2022年は、日韓同時開催が話題となったFIFAサッカーワールドカップから20年を迎える年となる。振り返ると日本の韓流ブームの歩みも、同じようなタイミングだったのではないだろうか。そこで今回は、韓流の草創期にヒットした、懐かしい韓国映画を振り返ってみたい。
日本で親しまれて久しい韓流コンテンツ。
そのブーム元年がいつなのかは様々な見方があるが、2022年は日韓同時開催が話題となった、FIFAサッカーワールドカップ(2002年5月~6月開催)から20年を迎える年となる。
また”チョナン・カン”として、流ちょうな韓国語を駆使しながら、日本に韓国の魅力を伝えた第一人者として知られる、元SMAPの草彅剛の活躍も2001年~2002年頃だ。
振り返ってみると、日本の韓流ブームの歩みは約20年もの歴史を刻んでいる。2000年代初頭は、映画『シュリ(1999年)』の大ヒットにより、韓国では大作・名作映画が生み出され始めた時期であり、日本で韓国映画の上映機会が増え始めたのもその頃だ。
そこで今回は、韓流20年にちなんでその草創期にヒットした、懐かしい韓国映画を振り返ってみたい。
『シュリ(1999)』
1本目は韓国映画史上初、600万人を超える観客動員を記録した『シュリ』を紹介。
27億ウォン(約2億5000万円)という、当時としては規格外の予算で製作された本作は、それまでの韓国映画にはないスケール感が話題を集めた。
ハリウッド映画を意識した、本格的なアクション大作を生み出そうとした製作チームの情熱が功を奏し、かつてない重厚な韓国映画の誕生となったことは有名だろう。
今や、トップレベルの俳優として知られるハン・ソッキュが主演を務め、国家秘密情報機関の特殊要員として、北朝鮮のスパイを追う主人公を好演。
また『パラサイト 半地下の家族(2019)』の主演俳優であるソン・ガンホが、主人公の相棒役で出演している。現在はベテラン俳優として、第一線で活躍している2人の若き日の熱演が新鮮だ。
これまで、エンターテインメントでは大々的に描かれなかった”北朝鮮のスパイ”を大胆に取り入れ、分断された国の悲運をメロドラマとして描いた点も、大きな話題を呼んだ。
現在の韓国映画界の隆盛の原点とも言える本作、ぜひチェックしたい一作だ。
『猟奇的な彼女(2001)』
2本目は、日本でもヒットを記録した韓国ラブコメ映画の金字塔、『猟奇的な彼女』を紹介しよう。
本作は、当時韓国でヒットしたネット小説を実写化したもの。コメディー作品を得意とする人気俳優のチャ・テヒョンと、SBSドラマ『星から来たあなた(2013)』『青い海の伝説(2016)』など、大ヒットドラマの主演俳優として知られるチョン・ジヒョンという、フレッシュな顔合わせの2大スターがダブル主演を務めている。
恐ろしいほどに凶暴で、身勝手な彼女に振り回されっぱなしの、気弱で冴えない主人公の日々を描いたラブコメディーだ。
しかし、単なるラブコメディーでは終わらないクライマックスが、本作最大の持ち味。彼女の抱える秘密と、すれ違っていく2人の恋の行方は、最後まで目が離せない。
多くの人の心を掴んだ巧みなストーリー展開は、その後、多くの韓国映像作品のシナリオに影響を与えたはずだ。
『私の頭の中の消しゴム(2004)』
3作目はドラマ『愛の不時着』でヒロインを演じたソン・イェジンの映画代表作となった『私の頭の中の消しゴム』。
新婚生活で愛を育む中、ヒロインは自身が若年性アルツハイマーという病であることを知る。進行していく症状は、やがて彼女の大切な記憶の数々を奪っていく。
愛する夫との記憶を噛み締めながら、かけがえのない日々を過ごすヒロインの切ない演技に涙が溢れる。若き日のソン・イェジンと、韓国を代表する長身イケメン俳優チョン・ウソンの名演は、きっと心に響くだろう。
ちなみに本作の原作は、2001年に放送された日本のドラマ『Pure Soul~君が僕を忘れても~(NTV)』であることは、あまり知られていない。永作博美、緒形直人が主演を務め、ブレイク前の長澤まさみや小栗旬が出演している隠れた良作だ。日本版、韓国版共に見比べるてみるのも、また一興である。
***
この連休に、現在の韓流作品に影響を与えたであろう、珠玉の名作を振り返ってみてはいかがだろうか。
現在も韓国で人気のある、俳優陣の若き姿に魅了されるかもしれない。
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