人気ドラマ『賢い医師生活』シリーズのメガホンを取ったシン・ウォノ監督。シーズンを通して大きな人気を得たことに感謝の気持ちを伝えると同時に、制作者として放送週1回制度のメリットを肌で感じた理由について語る。また作り手として、ドラマを通して伝えていきたい思いなどを明かした。

ドラマ『応答せよ』シリーズ、『刑務所のルールブック(原題:賢い監房生活)』、『賢い医師生活』シリーズまで、我々はシン・ウォノ監督の時代に生きている。

毎回ハートウォーミングな物語で、渇いた現実に温もりを与えてくれた彼が、スポーツ韓国との書面インタビューを通して『賢い医師生活2』終了後の思いを言葉に残した。

99年医大入学組5人の「99's」の日常を描いた『賢い医師生活』

1999年医大入学組5人の「99’s」の日常を描いた『賢い医師生活』。(画像出典:tvN)

9月16日に最終回を迎えた『賢い医師生活2 (脚本:イ・ウジョン、演出:シン・ウォノ)』は、首都圏の世帯基準平均15.7%、最高17.4%、全国の世帯基準平均14.1%、最高15.5%を記録。tvNターゲットである男女2049視聴率は、首都圏平均10.4%、最高11.4%、全国基準平均9.3%、最高10.2%を記録し、全国世帯を含むターゲット視聴率まで、全て自己最高視聴率を更新した(ケーブル、IPTV、衛星を統合した、有料プラットフォーム基準、ニールセンコリア提供)。

「(視聴者は)5人の同期(99’s)のケミ(相性)、音楽とバンド、患者と保護者の温かな物語、ラブライン、演技、アンサンブルに好感を持ってご覧いただき、また他のポイントに魅力を感じて愛してくださったようです。特にシーズン2は、内面的な親しみが大きかったのではないかと思います。よく知っているキャラクター、物語に距離感がなかった事が、シーズン2最大の人気要因ではないかと思います」

しっかりしたストーリーと繊細な演出、音源チャートを占領したOST(オリジナルサウンドトラック)など、『賢い医師生活2』の興行をリードした要因はたくさんあるが、中でも俳優陣の完璧なハーモニーが、シリーズを通して変わらなかったからではないだろうか。

産婦人科チーム

ユルジェ病院 産婦人科チーム(画像出典:tvN)

胸部外科

ユルジェ病院 胸部外科チーム(画像出典:tvN)

チョ・ジョンソク、ユ・ヨンソク、チョン・ギョンホ、キム・デミョン、チョン・ミドをはじめ、出演者それぞれが均等に積み上げてきた力をドラマ序盤から発揮し、最後まで没入感を与えてくれた。

「撮影初日も、5人全員が集まるシーンを初めて撮った日も、シーズン1以降10カ月近くも空白があったのに、昨日から撮っていたかのような嘘みたいな雰囲気でした。スタッフと俳優間の親密度も高くなったため、シーズン2はさらにきめ細かなケミで撮影できました。ただ、ロマンスだけのドラマではなかったので、ラブラインの流れを速めたり、密度を濃くするのは難しかったですね。それで、ゆっくりと少しずつ受け入れてもらえるように、少し遅い呼吸にしようと思ったんです。実際の呼吸、雰囲気、空間の中にいるような気持ちになってもらおうと思った場面が多かったです」

シーズン1に続き、週に1回の編成(韓国では週に2日放送がほぼ通常)は、有意義な足跡を残した。これは、作品の企画段階から徹底的に練られたシーズン制を通して、”新たな視聴パターンを開拓した”と評されている。

週1回編成のメリットは多く見られた。労働時間を遵守しながら制作環境の改善、作品の完成度まで肯定的な方向に導くことができ、比較的長い期間、継続的に話題性を維持することもできた。

シン監督は「週2回ドラマは二度とできそうにない」と笑う。

毎回、高難度の曲に挑戦した99's

毎回、高難度の曲に挑戦した99’sの5人。(画像出典:tvN)

「1週間に2話ずつだったこれまでの作品は、すでにどうやって撮っていたのか思い出せません。これは私だけでなく、スタッフ、俳優全員が肌で実感したものです。現場の疲労感は少なくなりますし、その余裕は現場の効率に戻ります。それは制作者にとって、最大の強みです。99’sは毎話、難しいバンド曲を練習する時間を確保することができたのも、週1回形式で生まれた余裕のおかげなんです」

