Netflix(ネットフリックス)オリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる(邦題)』に出演中の俳優、パク・ジョンミン。彼が演じたのは、ごくごく普通の人物ペ・ヨンジェ役だ。現実にもいそうな普通の人を、より魅力的に演じられるのがパク・ジョンミンのすごさである。そんな役者・パク・ジョンミンの現在の考えや思いを、インタビューから深く覗いてみようと思う。 (記事・写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
Netflix(ネットフリックス)オリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる(邦題)』に出演中のパク・ジョンミンは、平凡なキャラクターをより魅力的に演じることで有名だ。
11月30日午前、オンランで行われた『地獄が呼んでいる』公開ラウンドインタビューで、パク・ジョンミンはリラックスした様子でカメラ前に登場。劇中でペ・ヨンジェに扮し、嫌気の差すような姿から、家族を守りたい切実な気持ちなどを違和感なく表現し、立体的なキャラクターを生み出した。
*この記事にはネタバレが含まれています、ご注意ください。
「ペ・ヨンジェは平凡なキャラクターだなと思いました。 なので4~6話まで、果たして退屈せずに(視聴者が)観ることができるのだろうかと悩みました。1~3話を見ながら、人々が感じたもどかしさを言葉で表現してくれる、いわば視聴者代表の人物として、ペ・ヨンジェを表現しました」
ペ・ヨンジェはあくまでも”平凡な人間”であり、自らの信念を掲げる人というより、現実にいそうな普通の人だ。それでも現実とかけ離れた乖離感は、パク・ジョンミン特有の”苛立ち”という手法で見せた。
ペ・ヨンジェとして、大切な家族が不幸に巻き込まれる感情と向き合った
「”新真理会”という宗教団体が、当たり前に定着した世界で、彼らに賛同しない放送局のプロデューサーを演じています。たとえ納得してなくても、上司から命令されるから、やらなければいけないことってありますよね。そこから来る感情は、“苛立ち”ではないですか? 僕自身も演じながら知らないうちに出てきた感情で、”彼らに負けたくない”という思いが込み上げてきたんだと思います。ペ・ヨンジェという人物は、信念が物凄く強かったり、今を一生懸命に生きている人だとは思いません。たまに怠惰で、面倒くさがったりもするし。自分と家族を中心に生きていた人で、新真理会に関心もないし‥。ところが突然、大切にしていた自分の家族に不幸が訪れ、巻き込まれる感情はどうなんだろう? と考えながら演じました」
ペ・ヨンジェは作品後半で、キーパーソンとなる重要な役割を果す。そして彼の迎える結末は、視聴者に様々な解釈の余地を与え、余韻を残すものとなった。
「『地獄が呼んでいる』で起こる出来事は、突然襲ってきた不可抗力の災難だと思っていました。なので、神が人間を罰するための現象だとは思いませんでした。僕たちが仕方なく受け入れなければならない、自然災害のような感じ。*ポンペイ火山噴火後、恋人たちが抱き合って死んでいた化石が発見されたことは有名でしょう。そのような災難の中でも、愛する人を守ろうとするのが人間の本性で、それが奇跡を生み出したのだと思いました。シーズン2があるかどうかは、僕はわかりません。監督にこっそり聞いてみましたが、ペ・ヨンジェは生き返らないと言ってましたよ(笑)? そしたら妻のソン・ソヒョン(ウォン・ジナ扮)も生き返らないでしょう」
*ポンペイ:イタリア・ナポリ近郊にあった古代都市。紀元79年、ヴェスヴィオス火山の噴火に見舞われ、街や住民ごと灰に埋もれた(出典:BBCニュース)。
“普通の人”は難しくて楽しい
俳優パク・ジョンミンは、『地獄が呼んでいる』で最も普通の存在だ。しかし、彼が演じたことにより、誰よりも幅広いスペクトルを持つ人物となった。作品ごとに多彩なカラーを見せてくれるパク・ジョンミンだが、依然として自身の演技に対する悩みが深いという。
「最近、悩みが多いです。普通の人の演技をしながら2時間の映画を引っ張っていくのは、誰にでもできることではないと思います。先輩たちがそれを演じられているのを見ながら、僕はどうすればいいのかと悩むのです。でも、よくわかりません。大衆に深い印象を残したキャラクターは、普通の人ではなくキャラクター性が強いと思います。でも、僕はそういう役より、平凡な人を演技する方が楽しいですね。普段から人を観察して、どのように話し、反応するのか、注意深く見ます。バラエティー番組を見ながらも、そうした部分を自然と見てしまう習慣があります」
『地獄が呼んでいる』は公開直後、Netflixワールドで1位を獲得するなど、爆発的な反応を得た。韓国だけでなく、海外からも多くの関心を集めている本作は、パク・ジョンミンにも予想外のプレゼントのような作品となった。
「実は『地獄が呼んでいる』という作品が、僕にとって良いプレゼントになるとは予想していませんでした。とても楽しくて、監督と遊ぶような感覚で撮影しただけなんです。でも結果的に、このドラマが世界1位になったのは、うれしいですね。自分が参加した作品の中で、一番多くの人が見た作品になるんじゃないかと思うと、不思議な感じがします。これから進むべき道は前途多難ですが、その途中で予想だにせずもらった素敵なプレゼントになりそうです」
僕は韓国で俳優としてやっていきたい
最近、韓国内の作品が海外で関心を集め、俳優の海外進出も続いている。『地獄が呼んでいる』も海外で爆発的人気を得て、キャスト陣の海外進出の可能性が開けた。しかしパク・ジョンミンは、自身の海外活動に関しては一歩退く姿勢を見せた。
「今は、海外活動には全く関心がありません。僕は韓国で俳優としてやっていきたいです。英語が上手なわけでもありませんし、海外活動に対してはあまり欲もないんです。非常に無礼なこととなってしまうので、断言はしませんが‥」
どんな作品でも自身の役柄に魅力を吹き込むパク・ジョンミンが、これからどのような姿で大衆の前に立つことになるのだろうか。
“普通の達人”パク・ジョンミンの今後の出演作にも、注目したい。
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