- 日本ではディズニープラスで独占配信中の「ワンダフルワールド」レビュー。
- 愛する息子を殺された女性と、憎しみに囚われた孤独な青年の運命が絡み合うヒューマン・サスペンス。
- キム・ナムジュとチャウヌが散りばめた、残酷で壮絶な物語のヒントとは‥
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韓ドラファンお待ちかね、今春大注目の期待作『ワンダフルワールド』(MBC)が3月1日ついにスタートした。
愛する息子を殺された女性と、憎しみに囚われた孤独な青年の運命が絡み合うヒューマン・サスペンスだ。
日本ではディズニープラスで独占配信中。現在第2話まで公開されており、視聴した人からは「1話から泣いた」との声も。
初回放送からすでに視聴者をグッと引き込んでいる様子の本作。観る者をあっという間に虜にしているだけでなく涙させた理由、そして、キム・ナムジュとチャウヌが散りばめた、残酷で壮絶な物語のヒントを拾ってみたい。
※本分には内容に触れる部分があります。
絶望の淵に立たされた母
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物語は、涙とは無縁の幸せの絶頂にいる家族の姿からスタートする。中心人物となる母スヒョン(キム・ナムジュ扮)は心理学教授で有名作家。執筆した作品は輝かしい賞を手にし、元記者で献身的な夫スホ(キム・ガンウ扮)との夫婦仲も良好だ。
しかし何もかもが完璧だったある日、4度に渡る流産の末に奇跡的に授かった宝物のような息子ゴヌ(イ・ジュン扮)が、6歳(韓国年齢)にしてこの世を去ることに。彼が誕生した際、「これ以上の幸せは望まない」とまで思った我が子を一瞬にして失ってしまう。
母親への誕生日プレゼントを準備するため、家の庭に1人残ると屈託のない笑顔で言ったのが元気な彼の最後の姿だった。
そして物語の雰囲気は一変、ゴヌの姿が見えないことに気づき近所を探し回るが、徐々にスヒョンとスホの表情が切迫したものに変わっていく。
そんななか、辺りが暗くなってもなおゴヌを見つけ出せずパニックに陥るスヒョンが目にしたのは、担架に乗せられた我が子の姿。ひき逃げに遇ったのだった。
以降、突如として絶望の淵に立たされた母が息子の死を到底受け入れることのできない姿が切々と描かれる。子を持つ親ならスヒョンに感情移入せずにはいられないだろう。
涙なしには観ることのできない胸の詰まる復讐劇
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スヒョンの悲しみは息子を見送った後も続き、視聴者は権力者によって操作された不条理な裁判シーンを皮切りに母の悲痛な感情を目の当たりにする。
特に、法の網をかいくぐり無罪に近い判決を受けた加害者クォン・ジウン(オ・マンソク扮)を尋ね、車のアクセルを踏み込む姿が印象的。
息子への謝罪を求めたが、悪びれる様子もなくむしろ被害を被ったのは自分だと声を荒げて去っていくクォン・ジウンを尻目に、自ら処罰することを決意したスヒョンの表情は不思議なほど落ち着いていた。
裁判所で判決が下された時もそうだった。もしかするとその時点で、それかそれよりも前からすでに想定していたのだろうか。怒りとも悲しみともつかないような表情は、母性という言葉で表現するのが適当かもしれない。
彼女の行動を一言で片付けるなら“復讐”だが、本作はカタルシスを看板にしている既存の韓ドラ復讐劇とは一線を画しており、加害者を車ではねる前もその後も、爽快感ではなく身が引き裂かれるような母としてのスヒョンの感情が伝わってくる演出に。
よくある怒り狂い憎しみに満ちた姿はなく、ただひたすら子を想い静かに自らの手で制裁を加えることにした母の様子が描き出されている。
そして挿入歌には彼女が置かれた状況とは真逆の、世界の素晴らしさを歌った『What A Wonderful World』が流れ、車に乗り込む前の詩的なナレーションと相まって芸術的なワンシーンに。ここでも復讐への高揚感を抱かせるのではなく、相反する設定で絶望感を助長しているかのような描写が。