『賢い医師生活2』は、初回から平均10%、最高12.4%の視聴率を記録し、tvNドラマ初放送視聴率歴代1位で出発した。ここに、ち密に進められたCJ ENM代表フランチャイズIP(Intellectual Property、知的財産権)戦略が、功を奏す。

例えば、シーズン1と2の間の空白期にYouTube(ユーチューブ)『チャンネル十五夜』のデジタルコンテンツ”*하드털이(ハードトリ/The hard drive)”を公開し、出演者がキャンプに向かった『賢いキャンプ生活』をコンテンツに据えて話題性を維持。新たな視聴者を流入させることに成功している。

*PCのHDDに保存された画像や資料を取り出すこと

記者からの質問に答えるシン・ウォノ監督

記者からの質問に答える『賢い医師生活』演出のシン・ウォノ監督。(写真提供:スポーツ韓国)

「シーズン制ドラマを作って最も新鮮だったのは、シーズン1の最終回とシーズン2の初回でした。それは、視聴者の方たちは12話を観終えて、13話まで1年待ってくれていたので、補償してあげたかったんです。それが”ハードトリ”を始めるきっかけでしたね。普通はドラマに入らなかったシーンは、Blu-rayやDVDのソフトコンテンツに入れるんですけど、それより、もっとたくさんの方たちが観られるようにしたかった。また、個人的にYouTubeを実質的に経験してみたかったという思いもありました。5~10分程度の短いものにするつもりが、やればやるほど分量が増えて、几帳面にチェックした結果、バラエティーを撮った時ぐらい疲れました(笑)。でも一方では楽しくもあって。10年ぶりにバラエティーをやるから、”感覚が鈍ってるかもな”と思ってたんですけど、昔の細胞がまだ生きていたみたいです。『賢いキャンプ生活』は、本当に純粋に俳優チームから始まったコンテンツなんです。こうして、単純にコンテンツを始めることになった事、純粋な気持ちがあれば大した技術がなくても、愛されるんだという事を目の当たりにした事は、数年間積み上げて来た偏見を、自身で破ることができた驚くべき経験でした」

そんな風にシン監督は、毎回果敢に新しい挑戦で形式を打ち破っている。その反面、ストーリー展開では善良な情緒を一貫して固守する。そのため、彼の作品は”悪役のいないドラマ”、いわゆる”大人のための童話”とも呼ばれている。

だからなのか、平凡な現実を標榜しているようで、”結局ファンタジーに過ぎない”という見方もある。

『賢い医師生活1』の後に公開された『賢いキャンプ生活』

『賢い医師生活1』後、新たなコンテンツとして公開された『賢いキャンプ生活』。(画像出典:『賢い医師生活』公式Instagram)

シン監督は「ダークな話にも関心は多くあります。私が好きな作品の1つが、映画『悪魔を見た(2011)』で、残酷なスリラー作品です。私が作れそうもないから好き、ということもありますが、『刑務所のルールブック』もOTTを念頭に置いた遥かにダークなドラマでした。構想中のものはありませんが、いつも考えてはいるんですよ」と、今後伝えたいメッセージを耳打ちしてくれた。

「目標とするのは、いつだって”共感”です。その共感を得る媒介は、ただ生きていく風景です。釜山(プサン)のあるアイドルの熱狂的ファンの人生でも(応答せよ1997)、全国各地から集まって来た新村(シンチョン)の下宿でも(応答せよ1994)、双門洞(サンムンドン)の路地でも(応答せよ1988)、西部刑務所でも(刑務所のルールブック)、ユルジェ病院でも(賢い医師生活)、見てほしいのは結局”生きるということはみな同じ”ということなんです。慰めは、ただあなたの心が私の心である時に成り立つと思います。具体的なことはなくても、2つの心が一緒に共鳴した時に、慰めは伝わるからです。ある意味それが、私たちの持つファンタジーでもあります。世界中の人全員が良い人だったらいいなというファンタジー。だから私は、良い人たちの中に入りたいなと思えるようなストーリーが作りたいんです。それをファンタジーと呼んでもいいじゃないですか」

視聴者はシーズン3に期待しているが果たして

視聴者は『賢い医師生活』シーズン3に期待しているが、果たして‥。(画像出典:tvN)

「現実には、コン・ユのようなトッケビはいないし、パク・ボゴムのようなボーイフレンドもいないじゃないですか。どうせ全てのドラマがファンタジーなら、良い人たちの世界は、それも現実に近いファンタジーではないかと思います。まずまずの設定では話題性を得られない時代になって、ドラマ設定がどんどん厳しくなっているのに、ショッキングな物語に挟まる中に、こんな善良なファンタジーが1つくらいあってもいいと思いませんか?」

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