陣は「HYBE傘下で、SMアーティストは後回しにされるだろう」とK-POPファンダムに訴えるなど、各社の関係は悪化の一途をたどっている。
韓国メディアの中央日報 は、そんなSMに所属するアーティストらを「SM買収戦で“人質”に取られたSM歌手たち」と表現。一方で、最近、彼・彼女らがSMを去って行くのではないかと囁かれている状況を伝えている。

SMの末っ子グループ、aespaは2020年にデビュー (写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
メディアがそう伝える理由は、2020年にデビューしたaespa(エスパ)を除いて、他の所属アーティストらに再契約の時期が迫っているからだという。
そのため、最悪の場合、全員が再契約を結ばずにSMを出て行ってしまう状況が起き得ると指摘している。
現在SMには、カンタ、BoA、東方神起(TVXQ)、SUPER JUNIOR(スーパージュニア)、少女時代(SNSD)のテヨン・ユナ・ユリ・ヒョヨン・サニー、SHINee(シャイニー)、EXO(エクソ)、Red Velvet(レッドベルベット)、NCT、aespaなどが所属している。
しかしながら、EXO以降、メンバーの再契約の時期について公式的なアナウンスを出していないため、契約時期などの詳細はわからない。
今年(2023年)デビュー9年目のRed Velvetは、7年目の2021年当時から契約満了説が出ていたが、依然として何も発表がないまま、グループ活動を継続中だ。
そのため業界では、2021年に再契約したと見られているが、もともと契約期間が8~10年であり、今年がそのタイミングだという分析もある。

NCT派生ユニットのNCT 127 (画像出典:NCT 127 公式Twitter)
2016年にデビューしたNCT(エヌシーティー)も、一部のメンバーがデビュー7年目を迎えるため、契約の更新時期だと囁かれている。
SUPER JUNIOR、SHINee、EXOは入隊期間があるため、それぞれ再契約の時期が異なるようだ。
各メンバーの契約状況は明らかにされていないが、中央日報によると、aespaを除く全員が契約時期をすでに過ぎたか、近い内に交渉が行われるものと見られ、ちょうど再契約のタイミングを迎えるアーティストの中には、HYBEに反発し、新しい事務所に移る可能性もあるのだという。
実際、一部のアーティストが、すでに別の事務所との接触に乗り出したという話も出ているそう。
エンタメ業界の関係者は「すでに認知度の高いアーティストは、今後SMに残る理由が明白ではなく、個別活動をサポートしてくれ、収益分配の面で有利な中小の事務所を探す可能性が高い」とし、「SMに長く残っていたアーティストの大部分は、義理と名分のために下した決定なので、他の大手事務所に吸収された状況を喜ばないだろう」と話す。
一方で、「所属アーティストのSM離れは、大きな問題ではない」という分析もある。
ハイ投資証券のパク・ダギョム研究員は「現在のSMを支えている主要なIP事業(知的財産)はNCTとaespaで、この2グループだけを確保すれば、現在の企業価値に大きな問題はなく、今後公開する新人たちの底力も残っている」という肯定的な見方を示した。

2008年デビューのSHINee (画像出典:SHINee 公式Twitter)
長きに渡ってSMの指揮を執ってきたイ・スマン氏が去った今、韓国メディアが伝える“最悪のシナリオ”は現実のものとなってしまうのだろうか。
SMを取り巻く不穏な空気が、所属アーティストを困惑させているのは事実だ。
SHINeeのキーは2月13日、アルバム発売を記念するオンライン生放送で「誰よりも公演したいが、どこに話せばいいのか分からない。会社が今落ち着かない」と残念な気持ちを明かしている。
また、Red Velvetのスルギは、同日に開いたファンミーティングで、HYBE傘下レーベル所属であるNewJeans(ニュージーンズ)の『Hype boy』の振付を踊ってほしいというファン要請に「困るようなことは絶対に作らないようにしている」と言葉を濁した。
さらに、18日に行われた『サークルチャートミュージックアワード 2022』の授賞式では、異例の事態が起こった。
これまで受賞コメントに必ず登場していた、SM創業者であり元総括プロデューサーの「イ・スマン先生」への感謝の挨拶が消えたのだという。
この日、ステージに上がったaespaとNCTが、彼の名を言及することはなかった。
K-POP人気を牽引してきたSMアーティストらの今後の動向が注目される。
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