第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門において、韓国人俳優初の最優秀男優賞を受賞したソン・ガンホ。『パラサイト 半地下の家族(2019)』に続き再びカンヌで高評価を得たソン・ガンホとは、一体何者なのか。『ベイビー・ブローカー』の日本公開に先駆け、彼のキャリアに迫ってみたい。
第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門において、是枝裕和監督の最新作『ベイビー・ブローカー』の主演、ソン・ガンホが韓国人俳優として、史上初の最優秀男優賞受賞の快挙を成し遂げた。

CANNES, FRANCE – MAY 28: Song Kang-Ho poses with the Best Actor Palm d’Or Award for the movie ‘Broker’ during the winner photocall during the 75th annual Cannes film festival at Palais des Festivals on May 28, 2022 in Cannes, France. (Photo by John Phillips/Getty Images)
ソン・ガンホといえば、3年前同じくカンヌ国際映画祭(第72回)において主演作『パラサイト 半地下の家族(2019)』が最高賞パルムドールを受賞し、世界中から注目を集めた俳優だ。再びカンヌで高評価を得たソン・ガンホは、世界中の映画関係者からますます熱視線を集めるだろう。果たしてソン・ガンホとは、一体何者なのか。『ベイビー・ブローカー』の日本公開に先駆け、彼のキャリアに迫ってみたい。
名優が多い韓国映画界において、ソン・ガンホは稀有な存在だ。シリアスからコミカルまで幅広いジャンルに出演し、二枚目も三枚目も、正義も悪も見事に演じる高い演技力を持つ。
さらには『JSA(2000)』『殺人の追憶(2003)』『グエムル 漢江の怪物(2006)』『弁護人(2013)』『タクシー運転手 約束は海を越えて(2017)』など、多くの代表作で興業的成功を収め、映画祭での受賞歴も多数。
まさに「ソン・ガンホ出演作にハズレ無し!」と言っても過言ではない、韓国映画界の“顔”とも呼べる人物だ。
1967年、韓国慶尚南道生まれのソン・ガンホは、兵役を経て1991年に劇団に入団、本格的に俳優としてのキャリアをスタートさせる。数年間舞台で経験を積んだ後、1997年に、『ペパーミント・キャンディ(1999)』『オアシス(2001)』で知られる名匠イ・チャンドンの記念すべき監督第一作『グリーン・フィッシュ(1997)』の出演機会を得る。
当時のトップ俳優ハン・ソッキュの主演作だったにもかかわらず、脇役だったソン・ガンホ演じる野蛮なギャングの個性的な演技に注目が集まり、たちまち話題の人物となる。
“映画上の演出”に過ぎなかったギャングを、無名だったソン・ガンホがリアルに演じ「本物のギャングを登場させたのではないか」という口コミが飛び交うほどに。
そんな一般人のような、素朴さと親しみを感じさせる一方で、力強さとコミカルさを巧みに表現するソン・ガンホの持ち味は、たちまち人気に。
これを機に、『シュリ(1999)』『JSA(2000)』といった、その後の韓国映画隆盛のきっかけとなる金字塔的作品へ、立て続けに出演。映画俳優として、確実に知名度を上げていく。

ソン・ガンホにとって主演作で大成功を収めたポン・ジュノ監督による代表作『殺人の追憶(2003)』(画像出典:movie.naver)
そして、ポン・ジュノ監督の代表作『殺人の追憶(2003)』では、ついに主演俳優としても評価を高めることに成功。本作で連続殺人事件の犯人を追う田舎町の刑事を演じ、「粗野な中年男役で主演をさせたら、右に出る者はいない」という、パブリックイメージを定着させた。
2010年代以降は、『弁護人(2013)』『タクシー運転手 約束は海を越えて(2017)』『パラサイト 半地下の家族(2019)』といった、見応えある重厚な人間ドラマでより卓越した演技を披露。
メッセージ性の高い作品に意欲的に出演し、海外からも高い評価を得ているのは周知の通りだ。

多くの代表作で様々な役柄を演じる名優ソン・ガンホ
左から『JSA(2000)』、『グエムル 漢江の怪物(2006)』、『弁護人(2013)』(画像出典:movie.naver)
市井の人の困窮や苦悩といった、リアリティーを体現し続けるソン・ガンホの高い表現力は、見る者の心を揺さぶると定評がある。
そんな彼の最新主演作が、是枝裕和監督の最新作『ベイビー・ブローカー(原題:ブローカー/2022)』だ。本作は、<赤ちゃんポスト>に預けられた1人の赤ちゃんを巡り、人々の善意と悪意という思惑が絡まり合う様子を描いた人間ドラマである。
本作でソン・ガンホは、借金に追われベイビー・ブローカーという裏稼業に手を染める主人公サン・ヒョン役を熱演。善と悪の狭間で揺れる難役をどう演じ切るか、ぜひその目で確かめて欲しい。
共演は、日本でも人気の高いカン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、歌手としても活躍するイ・ジウン(IU)など豪華な顔ぶれが集結し、見逃せない一作となっている。
韓国映画界の顔として走り続け、世界に認められたソン・ガンホの到達点をぜひ堪能して欲しい。

