韓国映画が得意とするジャンルの1つが、”サイコサスペンス”と言っても過言ではない。中には実際に起きた猟奇殺人事件を題材にすることも多く、その背筋の凍りそうストーリーはコアな映画ファンを唸らせている。そこで今回は、サイコパスが物語をけん引する戦慄の韓国映画の名作をご紹介。
韓国映画が得意とするジャンルの1つがサイコサスペンスだ。実際に起きた猟奇殺人事件を題材にすることも多く、背筋の凍るようなストーリーがコアな映画ファンを唸らせている。
そこで今回は、サイコパスが物語をけん引する戦慄の韓国映画の名作をご紹介。
『チェイサー(2008)』
1本目は、韓国サイコサスペンス映画の金字塔『チェイサー(原題:追撃者)』を紹介したい。
本作は2000年代初頭にソウルで起きた、”20人連続殺人事件”を題材にした傑作だ。
ベテラン俳優、キム・ユンソクが事件の謎を追う元刑事、ハ・ジョンウが女性の監禁と殺害を繰り返すサイコパスを演じている。ハ・ジョンウはこの猟奇的な犯人役で一躍注目を集め、映画スターの道を駆け上ることに。
それまでの韓国映画と一線を画す、背筋が凍るような内容は大きな話題を呼び、500万人を動員する大ヒットを記録。
現在の韓国映画にサイコサスペンスが多いのは、このヒットがきっかけとも言われている。
異常な殺人手口で20人もの人が犠牲となり、当時世間を震撼させたこの事件は、Netflix(ネットフリックス)のドキュメンタリー『レインコートキラー:ソウル20人連続殺人事件』でも取り上げられているため、合わせてチェックしてみては。
『チェイサー』予告編(動画出典:YouTube Klockworx VOD)
『造られた殺人(2015)』
2本目は、サイコパスとマスコミの対決をスリリングに描いた『造られた殺人(原題:特ダネ:リャンチェン殺人記)』を紹介しよう。
連続殺人事件の真犯人を伝える記事が、大スクープとなった記者のムヒョク(チョ・ジョンソク扮)。
しかし記事の内容は自身の勘違いで、事実無根だったことがわかり追い詰められる。挽回のチャンスを狙い、犯人を追いかけるムヒョクだったが、次第に犯人に翻弄されていくことに。
本作は、クライマックスまで明かされない犯人の罠にハラハラする展開の連続が面白い。また”誤報が招く主人公の災難”という設定は、作品にコミカルな要素を加え、ライトに楽しめる。
主演を務めるのは、大ヒットドラマ『賢い医師生活シリーズ』に主演し、日本でも一躍知名度を上げたチョ・ジョンソク。同ドラマで共演したキム・デミョンも出演しており、『賢い医師生活』ファンなら押さえておきたい一作だ。
真犯人を予想しながらぜひ見て欲しい。
『造られた殺人』予告編(動画出典:YouTube Klockworx VOD)
『殺人鬼から逃げる夜(2021)』
最後は、韓国サイコサスペンスの最新話題作、『殺人鬼から逃げる夜(原題:MIDNIGHT)』をご紹介。
夜の街を舞台に、サイコパスに狙われた聾唖(ろうあ)女性の悲劇を描いた、ノンストップサスペンスだ。
これまでに描かれて来た、多くの怪しく不気味な犯人像とは異なり、本作ではイケメンサイコパスが登場。爽やかな見た目とは裏腹に、異常なまでの執着心でヒロインを追い詰める殺人鬼の姿は恐怖そのもの。
そんな殺人鬼を見事に演じたのは、ドラマ『イカゲーム』で若手刑事を好演したウィ・ハジュン。
対して殺人鬼に追われるヒロインは、MBCドラマ『ここに来て抱きしめて(2018)』、SBS『初対面だけど愛してます(2019)』などでヒロインを務めた、チン・ギジュが演じている。彼女は聾唖女性という難しい役ながら、言葉を発さず、表情だけで恐怖心を表現する人物を熱演、高い演技力を披露した。
この先、さらに人気を集めるであろうフレッシュな2人の対決にもご注目を。
『殺人鬼から逃げる夜』予告(動画出典:YouTube ギャガ公式チャンネル)
*****
高度なネット社会の韓国は、SNSなどを通じて危険な人物との出会いや、事件に巻き込まれる危険性も身近にあるとされている(もちろん日本も例外ではないが)。
サスペンス作品も”姿の見えない恐怖”や”平凡な人間を装ったサイコパス”の描写が増え、エンタメにおける“恐怖の質”も変化し始めているようだ。
事件の発生は嘆かわしい状況だが、いかなる社会の闇さえも作品のヒントに取り入れる韓国の映画作りには驚くばかり。
この3本の様々なサイコパスの物語に、週末戦いを挑んでみては。
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