- 現在韓国全土を騒がせている、研修医の集団辞表提出問題。
- 慢性的な医師不足を打開するための政府方針に現職医師らが反発している。
- これを予見したかのような6年前のドラマ『ライフ』が再び注目を浴びている。

政府方針に反発する韓国研修医の約8割が辞表を提出。史上最悪の医療崩壊か(画像出典:ソウル経済新聞)
現在、韓国関連報道の中で断然目を引くのは「研修医の集団辞表」である。
2月19日にソウル市内の総合病院や大学病院の研修医らが辞表を提出した事を皮切りに、2月25日には全国の研修医の約8割が辞職したという衝撃なニュースが飛び込んだ。
韓国のSNSやオンラインコミュニティなどでは「医師不足でたらい回しされ死亡した」などの情報が拡散しており、医師たちの集団行為への怒りは最高潮に達している。
ではなぜ韓国の医師たちは「患者の命を人質にする極悪非道な行為」と批判を浴びながら、集団辞職という前代未聞の行動に出たのだろうか。
その発端は、昨年10月、韓国政府は「医科大学の定員を大幅に拡大する」という方針を発表。慢性的な医師不足(特に地方)を打開するための方案だったが、これに反旗を掲げた現職医師らが、今年2月19日から抗議活動を開始したのである。
ストライキに踏み込むと、最悪の場合、医師免許が剥奪されるリスクがあるため、集団辞職という迂回路を選んだと見られる。この自己中心的な行動に韓国中が憤慨しているのである。
一部の医師の「総合病院は金にならない。美容整形や皮膚科の開業医になるのが高収益」「国民の命も大事だが、医師の職業選択権も尊重されるべき」という言葉が火に油を注ぎ、医療従事者に対する世論は次第に悪化しており、韓国ネットでは「医師は上級国民」「医師たちの特権意識に呆れた」と糾弾の声があふれている。

2018年に公開されたチョ・スンウ、イ・ドンウク医療ドラマ『ライフ』(画像出典:JTBCドラマ)
そして、6年前に放送された医療ドラマのシーンが、再び注目を浴びている。そのドラマとは、俳優チョ・スンウがとある病院の総括社長に扮した『ライフ(JTBC)』。
注目のシーンは、チュ・スンウ演じるスンヒョが、地方医療の活性化のために一部の診療科を地方に移転するため、反発する医師たちと舌戦を繰り返すシーン。
スンヒョは、産婦人科の専門医と施設の不足で妊婦の死亡件数が多いという事に注目。同院の産婦人科を移転する事を提案するが、医師たちは「地方に行きたくない。あなたなら行くか?」と反問する。
この反応にスンヒョは「首都圏ではないという理由で、地方の人は医療の恩恵をしっかり受けていない」と強調した上「普通の会社だと、単身赴任でもするのではないか」と指摘。すると医師たちは「我々は普通の会社員とは違う。そう思わないか?」と、一般のサラリーマンとは違って“特別な地位”である事をそれとなくアピールするのである。

我々は普通の会社員とは違う。そう思わないか?『ライフ』のワンシーン(画像出典:JTBCドラマ)
この短い映像は、公開3日後の26日に再生回数18万回を記録。韓国ネットでは「医師の集団利己主義を象徴する映像」というタイトルで現在もなお拡散しているようだ。
この映像を見た韓国ネットユーザーからは「6年前にすでに予見されていたのか」「先生、先生と呼ばれて、彼らは自分が一般人より上だと思っているね」「医師の境遇も理解できなくないけど、国民の命を優先するべきでは?」と反応が上がっている。
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