6月24日より日本公開予定のソン・ガンホ最新主演映画『ベイビー・ブローカー』(画像出典:movie.naver)
第75回カンヌ国際映画祭で注目を集めた『ベイビー・ブローカー』は、6月24日より全国公開予定。
(投稿:島田元)
編集部おすすめ記事
-
【Netflix】今週末が最後のチャンスかも‥4月9日に配信終了「観ておかなきゃ」韓国映画5選
-
「アジア人は皆同じ顔に見える」という質問に対する韓国俳優チュ・ジフンの賢答
-
ユ・アイン、大先輩のイ・ビョンホンの前で寡黙を貫いた理由‥韓国映画「勝負」
-
VODユーザー要必見!4月で配信終了する韓国映画まとめ【Netflix / Lemino】
-
【1分で読む新作情報】Netflix韓国映画「啓示」信念と狂気が交錯する問題作
こちらも投票お願いします!
この記事と関連度が高いトピック
現在読まれています!
最新記事
-
【Netflix】今週末が最後のチャンスかも‥4月9日に配信終了「観ておかなきゃ」韓国映画5選
-
Netflixオリジナル「おつかれさま」が快進撃中!25年3月第4週 最新韓国ドラマ トップ5
-
5時間前
PHOTO:©TOPSTAR NEWS
KiiiKiii、SBSパワーFM「ウェンディのヤングストリート」の収録に参加!(PHOTO5枚)
-
リュ・スンリョン、下半期公開の新作韓国ドラマは「誰もが共感するサラリーマンの哀歓劇」
-
22時間前
PHOTO:©TOPSTAR NEWS
“ソンジェ背負って走れ” キム・ヘユン、授賞式「ASEA 2025」MCに抜擢!
-
「ユミの細胞たち」シーズン3、“シン・スンロク役”のキャスティングに注目!韓国ネットが選ぶ理想の俳優とは?
-
【世にも奇妙な韓ドラ】誘拐した少女が突然記憶喪失に‥偽親子の逃亡劇「誘拐の日」
-
“第5世代のスーパールーキー” HITGSが誕生へ!H MUSIC初のガールズグループがまもなくデビュー
-
日本のファンが選んだ、3月のカレンダー一面を飾ってほしいK-POPナムドルは・・TXT ボムギュ!
-
AMPERS&ONE、圧巻ビジュアルで魅せる!新曲「Kick Start」MVティーザー公開
-
23時間前
PHOTO:©TOPSTAR NEWS
コンミョンら、TVINGオリジナルドラマ「私が死ぬ一週間前」の制作発表会に出席!(PHOTO23枚)
-
23時間前
PHOTO:©TOPSTAR NEWS
ASTRO チャウヌ、ブランド「Saint Laurent」のイベントに出席!(PHOTO7枚)
-
24時間前
PHOTO:©TOPSTAR NEWS
SUPER JUNIOR-D&E、韓国映画「ロビー」のVIP試写会に出席!(PHOTO3枚)
-
24時間前
PHOTO:©TOPSTAR NEWS
東方神起、韓国映画「ロビー」のVIP試写会に出席!(PHOTO5枚)
-
24時間前
PHOTO:©TOPSTAR NEWS
イ・ジェフン & ロウン、韓国映画「ロビー」のVIP試写会に出席!(PHOTO7枚)
-
“デビュー1週間” KiiiKiiiが2カ月連続1位!「25年4月 新人K-POPグループブランド評判」ベスト5
-
ユ・アイン、大先輩のイ・ビョンホンの前で寡黙を貫いた理由‥韓国映画「勝負」
-
【1分で読む新作情報】Netflix韓国映画「啓示」信念と狂気が交錯する問題作
-
来週(4月7日~)日本のテレビで観られる「新旧時代劇」韓国ドラマ6選
-
【沼る VS 微妙】日本で話題急上昇中の韓国ドラマ「スジと出逢ったウリ」のトリセツ
-
「アジア人は皆同じ顔に見える」という質問に対する韓国俳優チュ・ジフンの賢答
-
OH MY GIRL、デビュー10周年記念シングル「Oh My」発表&来月コンサート開催
-
シン・ミナら、Netflixオリジナルドラマ「悪縁」の制作発表会に出席!(PHOTO26枚)
-
【3月23日~29日】20%超えは1本だけ!最新韓国ドラマ 視聴率ランキング1位~11位
RECENT TOPICs
COMEBACK & DEBUT
-
BTS JIN ‘The Astronaut’ MVALICE ‘DANCE ON’ MVATBO ‘ATTITUDE’ MVEPEX ‘恋歌’ MVグループ名がT1419からTFNに! ‘AMAZON’ MVNCTテン ‘Birthday’ MVCLASS:y ‘ZEALOUS’ MVCLASS:y ‘Tick Tick Boom’ MV
ご意見を自由にコメントしてください!
記事に関するご意見や情報提供はこちらのフォームをご利用ください。