終始、母の感情にフォーカスした本作は、“泣ける復讐劇”という言葉がふさわしい作品。まさに新ジャンルの登場といえるだろう。
またそれを具現化した大女優キム・ナムジュにもご注目。ドラマ界から約6年離れ子育てに専念していたという、実生活でも子を持つ彼女の母性溢れる迫真の演技は説得力抜群だ。涙なしには観ることができない。
壮絶な物語を予感させるソンニュルとスヒョンの意味深な出会い
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視聴者の興味を引くのは、悲しい母の物語だけではない。チャウヌ扮する謎の青年ソンニュルとの意味深な出会いにも熱い関心が注がれている。
第1話の冒頭シーンでは、星を一緒に眺める姿や互いにいたわり合うなど見方によっては恋人同士にも見える2人だが、すぐさまソンニュルがスヒョンに向かって車を急発進させる場面に切り替わる。
躊躇なくアクセルを踏む様は、スヒョンが加害者を処罰するシーンと酷似。痴情のもつれだろうか、はたまた全く別の理由が潜んでいるのか今後の壮絶な物語を予感させた。
そして迎えた第2話では、ソンニュルがひき逃げ事件の裁判を裏で操作していた政治家キム・ジュン(パク・ヒョックォン扮)の手下として働いていることが明らかに。
昼間は廃車場に勤務しているが、夜は全く別の顔をもった彼。ゴヌの死亡に関わっているのか注目されるなか、加害者を殺害した罪で服役していたスヒョンが出所し我が子のお墓参りに出かけて初めての出会いを果たす。
誰かの墓前でたたずんでいたソンニュルが、雨に濡れるスヒョンに傘を差し出すシーンだ。ドラマのポスターにもなっている美しくもなにか意味ありげな場面。
傘を受け取らないスヒョンに対し、墓石に刻まれた名前を確認したソンニュルが「ゴヌが見たら悲しむと思うから」と再び傘を渡そうとして見つめあう。
ここで、『What A Wonderful World』が静かに流れはじめ、見方によってはロマンチックな雰囲気のなか第2話が終了。
今後両者がどのように関わっていくのか、ソンニュルの正体と併せて視聴者の好奇心を刺激した。
髪を黒くしバルクアップして本作に挑んだチャウヌ。王子様のようなこれまでの姿を脱ぎ去った彼の熱演と、新たな一面も観る者を惹きつけている。
子どもの死に見え隠れする残酷な真実
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本作をさらに面白くしているのは、子どもの死に関する真実。実は、単純なひき逃げ事件ではない様子だ。
話が進むにつれ、裁判が仕組まれていたことや、加害者が飲酒運転であったこと。どうやら裏で糸を引いていたのは政治家キム・ジュンである点など、まだ氷山の一角にすぎないと思われるが、断片的な情報が明らかにされた。
そしてそれに気づいた夫スホだったが、彼には妻に隠したい秘密があるようで、キム・ジュンに事故当日のある映像を見せられ真実を暴くことを辞めるよう脅迫されるシーンも。スホの顔色が変わるほどスヒョンに知られたくないこととは。
また最大の謎である、鍵を閉めたはずの玄関から自分では解錠できないゴヌがなぜ家の外に出ることができたのか。
知られざる事実が見え隠れするストーリーは、点と点が線で繋がる瞬間を期待してしまう構成で、個性豊かなキャラクターがより一層緊迫感あるストーリーに。
『ワンダフルワールド』というタイトルとは全くかけ離れた展開が繰り広げられ、パンドラの箱を開けてしまったのではないかと思うほど、壮絶な物語のスタートを予感させた第1話と第2話。
家族、事故、刑務所、出会い、不正など視聴者を飽きさせないネタがテンポ良く提供され、多くの情報を盛り込みながらも混乱させない演出手法は、まるで高級おまかせ寿司のよう。
どのネタも美味しく、上質なストーリーと演出、そして役者陣の演技が光る新ジャンルの韓国ドラマ“泣ける復讐劇”が仕上がった。
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