tvNドラマ『有益な詐欺』で主演を務めた、俳優キム・ドンウク (写真提供：ⓒ TOPSTAR NEWS)

7月18日、tvNドラマ『有益な詐欺』が最終回を迎えた。

主演は、日本で大ヒットしたドラマ『コーヒープリンス1号店(MBC/2007)』で脚光を浴びた、俳優キム・ドンウク。

演出は、同じくキム・ドンウク主演のドラマ『その男の記憶法(MBC/2020)』で共同演出を引き受けたイ・スヒョンPDが担当した。

初回放送の全国視聴率(ニールセンコリア基準)は4.5％で、まずまずのスタートだったが、その後は初回を超えられず、3～4％台を行ったり来たり。そして最終回の視聴率は4.5％と、自己最高を更新できないまま放送を終えた。

実は、ドラマ『有益な詐欺』は、tvNが満を持して公開した作品だった。

制作は、“あの”スタジオドラゴン。『愛の不時着(tvN/2019)』や『トッケビ～君がくれた愛しい日々～(tvN/2016)』など、数々の名作を生み出してきた制作会社である。

脚本は、スタジオドラゴンの第2回ドラマ脚本コンペで、133倍の競争率を勝ち抜いて佳作を受賞した作品。審査委員からは「極端な性格の男女のキャラクター対比が面白く、ウィットのある展開が魅力的」と評価されていた。

ところが、期待作の視聴率は思ったより伸びず‥。失敗作ではないものの、成功と言えるほどの成績は出せなかった。

しかし不振の前兆は、放送前から伝えられていた。

一つ目は、主演のキム・ドンウクが出演する他局ドラマと、放送時期がかぶってしまったこと。

韓国メディアの情報によると、彼のもう1つの主演ドラマ、KBS2『偶然出会った、あなた』は編成枠が急遽変更となり、撮影終了後も放送開始日がなかなか決まらなかったという。

そんな中、tvNが先に『有益な詐欺』を5月29日から放送することを確定。しかしその3日後、KBSが5月1日放送開始を決定した。

スタートは約1カ月ずれてはいるが、ともに“月火”の放送で、放送開始時間も約1時間しかずれていない。

同じ曜日の2つのドラマに、同じ俳優が主人公として登場すれば、視聴者の混乱を招く。さらには、作品の話題性や人気も二分されるため、制作側にとって厳しい状況となった。

主演のキム・ドンウク、そしてtvNは、前代未聞の不運に見舞われてしまったのである。

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放送時期が重なった、キム・ドンウク主演作。KBS2『偶然出会った、あなた』(左)とtvN『有益な詐欺』(画像出典：KBS2/tvN)

そして、不振の前兆2つ目も、出演者の“かぶり”。母親役専門女優とも言われている、キム・ジョンヨンである。

彼女も、放送曜日が重なったキム・ドンウク主演ドラマ2つに出演。

『有益な詐欺』ではキム・ドンウクの母役、『偶然出会った、あなた』ではソ・ジヘの母親役を演じていた。

不振の前兆、最後は、俳優ソン・ドクホが兵役不正疑惑により降板したこと。

彼は、身体検査で3級現役判定を受けるものの、入隊を数回延期。その後、兵役ブローカーを通じて、虚偽のてんかんを装う手口を使い、兵役逃れを試みたという。

問題は、兵役不正の疑いで調査を受けている際も、その事実を制作陣には全く知らせずに撮影に参加していたことである。

ソン・ドクホの突然の降板により、制作陣と出演俳優は、彼の出演シーンの再撮影を余儀なくされた。

tvNが期待作として制作した新作ドラマ『有益な詐欺』は、残念ながら不運が続き、不振に終わった。その兆候は、放送前からすでにあったようだ。

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