- 2020年に日本で第4次韓流ブームが巻き起こり、そのバトンを引き継いだのが『ヴィンチェンツォ』。
- 物語に没入せずにはいられないストーリーと出演者の好演が光り、韓国ではもちろん日本でも絶大なる支持を得た。
- 当時の人気を振り返り、大幅なシナリオの変更があった知られざる事情を紹介する。
『梨泰院クラス』(JTBC/2020)と『愛の不時着』(tvN/2019)のヒットにより、2020年に日本で第4次韓流ブームが巻き起ったのを覚えている人は多いだろう。
両作を配信したNetflix(ネットフリックス)は、これを機に瞬く間に韓ドラファンに親しまれる定番サービスとなった。
以降も同サービスを介して様々な作品が配信され続けているが、当時ブームのバトンを引き継ぐとともに、Netflixの人気を支えたともいえるドラマがあったのをご存じだろうか。
配信されてからはや3周年を迎えた『ヴィンチェンツォ』(2021年2月初配信)だ。韓国ではもちろん日本でも大人気。物語に没入せずにはいられないストーリーをはじめ、役者陣の好演が注目を浴びた。
しかし実は本作の脚本は途中で大幅な変更があり、ロマンスをメインストーリーから封印せざるを得なかったのをご存じだろうか。当時の人気ぶりを振り返り、知られざる事情を紹介する。
大成功を収めた『ヴィンチェンツォ』
『ヴィンチェンツォ』は、Netflixを介して全世界で一斉に配信がスタートした作品だ。いまや当たり前のようになりつつあるこの全世界同時配信だが、当時まだ珍しく大きな話題に。破格ともいえる試みは韓ドラファンの興味をそそり、配信日前から多くの関心が寄せられた。
また、ソン・ジュンギ主演である点と、『愛の不時着』で名を馳せたスタジオドラゴンが制作した作品という点もキャッチ―なポイントに。
大ヒットを予感させていた本作はお披露目されるとすぐに、Netflixの視聴ランキングである“今日の総合TOP10(日本)”の上位に名を連ねてその座をキープした。
もちろん日本だけでなく世界中から爆発的支持を得て見事大成功。スタジオドラゴンは改めて脚光を浴び、離婚や映画の上映延期などにより低空飛行気味だったソン・ジュンギは、本作を機に俳優として復活を果たした。
人気を支えたストーリー
『ヴィンチェンツォ』の魅力といえば、、ソン・ジュンギをはじめチョン・ヨビンやオク・テギョン(2PM)、チョ・ハンチョル、クァク・ドンヨンなど錚々たる役者陣の熱演が挙げられるが、これに加え多くの人を魅了したのが面白いストーリーだった。
莫大な富と利権を握る巨大組織をマフィアのやり方で制裁していく物語は、観る者に爽快感をプレゼント。“そっちが汚い手をつかうなら容赦しない”というヴィンチェンツォのスタンスが痛快で、ダークヒーローのカタルシスを存分に味わった人は多い。
また、暗く重たい話が続くかと思いきや、絶妙なバランスでユーモアセンスがちりばめられており、思わずクスっと笑ってしまうシーンも。ブラックコメディ作品として完成度が高く、多くの人から支持された。『ヴィンチェンツォ』の人気を支えた大きな一因だ。
ロマンスを封印した脚本
こうしてブラックコメディとして成功した『ヴィンチェンツォ』だが、物語にはヴィンチェンツォ(ソン・ジュンギ扮)とホン・チャヨン(チョン・ヨビン扮)のロマンスも、スパイスのように盛り込まれていたのを覚えているだろうか。
美しいキスシーンに見とれた視聴者や、2人の恋の行方が気になった人もいたようだが分量にするとほんの少し。悪党に制裁を下さすダークヒーローものという大筋からブレることはなかった。
しかし実は元のシナリオは、ロマンチックコメディだったのだとか。新型コロナウイルスの蔓延によりイタリアでの撮影が難しくなったため、台本をブラックコメディへと大幅に修正したという。こうしてロマンスがメインストーリーから封印されることに。
一部ドラマファンからは、ソン・ジュンギのロマンス演技を期待する声もあった本作。スピンオフ版や続編として、『ヴィンチェンツォ』が還ってくるのを期待している人は多いだろう。
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